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ストーンゴーレム討伐へ・まだいるの?

~第三十六章~ストーンゴーレム討伐へ・まだいるの?


「え!?全部で三匹って何?聞いて無いんだけど!?」


俺達三人はメリクスへと問い詰める。


「え!?あれ?俺、ギルドの時に説明しなかったっけ?」


「いや!聞いてねえよ!初耳だよ!じゃあ何か!?後、二匹のストーンゴーレムが居るって事か?」


ボンが問う。

するとメリクスが目を逸らしながら言う。


「そ、そうなるかなー?」


こら!目を見て話せ。

コイツ、絶対、伝え忘れてたな…。


「…だが、ユウシのお陰で、我々に損耗は無い!…まだやれる!」


ガ・ショウがメリクスを庇う。

まあ、そうだよな。依頼はもう受けてしまったんだし、やるしかないか。

メリクスを余り苛めても可愛そうだ。

助け舟を出してやろう。


「まあ、待てって、ボン。考えようによれば討伐対象が多ければそれだけ報酬が多くなるって事だろう?」


俺の言葉にメリクスを問い詰めていたボンが考えを巡らす。


「確かにな…。このメンバーならストーンゴーレム位なら大丈夫だろうし。」


ひとまず納得してくれた様だ。

俺達は残り二匹のストーンゴーレムを探す為、別れて捜索を開始する。

すると、程なくしてメリクスが、ストーンゴーレムの一体を発見したので、三人が集まる。

俺達は物陰に隠れて作戦を立てる。


「さて、どうする。まだ此方に気が付いて無いみたいだけど、さっきみたいにユウシが核を抜き取るか?」


ボンに提案される。


「そうだな、それが一番楽な倒し方だものな。」


俺は再び隠密を使用しストーンゴーレムに近づく。

が、今回は、前回と違い何か違和感が有る…。

誰かに見られて居る様な…。


「(あれ?今、ストーンゴーレムが少し動いたような?)」


何か嫌な予感がする…。

すぐに逃げられる用意をしておこう…。

注意をしながらストーンゴーレムの核の前まで来た。

短剣を引き抜き溝に差し込もうとした時、ストーンゴーレムの体からパラパラッと土が崩れる。

咄嗟に後ろへと飛び退く!


ドオォォォォン!!


爆音が響き、土煙が上がる!

今まで立って居た所にストーンゴーレムの腕が振り下ろされていた。

ファイティングラビットが潰されたのはこれが原因か!!

恐らくストーンゴーレムは近づいてきた獲物をその巨大な腕を使って叩き潰してから捕食するのだろう。

危なくミンチにされる所だった。


「でも、なんで気が付かれた!?」


獲物を仕留め損なったストーンゴーレムが立ち上がり此方を向く。

単純な事だった。

核である赤い宝石がてっきり背面にあると思っていたら、正面に付いていたのだから。


「ああ、そう言う事か。そりゃあ、幾ら隠密で気配を殺しても、正面から近づけば気付かれるよな。」


『スキル:視線感知を取得』


唐突にメッセージ画面が現れる。

視線感知か…。

もう少し早く取得出来ていれば、正面から近づく愚を犯さずに済んだのだが…。

済んだ事は仕方が無い、残念だが不意打ちは失敗だ!

俺はストーンゴーレムから距離を置く、隠れていた三人が駆け寄ると戦闘が始まる。


「不意打ちは失敗した!みんな!核は諦めて破壊するんだ!」


メリクスが声を上げ、ストーンゴーレムに向って右側に、


「…前に出る!」


ガ・ショウが左側に陣取り攻撃を捌く!

ストーンゴーレムが剛腕を振るう!

ガ・ショウは、盾を用いて直接受け止めるのでは無く、盾の上を滑らせる様に攻撃を受け流す!

メリクスは、あえて敵の懐に飛び込みギリギリの所で攻撃を躱す!

しかし!ストーンゴーレムはその巨大な腕を振り回す度に、腕を構成している岩石の一部をまるで散弾銃の様にばら撒く!

散弾の直撃こそ受けないが、二人とも少しずつダメージを受けて来ている。

俺は魔法弓による援護射撃を行うがストーンゴーレムは核への攻撃には、敏感に察知してガードをして来る為、思う様に援護出来ない!

そんな中、メリクスが叫ぶ!


「ボン!そろそろ頼む!!」


「応!!任せろ!!」


メリクスにお願いされたボンは俺の元を離れ、ガ・ショウ、メリクスの後ろへと就くと詠唱を初めた。


「火よ。すべてを灰に戻す力を此処に。ファイヤーボール!」


詠唱を終えたボンの右手には火の玉が浮かんでいた。

文字通りファイヤーボールである。


「メリクス!ガ・ショウ!退け!!」


ボンの合図と共に二人が左右に避ける!

