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商人

~第十七章~商人


襲われている馬車はとても大きな物だった。

前方に馬を四頭も繋げて引かせている。

しかし大きい故に速度が出せないのだろう、後ろからは武器を掲げた男達が追って来ている。

男達を見た所、俺が以前、襲われた山賊の様な格好をしている。

恐らく彼らは山賊なのだろう。そう思ったら何だか急に腹立たしくなって来た!

以前、襲われた時は、成す術も無く殺されかけたのだ!

だが今ならどうだろう?

人間なんてハングリーベアに比べれば可愛いものである。

俺は馬車を助ける事にした。

しかし山賊の方が馬車に取り付くのが早かった!

馬車を止め、取り囲んでいる。

山賊は馬を馬車に繋いでいた綱を手にした剣で切り裂いた!

途端に自由になった馬達は四頭の内、二頭が馬車を置いて走り去ってしまう。

あれでは馬車は身動きが取れない!

山賊が御者に剣を向ける!このままじゃ間に合わない!!

魔法弓を取出し構える!狙いは御者に剣を突き付けている山賊だ!!


「くらえ!」


魔法の矢は放物線を描きながら山賊の肩に突き刺さり手に持っていた剣を落す。

それにより他の山賊が此方の存在に気が付く!!

此方を脅威と取ったのか?矢を受けて蹲る一人を除いて、四人が此方に向かって来る!!


「将を射んと欲すれば先ず馬を射よ!馬に恨みは無いけど…!」


魔法弓を四連射で撃ち込む!馬の首筋に命中して馬達は暴れる!

致命傷は避けている。驚いて暴れてくれる事を願っていたのだが大成功だ!

馬に乗っていた山賊達は暴れ出した馬を制御出来ずに続々と転落して行く。

その機を逃さず一気に間合いを詰め、腰に差した妖精の剣を引き抜く!

まず一人、すれ違いざまに剣の腹で顔面を打ち付ける!山賊は気絶してしまった。

二人目、三人目も勢いに任せ打ち付け気絶させる!

体勢を立て直した四人目の影に短剣『闇烏』を投げ付け動きを封じてから気絶させた。


「よし!こんなモノかな?」


粗方、山賊を片づけ、襲われていた馬車の方へと歩み寄る。


「大丈夫ですか?」


御者台に座っていたのは若い男の人だった。見た所20代といった所だろうか?

馬車に近づく俺に気が付いたのか馬車から降りてくる。


「有難う御座います。お陰様で何とか助かりまし、グゥ!?」


青年が此方に近づこうとした時、青年は突然背後から首を絞められる!首を締め上げる腕には短剣が握られている。


「手前ら!動くんじゃねぇ!!」


最初、青年に剣を向けていた山賊だった。

矢を受けた肩が痛むのか片腕はダラリと下がったままだ。

青年を人質に取られてしまった…。


「動くんじゃねえぞ…。動いたらコイツを殺すぞ!!」


山賊は余程俺を脅威に思ったのか、俺に向かって脅迫をする。

しかし、青年は自分から意識が外れている事を理解すると、護身用とも思える短剣を懐から引き抜き山賊の腕を切りつける。


「ギャ!!」


山賊が短い悲鳴を上げ、青年の拘束を緩めると青年は拘束を解き此方へと逃げてくる。

逃げてきた青年と入れ違いに山賊の元へと駆け寄ると、妖精の剣の腹を顔面に叩き付ける!が、フラフラとよろけただけで気絶しない…。

再度打ち付けるが気絶しない…?

タフな奴だ…。

そういえばスキル:スタンはLV5までしか上げていなかったっけ?

やはりスキルが成功率に関係しているのだろうか?

