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ストーンゴーレム討伐へ・討伐開始

~第三十五章~ストーンゴーレム討伐へ・討伐開始


分かれ道で降りた俺達は馬車に別れを告げると、モーラ山へと向かい街道を歩き出した。


「ここから徒歩、一時間位だっけ?」


俺がメリクスに問う。


「うん。ここから山道に向うんだ。丁度、一時間位でストーンゴーレムが確認された峠道に到着すると思うよ。」


そんな話をメリクスと話していると、前方を歩くボンに手で静止を掛けられる。


「みんな!魔物だ!」


ボンの掛け声に三人はそれぞれの得物を抜き放つ!

俺も魔法弓を構え魔物の接近に備える。

ボンが叫ぶ!


「来たぞ!!」


前方の茂みがガサガサと揺れる…。

揺れが収まる…。

と、突如、茂みを大きく越えて魔物が襲い掛かる!

魔物の姿は…、猪だ!だが普通の猪よりもデカい!!

盗賊の鑑定眼で確認する。

『魔物・ワイルドボア・銅貨3枚』


「ワイルドボアだ!突進に気を付けろ!」


ボンが叫ぶとメリクスが俺達に指示を飛ばす。!


「ユウシは弓で牽制!ボン!ユウシを守れ!行くぞ、ガ・ショウ!僕たちは前でワイルドボアを引き付ける!」


咄嗟に四人は連携を組む!


「くらえ!!」


まず俺がワイルドボアに矢を射ち込む!

矢を射ち込まれたワイルドボアは「ピギャ!」と短い悲鳴を上げると、矢を射ち込んだ俺に狙いを定める。

ガシガシと、地面を足で掻くと此方に突進をして来ようと走り出すが。


「…させん!」


ガ・ショウが大盾を構え、勢いに乗りきる前のワイルドボアの正面に立ち、突進を食い止める!

ワイルドボアも突然目の前を塞がれ急には方向を変えれない。


「セイッ!!」


その隙を狙ってメリクスがワイルドボアの側面を撫でる様に水平に切り裂く!

又も「ピギャァァア!!」とワイルドボアが悲鳴を上げる!

その隙を狙い、ボンがワイルドボアに向い走る。

ワイルドボアの正面に立つガ・ショウの背中を足場にトンッと宙に舞う。


「いただきだ!」


短槍を自重を掛けてワイルドボアの脳天へと突き刺す!

