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火鼠と王者

~第十四章~火鼠と王者


「ありがとうユウシ!お前ならそう言ってくれるんじゃ無いかと思っていたよ!」


ドランに肩をバンバンと叩かれる。チョット痛い…。


「で、ドランさん。具体的にはどうするつもりですか?」


相手は強力な魔物だ、作戦も無く真っ向勝負では負けは目に見えている。


「うむ。先程、ウサギ達にリーダーが居ると言ったのを覚えているか?」


「は、はい。リーダー格が群れを率いて居るんでしたよね?」


「まずは、このリーダー格を探し出して打ち取る!そうすればウサギ達は統率を失い、自然と元居た場所へと帰って行くだろう。後は、深層から出てきた魔物は罠を仕掛けて仕留める!」


「では、まずはウサギ達のリーダー討伐からですね?」


「ああ、討伐が出来れば深層の魔物と戦う時に邪魔はされなくなるだろうからな。」


作戦を決めたら早速行動に移す。

ドランさんは対深層魔物用の罠を作りに行った。

俺は、マヌサと一緒にウサギ達のリーダーを探す為に森へと入る。

マヌサさんは危ないから家に居た方が良いのでは?と話をした所、戦闘においてはマヌサの方がドランより強いのだそうだ…。

ドランは、その強さに惚れたのだそうだ…。

探索の途中、一匹のファイティングラビットに襲われたが、マヌサの戦鎚一振りで吹き飛ばされていた。マヌサ、めっちゃ強い!!

これは、マヌサを前衛にして、俺は後衛に徹した方が効率が良さそうである。

そこで俺は思い出す。


「確か、俺、弓もってなかったっけ?」


アイテムBOXから弓を取出してみる。

『弓・魔法弓・LV:EX・属性換装弓・買取不可』

これならば後ろから援護攻撃が出来る。

早速使ってみよう…。と思ったけど、しまった!!矢が無い!!


「痛恨のミス!矢が無いんじゃ、使えないじゃん!」


愚痴りながらそっと弦を軽く弾くとシュンと光が飛び出る。


「あれ!?なんだ?」


もう一度、今度はシッカリと弦を弾く。すると光が集まり一本の矢になった。

弦を話すと光の矢はシュッと飛んで行き近くの木へと音も無く、深く突き刺さった。

矢の要らない弓の様だ。

しかし矢を放つと同時にMPゲージから、少量MPが減少したのを俺は見逃さなかった。

光の矢は一発放つごとにMPを5消費する様である。

MPを消費して矢を放つのならば光の矢では無く魔力の矢。と言った方が良いだろうか?


「へぇ。ユウシちゃん、便利な弓を持ってたんだねぇ。これなら後衛を任せちゃおうかな?」


マヌサが関心したように俺の方を見ていた。


「はい。バッチリ援護しますね!」


胸を張って答えておいた。そんな話をしていると視界の先にファイテングラビットともう一匹、大きなネズミを発見した。


「マヌサさん、魔物を二匹見つけました。まだ、こちらに気が付いて居ないようです。早速、弓を試してみようかと思うんですが…。ウサギとネズミ。どちらに仕掛けましょうか?」


マヌサに意見を求めてみると、


「ユウシちゃん、ウサギは私が一撃で仕留めるから、ネズミの方を始末してちょうだい。

あのネズミは火鼠と言って、前歯を打ち合わせる事で小さな火を起こせるの、だから接近戦をすると噛み付かれて最悪やけどを負ってしまう可能性もあるから気を付けて頂戴ねぇ。」


「了解です。」


短く返事を返すと俺は隠密を発動してネズミに近づく、遠距離から弓を当てるにはまだ自信が無いからだ。

マヌサは隠密を発動した俺を見て、「へぇ」と少し関心した様子を見せると、特に俺の行動を止めようとはしなかった。

そっとネズミの背後に回り込み、茂みの中から静かに限界まで弓を引き絞り…放つ!!


「キュッッ!?」


火鼠に魔力の矢が突き刺さり短く悲鳴を上げ、火鼠は事切れた。しかし、異変に気が付いたファイティングラビットが此方に向き直り襲い掛かって来る。

弦を引き絞り、ファイティングラビットを迎撃する。

一発目の矢は横に避けられた…。すぐさま改めて次射を放つ!今度は三連続で放つ!