三度打ち付けてやっと気絶してくれた。

気絶した山賊をそのままに青年の元へと駆け寄る。


「た、助かりました。正直もう駄目だと思ってしまいました。」


そういって青年はその場に座り込む。

俺はサイドバッグから水入りペットボトルを取出し青年へと差し出す。


「これ、水です。よかったら、どうぞ。」


「助かります。もう喉がカラカラでして。」


そういってペットボトルを受け取るが開け方が解らない様なので蓋を開けて差し出す。

青年はペットボトルの水を一気に飲み干してしまった。


「ありがとう。しかし、変わった入れ物ですね?一見、硝子の様だけど…妙に柔らかい?」


青年はペットボトルに興味を持った様だが、すぐに返してくれた。

水を飲み干し、立ち上がった青年は、自己紹介をしてくれた。


「先ほどはどうも有難う御座います。私は商人をしております、ディアス・トレーと申します。」


「大鳥 勇士です。大変でしたね、こんな所で山賊に襲われるなんて。」


「ええ、ですがお陰様で荷物も無事です。ユウシ殿が山賊を退治してくれなければどうなっていた事か…。」


「まあ、山賊は気絶させただけですけどね。」


気絶させた。と聞いてディアスは驚いた表情を浮かべる。


「え!?山賊をわざわざ気絶させたのですか?山賊なんて殺されても文句も言えない奴らですよ?殺してしまう方が楽でしょうに?」


「いや、まあ、そこまでする事も無いかと思ったモノで…。」


人を殺すのが怖いです。とは言えないかな?ここが仮に異世界だとして、山賊を殺す事が此方の日常だとしても、俺は割り切る事は出来ない…。


「なるほど!山賊連中を生け捕りにして奴隷商に売り渡すのですね?」


ディアスは勝手に勘違いをして話を進めている。

と言うか、奴隷が居るのか?この世界?

「山賊達を捕まえる為のロープは私の馬車に使えそうな物が在りますから持って参りましょう。」


そういってディアスは馬車へとロープを取りに行った。

その間にステータス画面を開き、スキル:スタンをLV5からLV10へと上昇させておく。

スキルを上げ終わると同時にディアスはロープを持って戻って来た。

ロープで縛る前に山賊の装備品を剥ぎ取っておく事にする。

これでは目が覚めても反撃して来ようとは思わないだろう。

ディアスと手分けして山賊達を縛り上げるとディアスから提案をされた。


「あの…?ユウシ殿。不躾では在るのですが…。手伝っては貰えませんでしょうか?」


「えっと?手伝うとは具体的に何を手伝うのでしょうか?」


「はい、実は、この馬車の荷物を二日以内にレミアムの街に届けなければいけないのです。しかし、先ほど馬が二頭逃げ出しまして…。このままでは馬車は身動きが取れません。そこでお願いです。馬を一頭お貸ししますので、この先のサリオン村から馬を調達して来ては頂けないでしょうか?私は馬車の荷物を見張っておかなければなりませんし…。」


サリオン村に行けるのは良いが、馬を調達か…、ゆっくり人探しをする暇は無さそうだ。

手間が掛かりそうだし。しかし荷物を運ぶだけならばもっと良い方法が在るのを思いつく。


「ディアスさん、荷物を運ぶことが出来ればこの馬車、このまま放置して大丈夫ですか?」


「は、はい…?商品を届ける事が出来れば問題は有りません。馬車はこの先の村で回収してもらう事も可能でしょうから…。」


「実は俺、マジックサイドバッグを持っていまして…。」


「マ、マジックサイドバッグですか!?珍しい物をお持ちですね。しかし、マジックサイドバッグの容量では流石に馬車一台分を詰め込む事は難しいかと…。」


「たぶん大丈夫ですよ。」


そう言って俺は馬車の荷物をサイドバッグへと入れて行く。

正確にはサイドバッグの中のアイテムBOXに収納しているのだが他から見れば解らないだろう。ディアスはポカンとした目で此方を見ている。

馬車の荷物は武具や食材などの品の他、銅や銀などのインゴットが大半を占めている。馬二頭で引けない筈だ。

荷物すべてを収納し終えた所でディアスが我に返る。


「な、なんですか!?そのマジックサイドバッグは?普通入れられて五種類から十種類程ですよね!?何でそんなに収納できるのですか!?」


ディアスが質問をしてくるのでサイドバッグの絡繰りを教えてあげた。


「アイテムBOX?そのような便利な箱があるんですか…。」


「ええ、その箱をサイドバックに収納しているから物が沢山入るんです。」


ディアスは難しい顔をして何か考えている。


「ユウシ殿…。そのお話、他の誰かに話した事ございますか?」


「いえ。話すのは初めてですけど…?」


「他で口外するのは止した方が良いでしょうね。私、商人をしていますがアイテムBOXと言う箱など見た事は有りません。そんな物が在れば他の商人は是が非でも手に入れようとユウシ殿に詰め寄りましょう。下手をすれば殺されて奪われてしまいますよ。」


「マジですか…。」


これはとんでもない事になった。

お宝の入っていた箱が実はレアモノだったなんて、危うく置いてくる所だった。


「ユウシ殿!先ほど手伝いをお願いしましたが、改めて貴方に仕事の依頼を頼みたいのですが!どうでしょうか!」


「ええ、荷物も入れちゃいましたし、荷物運び位ならお安いご用ですよ。」


「いえ、荷運びも含めて私の護衛もしては頂けませんか?」


UPしました。

小説って書くの大変だな~。


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