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怪しい男

~第四十一章~怪しい男


大通りに戻って来た俺は、これからの予定を考える。


「お昼には流石に少し早いし…、そうだ!武器屋に行ってみよう。確か、素材から武具を作れるって言ってた様な気がするし。」


武器屋に向って歩き出す。

まだ昼前という事で、買い物籠を持ったマダム達が買い出しに賑わっている。

街並みを眺めながら歩くと厳ついヒゲ親父が売り子をしている武器屋が見えて来た。

俺が近づくとヒゲ親父が此方に気付き声を掛ける。


「おう、こないだ胸当てを買って行った、兄ちゃんじゃねぇか?防具は役に立ってるか?」


「お蔭さまでね。しかし良く、一度しか来てない客の顔なんか覚えてるな?」


そんなに日数が立って居る訳では無いが、俺なら忘れる自信が有るな…。

それとも客が少ないのか?この店?


「なぁに、武器屋なんかやってると、実力の有る奴は、一目で分る。まあ、単純にお得意様に成ってくれそうだと思ったんだよ。」


「それ、俺に面と向かって、言って良いのかよ?」


このヒゲ親父、言ってる事は俺がカモに見えるって事だが、不思議と嫌味を感じない。

まあ、冗談で言っているだけだろう。

此方も良い商品を提供してくれるなら、お得意様に成るのも悪くは無い。


「で、今日は、どうかしたかい、兄ちゃん?」


「ああ、確か…。素材の持ち込みで、武具を作れるんだったよな?」


「もちろん!請け負ってるぜ。武具の製作依頼かい?どれ、どんな素材が有るかを見せて見な!」


ヒゲ親父に店の中に招かれ、テーブルの上に素材を並べて行く。

素材を確認したヒゲ親父は髭を弄りながら考える。


「兄ちゃん、マジックバッグを持ってたんだな。」


「皆、俺が荷物を取り出すと同じ反応を返してくるよ。」


「そうか…、でだ、作れる武具だが。まず、このアイアンゴーレムの鉄を利用して革の胸当てを鉄の胸当てに強化出来る、あと…、このロングソードも強化出来るな!」


「強化ですか…。」


強化の心当たりは有る。

ロングソードに盗賊の鑑定眼を発動する。『直剣・ロングソード・LV:1/10・銅貨6枚』

武器に付けられたLV、強化をするとLVが上昇するのではないだろうか?

正直、妖精の剣が有るのでロングソードの強化は必要無いが、試しに強化をお願いしてみるか?


「では、その二つの強化をお願いします。」


「分った。強化は、明日には終わるから、今位の時間に又、受け取りに来てくれ。」


「値段は幾ら位ですか?」


「そうだな…、銅貨10枚で良いぞ。」


俺はサイドバッグから銅貨10枚を取出し、ヒゲ親父へ渡す。


「あ!そうそう。荷物の中にハングリーベアの素材とチャンピオンラビットの毛皮が有ったが、その素材が有れば新しいマジックバッグを製作か、強化が道具屋で出来るぞ。」


「へぇー、そうなんだ。」


しかし、マジックバッグは二つも要らないし、強化も今の所必要を感じないから、如何しようか?後に回すか…。

ヒゲ親父に礼を言って武器屋を後にすると丁度、昼時だ。


「今日は何処で、昼飯にしようか?」


フワリと良い香りが漂ってくる。

匂いを辿って視線を移すと如何やら、この先から漂って来る様だ。

匂いを辿ってみよう。

少し歩くと、一軒の食堂を見つける。

看板には、サンガ食堂と銘打っている。

良い香りは此処から漂ってくる。


「昼飯は、ここで良いか?」


サンガ食堂に入ると、中々の賑わいを見せていた。

俺はウェイトレスのお姉さんに適当なテーブル席に案内されると、お薦め料理を頼み、料理を待つ。


「ここ?良いかな?」


急に知らない男に声を掛けられる。

痩せ型の長身、特徴の無い顔立ち、そんな男が俺に何の用だろう?

