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文字を覚えたい

~第三十章~文字を覚えたい


「さて、教会を目指すのは良いけど場所が解らないんだよな。まあ、適当にその辺の人に聞いてみるか。」


俺は道行く男性に声を掛ける。


「すいません。ちょっと道を尋ねたいのですが。」


「ああ、良いぜ。旅人さんかい?何処へ行きたいんだい?」


「教会を探しているんです、場所を教えて戴きたいのですけど?」


「ああ、教会かい、それなら冒険者ギルドから出て、北へ真っ直ぐ行ったら見えて来るよ。」


「そうですか、有難う御座います。」


俺は男性にお礼を言って教会へと歩き出す。

少し歩くと教会と思しき建物が見えて来た。

建物の前には教会に仕えるシスターと思われる人達が居るので此処で間違いないだろう。

シスター達とすれ違う時に軽く会釈を交わして俺は教会の扉を開いた。

教会内部には祈りを捧げる市民の他に神父さんが居たので、神父の方へと近づく。


「すいません。お聞きしたい事が有るんですが、良いですか?」


「教会へようこそ。私に答えられる事でしたら、何でもお聞きください。」


「教会では、文字の読み書きを教えているとお聞きしたんですが、教わる事は出来るんでしょうか?」


「はい、普段でしたら、お教え出来るのですが…。すみません、読み書きを教えているシスターが只今、王都へと出払っておりまして、現在はお教えする事が出来ないのです。」


「そうですか…。それならば仕方が無いですね。」


教えてくれる人が居ないのならば仕方が無い、暫く以来の内容は受付嬢のお姉さん達に読んで貰おうか…。

諦めて立ち去ろうとする俺を神父は呼び止める。


「お教えする事は出来ませんが、読み書きの基本を収めた本をお譲りする事は出来ますよ。」


「本ですか?」


「はい。本を元にご自身で勉強できますので、自分のペースで勉強できます。忙しい方達には好まれていますよ。」


つまり教科書をあげるから、自分で勉強しろって事か、依頼を受けながら空いた時間に勉強した方が効率は良いか…。


「その本、譲って貰っても良いですか。」


「ええ、構いませんよ。それでですね…。出来ましては当教会へとお心づけをお願いしているのですが…。」


なるほど、本を譲るから、それに見合った寄付をしてくれと言う訳か。

俺はサイドバッグから銀貨2枚を取り出すと、神父へと手渡す。


「お心遣い有難う御座います。」


神父は恭しく受け取ると代わりに一冊の本を手渡してくれた。

盗賊の鑑定眼で確認すると、『本・ラルシャル王国語・銅貨10枚』と表示される。

ラルシャル王国語か…。


「すいません、変な事を聞きますが、この国の名前、何て言いますか?」


「え?ラルシャル王国ですが…?」


「ですよね…。」


神父に変な顔をされたが、適当に誤魔化しておく。

どうやらこの国の名前はラルシャル王国と言うらしい。

王国と言うからには当然、王様が居るのだろう。

まあ、俺には関係の無い事だ。

今はとにかくこのラルシャル王国語を習得せねば!

俺は神父に礼を言うと教会を後にした。

教会を出た後、腰を下ろせる場所を探して教会の裏手まで来た所でベンチを見つけたので、腰を下ろす。

早速、神父から貰った(買った)ラルシャル王国語の本を開く。

やはり見知らぬ文字だ。記号が並んで居るだけで、全く読めない…。

パラパラとページを捲り、流し見る。

最後のページを捲り終わった瞬間!

メッセージ画面が現れ『スキル:言語・ラルシャル王国語を取得』と表示される。

スキル、取れるのかよ!

早速SPを最大値まで振る。


・ステータス・アイテム・設定      金貨:1・銀貨:11・銅貨:20

・NAME「オオトリ ユウシ」      冒険者ランク:E

・称号:盗賊見習い・ドワーフの友・キラービーキラー

・LV:9

・HP:900/900

・MP:720/720

・SP:108

・職業:盗賊

・スキル

 ・開錠魔法 LV:10/10       言語:ラルシャル王国語 LV:10/10

 ・隠密   LV:10/10

 ・盗賊の鑑定眼 LV:10/10

 ・スタン  LV:10/10

 ・剣術   LV:10/10

 ・投擲   LV:10/10

 ・弓術   LV:10/10

 ・挑発   LV:1/1

 ・騎乗   LV:10/10

 ・回復魔法 LV:6/6 (・小ヒール)


ステータスを閉じ、再びラルシャル王国語の本を開く。


「おお!読める!読めるぞ!!」


先程、本を開いた時は意味の解らない記号が並んでいる様にしか見えなかったが、今は何故かすべて日本語変換されて普通に読む事が出来る。

どうやら自動で翻訳してくれるようだ。

試しに文字を書いて神父に見せてみたが、こちらも自動で翻訳して相手に伝わる様だ。

ちなみに、たった今、本を渡した相手が文字を書いて見せた事に少し驚いていた。

しかし、せっかく銀貨2枚も出して手に入れた教科書が速攻で不要に成ってしまった。

ちょっと複雑だが、捨てるのも癪なので、このまま持っておこう。

まあ、どこかで役に立つだろう。

しかし、これでギルドの依頼を自分で選んで受けられる様になった訳だ!

俺は再び、依頼を受ける為、冒険者ギルドへと戻って行った。


UPしました。

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