それに合わせてボンが右手に燃えるファイヤーボールを投げつける!!

するとストーンゴーレムは危険を感じたのか腕を交差して防御の構えを取る。

しかし交差した腕にファイヤーボールが着弾するとボワッと炎がストーンゴーレムを包み込む。

炎に包まれたストーンゴーレムはゆっくりと動きを緩めて行き、最後には物言わぬ土塊に成ってしまった。


「良し!倒したぜ!」


ボンがガッツポーズをしながら此方を向く。


「どうだ?ユウシ?俺の魔法は?凄い威力だろう?」


「あ、ああ!すごい!すごいよ!ボン!」


あれが、ファイヤーボール…。

魔法と言ったら先ず最初に出て来るのがこれだろう。

俺も攻撃魔法覚えたくなったな…。


「良いな。俺も攻撃魔法を使ってみたい!ボンはどうやって攻撃魔法を覚えたんだ?」


「俺か?俺は貴族時代に習ったんだよ。普通に覚えようと思ったら、結構な金が掛かるぞ。」


先立つ物は金か…。

ファンタジーでも案外世知辛い物だな…。


「おーい。核、回収してきたよ。」


ボンと喋っている間にメリクス達が戻って来た。

メリクス達が回収して来た核は熱により変形していた。


「核ってこんなに熱で変形していても買い取ってくれるのか?」


「うん。大丈夫、買い取ってくれるよ。もちろん価値は下がるけどね。」


それに今回は討伐証明の為でも有るそうなので問題無いそうだ。

しかし、凄い炎だったが、良く考えればストーンゴーレム相手に良く火が効いたと思う。

そんな事を質問してみた所、メリクスが説明してくれる。


「ストーンゴーレム自体に火は効かないんだけど、核は実は火に弱いんだ。核が表面に剥き出しに成っていたのが幸いしたね。」


そんな説明をしている傍で、ガ・ショウが鞄から赤い液体の入った瓶を取り出す。


「…ん。」


四本の瓶を取り出すと、全員に差し出す。


「有難う。」


「悪いな。」


メリクス、ボンが受け取り、俺にも差し出される。


「俺にも?有難う。」


ガ・ショウに礼を言い、受け取る。


「これは何?」


「何?ってポーションだろ?ガ・ショウがくれるってんだ、貰っとけ。」


ボンは、俺の質問に答えながらポーションを飲み干す。

そうか、これがポーション…。

いわゆる体力回復アイテムである。

盗賊の鑑定眼で見て観る。


『薬・体力回復ポーション(微)・青銅貨5枚』


要するに今の戦闘での傷をこれで癒せと、言う訳だな。

さすが気配り上手。

俺は早速、瓶の蓋を開け、中身を飲む。

意外と飲み口爽やか、柑橘系の風味…。

ジュース感覚で飲める。

しかし所詮ポーション(微)の回復力。

回復したのは20ポイント程だった。

同じ事を考えていたのか、ボンが呟く。


「この回復ポーションって回復量少ないよな?」


「そうだね、回復量を増やすなら、高価なポーションを買わなきゃいけないしね。先輩の冒険者の人が忠告してたけど、生き残りたいならポーションに金を惜しむなって言ってたよ。けど、僕等みたいな駆け出し冒険者にそんな余裕無いよね。」


確かに冒険者は何かと金が掛かる…。

剣や鎧とか結構な金額がする物だしね。


「でも、その先輩冒険者の人の言う事、分かる気がするな。」


「如何言う事だ?ユウシ?」


ボンの質問に俺なりの解釈を伝える。


「だって、この回復ポーションって意外と量が有って腹に溜まるじゃないか。その割に回復量が少ない、なら、期待通りの効果を発揮するには数本飲まなきゃいけない。腹がチャプチャプして通常通り動ける?」


言われてみてボンを含めた三人が納得する。

平常時でなら、解らなくも無いが、戦闘中に口にするのは、流石にキツイと思う…。

ゲームなんかをプレイしている時はポーションがぶ飲みで回復していた記憶が有るが、キャラクターにとっては堪らなかっただろうな…。


「なるほど、つまり、大きく回復して、ポーションを使う回数を減らす事が大事って事だな。」


「そういう事。だから回復魔法も併用する事が大事なんだね。ほら、三人とも小ヒールを掛けるよ。」


俺は、小ヒールで三人のHPを回復させて、次の戦闘に備えるのだった。


UPしました。

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