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此処どこですか?

~第二章~此処どこですか?


どれ位寝ていただろうか?

頬に固い感触を覚え目を覚ます。が、真っ暗である。

何時の間に電気を消して寝てしまっていたのだろうか?頬の感触から考えると石作りの様な物の上で寝ていた様だ。頬が痛い。

電気を点けようにも真っ暗すぎてスイッチがどこに在るかも分らない。

ふっと思い出しポケットの中からスマホを取出し、カメラのライトを起動させて、絶句する。


「なっ!?」


言葉が出ない。というか現状が理解できない。

ライトで照らし出された其処は、見慣れたアパートの一室ではなかった。

広さ的には部屋と同じぐらいだったが其処は石材で組まれた部屋だった。

所どころ苔むしている部分も見受けられる。

映画などで見られる遺跡っぽい感じだ。


「な、何なんだ此処は!?俺は何でこんな所にいるんだ!?」


今まで自分の部屋に居たのに、ふと気が付くと突然遺跡風の小部屋にいる、まったく意味が分からずパニックになる。

誘拐でもされたのか?と思ったが、そもそも誘拐などされるような心当たりなど当然無い!手足も縛られていないし…。

一度落ち着こう。深呼吸。

一度パニックになれば、後は冷静になるしかない。

まずは時間の確認、腕時計を確認してみると午前5時20分程を指している。9時間ほど眠っていた様だ。落ち着いて周囲の状況を確認して行こう。

俺はスマホのライトを頼りに部屋の中を照らしてみた。


「これ…、俺の部屋の荷物か?」


遺跡風の部屋には似つかわしくない服や小物などが部屋の中に散らばっていた。

その先の壁に光を当てると取っ手のような物を見つけた。どうやら扉の様だ。


「開けてみようか?扉の向こうに誘拐犯がいる!何て事は無いよな…。」


恐る恐る取っ手に手を掛ける。動かない。鍵が掛かっている訳では無いようだ。


「錆びついてる。衝撃を加えれば開くかな?」


扉に体当たりしてみる。パラパラと錆びや埃、土くれが落ちる。

ギギギっと音を立てて扉が開く。

開いた扉の奥をのぞき見て薄々感じていた予想が現実となった。

扉の先はやはり遺跡風の広い部屋が広がっている。

恐らく此処は遺跡風ではなく本当に遺跡の様だ。

部屋に戻り考える。このまま助けが来るのを待つべきか否か。そこで思い出す。


「スマホが有るんだから電話して助けてもらえばいいじゃん!」


こんな簡単なことに気が付かないなんて余程テンパっていた様だ。

とりあえず警察だ。

110で発信・・・・・・・・。繋がらない。圏外だ・・・。

遺跡の中だから繋がらないのだろうか?


「これは、自分で行動起こさなきゃ、中で野垂れ死にするのでは?」


さて、行動するとなったら早速動こう。

ぐずぐずしているとスマホの充電が切れてライトが使えなくなってしまう。

そうなれば暗闇に逆戻りだ。それは不味い。しかし、慌ててはいけない。

まずは散らばっている荷物の中から使えそうな物を見つけよう。

五分ほど探して見つけた。

『非常持ち出し袋』心強い!まさしく今という非常時に頼りになる袋だ。

中身を確認してみる。『手回し式発電懐中電灯{スマホ充電出来ます}、水入りペットボトル×2、乾パン二缶、ラジオ、救急セット、マッチ、皮手袋』

手回し式発電懐中電灯!!

ありがたい!!ありがた過ぎて涙が出てきそうだ。

これでスマホのバッテリー残量を気にせず探索できる。スマホをポケットに突っ込み、懐中電灯の明かりを点け、荷物の探索を続ける。

衣服や下着数点、ついでに家の鍵を拾い、袋の中に一緒に詰め込む。


「あとは何か武器になりそうな物は無いかな?」


辺りを見渡し見つけた。フライパンだ。


「・・・。これで殴られれば痛いか・・・。」


フライパンを持って行く事にした。


「無いよりマシか・・・。」


準備も整い出発しようと踏み出した時、何かを蹴とばした。


「うん?何を蹴った?」

確認するとそれはゲーム機のコントローラーだった。こんな物まで紛れ込んでいるとは…。

まあ、気を失う直前まで持っていたハズなのだから此処に在っても不思議はないか…。

コントローラを拾おうとして手を伸ばす。拾い上げる時に思わずボタンを押してしまった、

その瞬間「フォン」という軽い音と共に目の前に白い板が表れる。


「っうわ!?なに!!?」


突然の出来事に思わず後ろへ飛び退く、白い板は等間隔を開けたまま付いてくる。飛び退いた拍子に後ろへ派手に転倒したが、白い板は何事も無かった様に沈黙を保っている。

恐る恐る白い板を覗き込んで見る、そこには何やら文字が刻まれていた。

板の一番上に見覚えがある文字が浮かんでいた。『オオトリ ユウシ』俺の名前だ。

板をよく確認してみると其処には「ステータス」の文字が確認できた。


「これは…。俺のステータス画面?」


ステータス画面には以下の情報が見て取れた。


・ステータス

・NAME「オオトリ ユウシ」

・称号:なし

・LV:1

・HP:100/100

・MP:80/80

・SP:0

・職業:盗賊

・スキル

 ・なし


そっとステータス画面に手を伸ばしてみる。が、手が画面を通り抜けてしまい触れる事が出来ない。困った。どうすれば消えてくれるのだろうか?「消えろ、消えろ!」と念じてみるも消える気配が全くない。正直目の前にずっと表示され続けるのは嫌がらせに近い。

視線を横に流すと先ほど驚いた拍子に落してしまったコントローラーが目に入る。


「まさかな・・・。」


コントローラーを拾い上げ、ボタンを順番に押してゆく、STARTボタンを押した瞬間「フォン」と軽い音と共にステータス画面が目の前から消える。


「マジかよ、まるでゲームみたいだな…。っっ!」


自分の一言で可能性が一つ生まれた事に気が付いた。ゲームのようなステータス画面、「ゲームのような」では無く本当にゲームの中だとしたら…。STARTボタンを押しもう一度ステータス画面を表示する。


・ステータス

・NAME「オオトリ ユウシ」

・称号:なし

・LV:1

・HP:100/100

・MP:80/80

・SP:0

・職業:盗賊

・スキル

 ・なし


「俺、夢でも見てる?イッッテ!?」


自分の頬をギュッと強く捻ってみる。

どうやら夢では無いようだ。HPも100から99に減っていた。

頬を擦りながら仮説を立てる。

どうやら此処は俺がプレイしようとしていた『エンドワールド』の中、もしくはそれに似た異世界なのでは?

ラノベの展開としてはよく目にする鉄板ネタではあるが、自分が巻き込まれるとなると突然すぎて理解できない物である。

とにかく今は情報が少なすぎる、まずは此処を脱出する事から始めよう。

STARTボタンを押しステータス画面を閉じた。このコントローラーも忘れずに持って行かなければ。

俺はコントローラーを袋に入れ、準備を完了させた。


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