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旅立ち

~第十六章~旅立ち


ハングリーベアを討伐して祝杯を挙げる。

そんな席で俺は決意を固め、夫妻へ告げる。


「ドランさん、マヌサさん。俺、明日にでも旅立とうかと思います。」


「なに!?もう旅立つのか?」


「もっと、ゆっくりして行っていいのよ?」


「いえ。もう決めた事ですから。それに、師匠に頼まれた事もありますから…。」


「そうか…。寂しくなるな…。」


その日は、ドランにこれでもかと酒を飲まされた。

次の日の朝、日の出と共に目を覚ますと出立の準備を始める。

準備をしているとドランとマヌサが様子を見にやって来た。


「ユウシちゃん、これ、ユウシちゃんの服と寸法を仕立て直した服よ。持って行きなさい。」


「ユウシ。これ、チャンピオンラビットとハングリーベアの毛皮だ。その他にも使えそうな部位を纏めておいた、持って行け。」


「ありがとうございます。ドランさん、マヌサさん。」


二人からのプレゼントを受け取り、サイドバッグへと収納する。

準備は問題なく終わった。さあ、出発しよう!

家を出ると二人が見送りに出て来てくれた。


「ユウシ、ここから南に真っ直ぐ行けば街道に出る。街道に沿って行けばサリオン村まで真っ直ぐだ。体に気を付けて元気でやれよ!」


「ユウシちゃん、又遊びに来て頂戴。これ、ウサギ肉の燻製よ。道中で食べるといいわ。」


「ありがとう。マヌサさん。ありがたく頂くよ。」


二人にお礼を言って俺はエルフの森を旅立った。

南に歩いてすぐに森の中から抜ける事が出来た。

森を抜けた先は草原になっている。

森林浴も悪くなかったが、だだっ広い草原もいい物だ。

頬に当たる風が気持ちいい。

森を抜けて一息つく事にした。マヌサに貰ったウサギ肉の燻製に噛り付きながらコントローラーを取出し、ステータス画面を表示させる。


・ステータス・アイテム・設定

・NAME「オオトリ ユウシ」

・称号:ドワーフの友

・LV:7

・HP:700/700

・MP:560/560

・SP:111

・職業:盗賊

・スキル

 ・開錠魔法 LV:10/10

 ・隠密   LV:10/10

 ・盗賊の鑑定眼 LV:10/10

 ・スタン  LV:5/10

 ・剣術   LV:10/10

 ・投擲   LV:10/10

 ・弓術   LV:10/10

 ・挑発   LV:1/1


LVは7…。決して高い数字では無いだろう。

道中、魔物と戦う事が有れば、経験値二倍の効果を持つ『妖精の剣』を使ってLV上げをしていた方が良いだろう。

俺はロングソードを仕舞い込み、妖精の剣を装備してから短めの休憩を終えた。

再び歩き出して、小一時間ほど経った頃に街道が見えて来た。


「さて、これはどっちに行けば良いのかな?」


街道の側面から現れたので道は左右に伸びている。サリオン村は南だとドランは言っていたが道は見事に東西に延びている。

これは困った…。

道に都合よく立札が立っている訳もなく、道を聞こうにも人っ子一人、見当たらない。

途方に暮れていると西側から馬車が走って来るのが見えた。


「しめた!あの馬車の人に道を聞こう!!」


あわよくば、ついでに馬車に乗せて貰えないか交渉してみるのも良いな、などと考えていると馬車が目視できる距離に近づいて来た、後から馬に乗った人たちが五人くらい付いて来るのが見える。中々の大所帯だ。と、思ったが何やら様子がおかしい…?

後から追って来ている馬に乗った人達は何やら武器を掲げている。


「あれは…。馬車が襲われてる!?」


UPしました。

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