と、思ったが回りを見ると、他の席はお客で一杯だ。


「(ああ、相席のお願いか。)ええ、どうぞ。」


俺はテーブルの向かいを男に譲る。


「すいませんねぇ。相席お願いしちゃって。あ、お姉さん!日替わりで!」


「いえ、良いですよ。一人ですし、店も込んでますからね。」


「いやぁ、助かるよ。」


そう言って男は席に座る。

料理が来るまで大人しく待っていると、男の方が話し掛けて来る。


「お兄さん、さっき教会に居たよねぇ?」


「ええ、居ましたよ。ライティングの魔法を教えて貰ってましたよ。」


この人も教会に居たのだろうか?

市民の人が大勢居たから、その内の一人だろうか?


「お兄さん、さっき神父さんに攻撃用の魔法の事を聞いてましたよね?」


「ああ。」


「断られたでしょ?」


「何でも教会じゃあ、争いを助長する様な攻撃用の魔法を教える事は出来ないらしい。」


「ええ、教会の教義は治癒と平和ですからね。攻撃用の魔法を毛嫌いしている所も在るんですよ。」


この人は、一体何が言いたいのだろうか?


「いえね、実は私、攻撃魔法の習得方法に一つ心当たりが有りまして。」


「本当ですか!?教えてください、お願いします。」


「ええ、構いませんよ。私も丁度覚えようと思っていた所なんです。」


諦めかけていたが、渡りに船とは、この事だ。

これで念願の攻撃魔法を習得出来る!


「ですが!」


男は俺の思考を遮る様に言葉を続ける。


「ですが、今すぐと言う訳にはいきません。少々、都合と言う物が有りまして、夜に又、この食堂…、夜は酒場に成るのですが。お手数ですが、此処で20時に待ち合わせしても良いでしょうか?」


「分りました。良いですよ、20時ですね。お待ちしてます。魔法を覚えられるなら大した手間じゃ有りません。」


男と約束を交わし、やって来た料理に舌鼓を打ち、店を後にした。

一度、宿屋「小鳥亭」に宿を取り、夜まで町中をぶらついて時間を潰した。

19時に成ったので、酒場と化したサンガ食堂へと赴き、夕飯を取る。

酒場と化しているが、これから魔法を習得しに行くのに酒臭いのは不味いだろうから、酒は飲まない!


「もともと、酒は余り飲まないけどね…。」


独り言を呟く…。


「おや?意外です。お好きそうな感じですが、お酒はお飲みに成らないんですね?」


独り言に返事が返って来た。


「早いな…。まだ約束の20時じゃないぞ?」


「いえ、早めに来て居れば、少し説明をしておこうかと思いまして。」


「そうか、晩飯を食べながらでも良いかな?」


結構ですよ、と男はそう言って説明を始める。


「今日貴方は、教会で神父さんに攻撃魔法を教えて貰えないかと尋ねましたね。」


「ああ、教義に反するから、教えられないんだろ?」


「ええ、そうです。ですが、逆に言えば、教える事の出来る魔法が有ると言う事では無いですか?」


言われてみれば、神父の言葉には何処か含みを感じる所が有った様な気がする。


「つまり…、教会は攻撃魔法の魔法書を所持していると?」


「はい、そうです。」


「やけにハッキリと答えるじゃないか?まるで、教会が魔法書を所持している事を知っている様じゃないか?」


男はニヤリと笑うと、大きく頷く。


「ええ、調べましたから。どんな攻撃魔法か、までは掴めませんでしたが、少なくとも二冊の魔法書が有る筈です。」


何だか、話がキナ臭くなって来た様な気がするのは俺の気のせいだろうか?


「でも、教会が魔法書を所持しているからと言っても教えてくれないんじゃ、意味無いだろう?」


男は顔を近づけ回りに聞こえない様に呟く。


「ええ、ですから。今から、盗みに行きましょう。」


UPしました。

皆さんからの評価が500Ptを超えました。

これからも連載頑張ります。感想等お待ちしてます。

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