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森の異変

~第十三章~森の異変


「こ、これは、すごいですね…。」


今日もドランの手伝いの為に森の中に入って驚愕する。

右を見てもウサギ、左を見てもウサギ、ウサギパラダイスになっていた…。

唯一の救いはファイティングラビットのような魔物では無く、普通のウサギだった事だ。

いや!?少数だがファイティングラビットも交じっている様だ。

二足歩行しているウサギが、稀に目に付く。


「うーん…。これはひょっとすると…。ユウシ!今日は家に帰るぞ!もしかしたら不味い事になるかもしれん!!」


ドランは何か考えが有るのか、家へと急ぎ帰る。

家へ帰ると、マヌサが慌てて出迎えてくれた。


「ドラン!?森の様子が何か変よ!」


「ああ!森の中を見てきたが、ウサギが大量発生していて、森の中層付近にしか居ない筈のファイティングラビット達までこんな浅い層まで出て来ている。」


「じゃ、じゃあ、やっぱり…?」


「ああ、間違いない。ウサギ達は、追われて此処まで逃げ出してきたんだ。」


如何いう事なのだろう?話が良く見えない?そっとドランを見ると此方に気付き説明をしてくれた。


「この森は通称、エルフの森と言ってな、浅層、中層、深層と、三層に分かれているんだ。」


「エルフの森、ですか?と言うことは、この森エルフが居るんですか?」


「いいえ、長い事森で暮すけれど、残念ながらこの森でエルフを見た事はないわねぇ。あくまで通称…、なのでしょうねぇ。」


マヌサがエルフの存在を否定する。

少しエルフに会って見てみたかったのだが残念だ。

そんな俺に構わずドランは、説明を続ける。


「森の浅い層には普通の動物達ぐらいしか現れないが、中層は魔物の住処になっているんだ。奥の深層はより凶暴な魔物の住処となっているんだ。」


「つまり、俺が戦ったファイティングラビットは本来、中層に生息している魔物って事ですか?」


「ああ、そうだ!ファイティングラビットの他に普通のウサギが沢山居ただろう?あれは恐らく、中層でファイティングラビットやウサギ達を纏めているリーダー格が群れごと浅層に逃げて来たんだろう。そして、群れのリーダーが逃げ出す程の魔物に襲われた、となると深層の魔物に襲われたと考えるべきだろう?」


「でも、問題はそれだけではないの!」


ドランの説明にマヌサが更に補足を付け足す。


「浅層にウサギ達が逃げて来たと言う事は、それを追って深層の魔物も浅層にやって来る、と言う事なの!」


「そ、それは一大事じゃないですか!」


ファイティングラビット一匹相手にして殺されそうになったのに、さらに強い魔物の相手など出来る訳がない!そんな事を考えているとドランとマヌサは何やら準備を始めた。


「マヌサ!討伐の用意を始めてくれ!」


そう言うと、夫妻は何処に収納していたのか鎧等を持って来て装備していく。

ドランは何時も木を切る時の片刃斧では無く、戦闘用の両刃の斧を装備している。

マヌサも鎧を着込み、あれは…、ハンマーだ。戦鎚と言ってもいい武器を装備している。


「ドランさん、マヌサさん!もしかして深層の魔物と戦うつもりですか?幾らなんでも危険過ぎますよ!!ここは一度避難した方がよいのでは?」


「ユウシ…。俺たち夫婦はここで、この森で暮しているんだ。他へ避難しても何時ここへ戻って来られるか分ったものじゃないからな。町に居ても生活が成り立たないよ。だったら危険を冒してでも魔物を追い帰して森を元の静かな森にしなくちゃいけない。」


「ユウシちゃん、心配してくれるのは嬉しいわ。でも、大丈夫よ。これでも私達夫婦はね、若い頃に少しだけ傭兵をしていた事があるの。この装備はその時に使っていた物よ。ユウシちゃんが腰に付けているロングソードもその頃ドランが使っていたの。まあ、本人はもっぱら斧しか使わなかったんだけどねぇ。」


マヌサが自分達の装備について説明をしてくれた。傭兵をしていたのか、それならば魔物とも戦い慣れていそうだが…。

装備を整え終わったドランが俺に向き直り言う。


「ユウシ。俺達は今から魔物と戦いに行くが、お前はこの件とは関係無い!このまま南にいけば森を出られる。今すぐに森を出て避難しろ!」


俺は、夫妻に避難するように進めるが断られてしまった。

それどころか逆に避難をする様に言われる。

このまま、お世話になった人達を見捨てて、逃げてしまっても良いのだろうか?否!良くは無いだろう。

俺には命を助けられた恩がある!

このままドラン達を見捨てれば後悔してしまうだろう。

俺は決心を固める。


「ドランさん!!俺も!俺も一緒に戦います!!」


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