ワイルドボアは悲鳴を上げる事無くグラリと態勢を崩し、倒れた…。

皆、強い!俺、矢を一本撃っただけで終わったよ。

などと、思っていると画面が表示される。

『LVUP!! 9→10』

今の戦闘でLVが上がった様だ。

LVの確認の為、コントローラーを取り出して、ステータスを開いてみて気が付いた。


「簡易的だけど三人の情報が確認出来るぞ!?」


俺のステータス欄の隅に三人の名前とHP/MPバーの表示が増えている。

眺めていると画面にメッセージが表示される。


『パーティー表示機能をONにしますか?』


とりあえずONにしてみよう。すると今まで視界の隅に表示されていた俺のHP/MPバーの下に三人のHP/MPバーが表示された。


「なるほど。パーティー組んでるから、メンバーの状態を確認出来るって事か。」


ゲームなんかじゃ、この簡易表示を利用して回復職がメンバーの回復や補助をするからな。

だが実際、異世界にやって来て、パーティー限定とは言え、他人のHP/MPが見えるのは中々、便利な機能だ。


ステータス画面を閉じ、三人を見ると、倒したワイルドボアの前で何やら唸っていた。


「何を唸っているんだ?」


三人に近づき尋ねる。


「うん。それがね。この倒したワイルドボアは、如何しようかって、話し合ってたんだ。」


「ああ。流石にこんな大物担いでストーンゴーレムとは戦えねぇだろ?」


「…かと言って此処に捨て置くのも、…勿体無い。」


なるほど。確かにこんな大物、捨て置くのは勿体無い。


「だが心配は要らないぞ!俺に任せろ!」


俺はサイドバッグにワイルドボアを収納する。

すると三人から驚嘆の声が上がる。


「おお!ユウシ君すごい!」


「ユウシ!お前マジックバッグ持ってたのかよ!?」


「…!!」


三人の反応がちょっと嬉しい。


「でも、ユウシ君のお陰で討伐した魔物の素材を泣く泣く諦めて置いて行かなくて良くなったのは大きいよ!」


「そうだぜ。これなら今日は山ほど魔物を狩って金に換えちまおうぜ!」


「…♪」


…あれ?俺、荷物持ちに成ってない?いやいや、只の気のせいだろう。

いわゆる適材適所ってやつさ。

そんな事を話しながら山道を俺達は進んで行く。

一時間程歩いた所で問題の峠に到着した。


「こんな所にホントにストーンゴーレムなんて居るのか?」


辺りを見回すがそれらしき影は見当たらない。

辺りを探そうと一歩踏み出した所をガ・ショウに止められる。


「…居た。…あそこだ。」


少し離れた所を指す、示した方を見るが岩が転がっているだけで何もいない。


「何処だよ?居ないじゃ…。」


そう、ガ・ショウに尋ねようとした時、指さした所にファインティングラビットが草むらから出て来た。


「なんだ。ファイティングラビットじゃないか…。」


ドオォォォン!!轟音と共にファイティングラビットが一瞬で潰された!

一体何事!?

指示した場所は土煙に覆われている。

少しの間、土煙が晴れるのを待つ。

土煙が晴れると其処には、赤く染まった大地とファイティングラビットだった肉塊が有るだけだった…。

一体何が…?

と思った瞬間!肉塊の前に有った岩の塊が突如動き出す!

ストーンゴーレムだ!

ストーンゴーレムは潰したファイティングラビットの上に来るとその上に座り込んだ。


「なあ、あのストーンゴーレム、何してるんだ?」


俺はガ・ショウに問う。


「…ああやって捕食する。」


メリクスもやって来て補足を加える。


「ゴーレム種って言うのはね、体を構成する殆どは自分じゃ作り出せないんだ。だから周囲の物から体を構成する岩や鉱石を調達するんだよ。今はああやって他の生物から体液を補充しているんだよ。」


「へぇー、ゴーレムってそんな生き物なんだ…。って、ちょっと待って。体の殆どが自然の岩石なら攻撃って通じるのか?」


「当然、効かないさ。剣が欠けるぞ。」


さも、当然と言う様に答えやがった。


「じゃあ、どうやって倒すんだよ?」


「倒し方が有るのさ。あっ!ほら!あのゴーレムの背中を見て。」


メリクスに言われてウサギの体液(血液)の上に座っているストーンゴーレムを見る。

すると、背中?(前後の区別が付かない)に何か赤い宝石の様な物が付いているのが見えた。


「何か…。赤い宝石みたいな物が付いてるけど?」


「そう!それがゴーレムの核さ!ゴーレムは基本的にその核を壊すか、引き抜けば、只の土塊に戻るんだ。」


「そうやって倒すのか。でも、倒すなら引き抜くより壊した方が楽じゃないのか?」


「ゴーレムの核は、無傷なら高く売れるんだ。」


ボンが会話に混ざって来てメリクスに提案する。


「なあ、メリクス。今ならあのストーンゴーレムから核を無傷で引き抜けるんじゃないか?」


「そうだね。食事に夢中だし、幸い此方に気が付いてない上に背中を向けてる。音を立てずに近づけば出来そうだね。」


音を立てずに接近か…。あれ?盗賊の俺の出番?


「俺…一応、隠密が使えるけど?」


「「それだ!」」


二人が口を揃えて俺の方を見る。

そんなに期待を込めて見るなよ。

ちゃんと行くって。


「ストーンゴーレムに気が付かれたらすぐに俺様達が向うからな。お前はすぐに距離を取れよ!」


「核はナイフで抉れば簡単に取れるハズだからね。気を付けて!」


ボンとメリクスが心配してくれる。


「分った。じゃ、行ってくる。」


俺は大きく息を吸うと、気配を殺してストーンゴーレムに近づく。

気配を殺したまま背中へと近づく。


「(でかい!遠くからじゃ解らなかったけど、2メートル位あるぞ!)」


幸い、核は手の届く高さに在る。

腰に差していた短刀『闇烏』を引き抜き核が填まっている溝へと差し入れる。

すると、核はポロリと溝から零れ落ちた。

残されたストーンゴーレムの体はもう、只の岩の塊に成っていた。


「スゲーじゃねぇかよ!!ユウシ!無傷の核を手に入れちまったぜ!!」


ボンを先頭に三人が近づいて来る。


「ユウシ君、凄かったよ!まったく気が付かれて居なかったもの!!」


「…見事。」


いやあ、褒めても何も出ないぞ。三人とも。

しかし、褒められるのは悪い気分ではない。

しかし、ストーンゴーレムも言うほど強敵では無かったな。

肩すかしも良い所だ。


「さて、ストーンゴーレムも倒した事だし、そろそろ山を下りようか?」


メリクスに提案する。

が、メリクスは、首を横に振る。


「ストーンゴーレムは全部で三体居るんだよ。」


「「「聞いてないよ!?」」」


俺、ボン、ガ・ショウは口を揃えて叫んだ。

UPしました。

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