表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/153

殺人蜂の毒針

~第二十章~殺人蜂の毒針


次の日の朝、出発準備を始め馬の準備をしていると、村の中がザワザワと騒ぎ出した。すると、村人と思われる青年が広場へと駆け込んで来た。


「た、大変だーーー!!魔物が出たぞー!!子供が魔物の毒にやられた!」


青年の元へと駆け寄る村の人達に紛れて青年の話を聞くと、どうやら、サリオンの村付近の草原にキラービーという蜂の魔物が出たらしい。さらに近くに偶然居合わせた子供達がキラービーに襲われ毒針を受け教会に運ばれたらしい。


「ユウシ殿、我らは先を急がねばなりません。子供達は可愛そうですが我らには如何しようも無い事です。先を急ぎましょう。」


確かに俺達が行った所で毒を治してはあげられない。ディアスの言う通りだ。

ディアスが馬を出そうとした所で村の青年に止められる。


「レミアムの街に向われるのなら止めた方が良いですよ。キラービー達はサリオン村とレミアムの街を繋ぐ街道付近にも出没する様ですから…。」


それを聞いてディアスは考え込む。


「困りましたね。これでは身動きが取れなくなりました。少し対策を考えないとですね。」


途方に暮れるディアスに俺はとりあえず教会へ子供達の様子を見に行く事を告げ、その場を後にする。

教会の前まで来ると子供達を心配そうに見守る村人達で教会は溢れていた。

子供達、三人が教会の中で看病されていた。

どの子供達も額に汗をかき、苦しそうに唸っている。

子供達を看病する人の中に見知った姿を見つける。

エリナさんだった。

そういえばエリナさんは教会のシスターをしていると、他のシスターさんが言っていたのを思い出す。

エリナさんは子供たちの汗を拭ってあげると、両手の平を子供の胸の上にかざし、呟く。


「大いなる大地の息吹を分け与えたまえ。ヒール!」


すると柔らかな緑色の光が手の平から現れ、子供を包み込む。

緑色の光に包まれた子供は一時、安らかな顔をするが、数分もするとまたも苦しみだした。

すると今度は別のシスターがエリナさんと交代して、緑色の光を発し始める。

エリナさんの手が空いた様なので話しかける為に近づく。


「エリナさん、大丈夫ですか?」


エリナさんの近くに来て彼女の顔色の悪さに気が付く。


「ああ、ユウシさん。はい、魔力を使い過ぎただけですから…。時間が経てば平気です。」


「そうですか。で、子供達はどうですか?治りそうですか?」


「いえ、あまり状況は余り良くありません。」


エリナさんは小声で語り掛けてくる。少し席を外した方が良いかもしれない。

俺はエリナさんと人気の少ない方へと移動した。


「で、状況が悪いとは?どういう事なのですか?」


「実は、今この教会にはキラービー用の毒消しが無いのです。」


「毒消しが無い!?他の街から持ってくるのは駄目なのですか?」


此処に無いのならば他から持って来るしか無いのでは?


「レミアムの街にならば有るハズなのですが、街道にはキラービー達がいて通れません。」


そうだった、村の青年もそんな事を言っていた。


「エリナさんが使っていた緑色の光じゃ、駄目なんですか?」


「私達が使用していたのはヒールなのです。毒を受けた人は体力を奪われますから、ヒールを用いて体力を回復してあげるのです。もっとも、毒を治療しない限り一時凌ぎにしかなりません。」


「では、街から薬が届くまでヒールを掛け続けるんですか?」


「いえ、ヒールは魔力を大量に使いますから、回復魔法を使える人達が交代で使用していますが、もって今日の昼頃には使い果たしてしまうでしょう…。とても街から薬が届くのを待ってはいられません。」


何という事だ!八方塞がりではないか!毒に苦しみ、顔を歪ませる子供達を黙って見て居なければいけないとは!アンブロシアを使用してみようか?と思っていると、何やら村の入り口の方が騒がしい。

様子を見に行ってみると数人の男を村人達が押さえつけている様だ。

押さえつけられた男達が叫んでいる。


「は、はなせ!!俺は、キラービーの巣へ行って薬を取って来るんだ!!」


どうやら子供達の父親達の様だ。鬼気迫る表情で抑え付けられている。

無理もない。自分の子供の命が掛かっているのだから。


「だ、駄目だぁ!!あぶねぇ!幾らなんでも巣に行くなんて死ににいくようなもんだべ。」


村人が止めるが父親達は振り解こうと暴れている。

…父親の一人が今、気になる事を言っていたな。


「エリナさん、キラービーの巣には薬があるんですか?」


「えっと、薬と言いますか…。巣には女王が居てですね。女王の持つ針からはキラービーの毒を中和する薬を作る事が出来るんです。でも、当然巣には沢山のキラービー達もいますから、かなり危険なんです。って、ユ、ユウシさん!?」


それだけ聞ければ十分だ。父親達の所へと歩み寄る。


「俺が取って来るよ!」


村人たちの視線が俺に集まる。

父親達の一人が話しかけてくる。


「冒険者の方ですか!?本当に、本当にお願いしても宜しいでしょうか!報酬は多くは用意出来ないかもしれません!ですが!必ずお支払いしますから!…子供を助けて下さい!!」


そう言って父親達は深く頭を下げる。


「分りました。最善を尽くします。」


俺を追ってエリナさんが追ってくる。


「ユ、ユウシさん!?本気ですか!危険なんですよ!最悪死んじゃうかも知れないのに!」


「でも、このままじゃ、子供達が持ちません。それに彼らが探しに行くよりも俺が探しに行った方が早いです!」


「で、ですが…。いえ、分かりました。では、私も一緒について行きます!」


UPしました。

なろうコン大賞に応募してみました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