一発目は先ほど同様、横に避けられたが、二発、三発を避ける事が出来ずに矢の直撃を受けファイティングラビットを仕留める事が出来た。

直後、メッセージ画面が現れ『LVUP 2→3』『スキル:弓術を取得』が表示された。

ステータス画面を開き、弓術を10に上昇させる。


・ステータス・アイテム・設定

・NAME「オオトリ ユウシ」

・称号:盗賊見習い

・LV:3

・HP:200/300

・MP:120/240

・SP:71

・職業:盗賊

・スキル

 ・開錠魔法 LV:10/10

 ・隠密   LV:10/10

 ・盗賊の鑑定眼 LV:10/10

 ・スタン  LV:5/10

 ・剣術   LV:10/10

 ・投擲   LV:10/10

 ・弓術   LV:10/10


ちなみに、HPとMPの上昇値はどうやらLVUP時にHPは100、MPは80加算されて行く様だ。ステータスを確認していると、すぐにマヌサが追い付いてきた。


「ユウシちゃん、すごいねぇ。アタシが出る幕がなかったよぉ。」


マヌサが合流してから、討伐したウサギと火鼠をサイドバッグに収納しようとして止められる。


「ユウシちゃん、チョット待って。その火鼠を此方に貸して頂戴。」


マヌサは火鼠を受け取ると解体を始めた。


「火鼠は食肉には向かないから、毛皮だけ取って後は捨てるのよ…、あら?」


マヌサは火鼠の中から小指の爪ほどの大きさの赤い小石を取り出した。


「マヌサさん、それは…、何ですか?」


「珍しい。これは、魔石ねぇ。色が赤いから火魔石ねぇ。」


「火魔石ですか?小さいですね…。」


黒い魔石ならば遺跡迷宮でゴータスさんが宿っていた物を見た事が有るが、火魔石は赤い色をしているおり、石も小さい。


「小さいのは、魔石が作られてから時間が経っていなかったのね。」


「この火魔石って、どうやって使用するんですか?」


質問をするとマヌサは枯草を少量集め、中に火魔石を入れ、戦鎚で軽くコツンと叩く。


「魔石は、こうやって衝撃を加えると…ほら、火が付いた。」


枯草からポッと火が立ち昇る。

しばらくして火が消えると、灰の中から火魔石が出て来た。


「小さな火魔石は火種の代わりに活用できるわ。この大きさなら20~30回くらいは使えると思うわ。」


そういうとマヌサは火鼠の毛皮と火魔石を俺に渡してくれた。


残りの魔物の解体は後にして、森の中をマヌサと共に奥へと進んで行く。

幸い、先ほどの戦闘以外は戦う様な事は起きていない。

探索を初めて小一時間ほど森の中をうろついた所で目的の魔物を林の向うに発見した。

ウサギ達のリーダー格、一見してファイティングラビットの様だが、白い毛皮では無く淡いピンク色の毛皮をしているウサギだ。目付きが一段と悪い…。

盗賊の鑑定眼で確認をしてみる、『魔物・チャンピオンラビット・銅貨3枚』と表示される。

チャンピオンの名が示す通り、ウサギの腹回りの毛皮だけ色が違う。

まるでチャンピオンベルトを巻いているかの様にも見える。

恐らくファイティングラビットの上位種と見るべきか?


「マヌサさん、リーダー格っぽいウサギが林の先に居ます。」


マヌサに確認を取ってみる。


「間違いないね。チャンピオンラビットだよ。アイツが群れのリーダーだねぇ!」


確認できる範囲には、チャンピオンラビットは一匹だけで居る様だった。

俺とマヌサは作戦を話し合った結果、チャンピオンラビットを両側から挟み込む事にした。

まず俺が隠密で此処からウサギの反対側へと回り込んだ。

弓を構え、弦を引き絞り、魔力の矢をチャンピオンラビットへと打ち込む。

最初の一撃は不意打ちとなったのか矢は綺麗に標的へと吸い込まれていった。


「…!!?」


矢を撃ちこまれたチャンピオンラビットがキッと此方を睨み付ける。

此方を確認し、鋭いステップを織り交ぜながら此方に近づいて来るが、俺は腰に付けた短剣を引き抜きチャンピオンラビットへと投げ付ける。

が、鋭いサイドステップで横へと避けられる…。

再び此方へ来ようとして、チャンピオンラビットの動きが止まる。

短剣はチャンピオンラビットの影を突き刺している。

俺が短剣を投げたのはチャンピオンラビットを狙ったのでは無く、その影を最初から狙っていたのだ。

投擲スキルのお陰で狙った所に投げれるので便利だ。

チャンピオンラビットの動きが止まった所をチャンス、と見たマヌサがウサギの予期していない方向から現れ、思い切り戦鎚を振り抜く…。

チャンピオンラビットは影を縫われて要るのにも関わらずに吹き飛び、動かなくなった。

短剣を回収して、チャンピオンラビットを確認すると死んでいるのを確認できた。

サイドバッグに回収しておこう。

さらにメッセージ画面が現れLVが3から4へと上昇していた。

さあ、残るは深層の魔物を討伐するだけだ。

この時の俺はチャンピオンラビットを難なく倒せた事により少し魔物を甘く見ていた。


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