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初めての戦闘

~第十章~初めての戦闘


「そうだ!今ならスマホ使えないかな?」


スマホを取り出して確認してみる。やはりアンテナは圏外を表示していた。

この世界では通話は出来ないのであろうか?

スマホをアイテムBOXに収納しておく事にしよう。

急に手持ち無沙汰になってしまった。

良い機会なので装備品の確認でもしておこうか。

また山賊に襲われた時にせめて盾ぐらい瞬時に取り出せる様にしておかなければ…。

俺はサイドバッグからコントローラーを取出しステータス画面を表示してみた。


・ステータス・アイテム・設定

・NAME「オオトリ ユウシ」

・称号:盗賊見習い

・LV:1

・HP:100/100

・MP:80/80

・SP:82

・職業:盗賊

・スキル

 ・開錠魔法 LV:10/10

 ・隠密   LV:1/10

 ・盗賊の鑑定眼 LV:10/10

 ・スタン  LV:1/10


何時の間にか『スタン1/10』を覚えていた。

山賊に追われていた時に気絶させた奴が居たからだろうか?

とりあえずLVを5に上げておこう。

スキルを上げ、アイテム欄を開こうとして気が付く。

タブに設定が増えている。

とりあえず開いてみよう。


・設定

・時刻表示 OFF

・HP/MP表示 OFF

・お知らせ表示 OFF

・痛覚遮断 OFF


すべての項目がOFFになっている。

時刻表示と、HP/MP表示をONにしてみると、視界の片隅にデジタル表記の時計とHP/MPを表すバーが現れた。触れそうな位置に在り、手を伸ばしてみるがすり抜けてしまった。

どうやらステータス画面と同じで触る事は出来ない様だ。

便利なのでこのままONで良いだろう。

次にお知らせ表示をONにしてみた。が特に変化は無かった。

これもこのままONで良いだろう。

最後に一番気になっていた痛覚遮断だ。ONにしてみると…。


「お?おお!?すごい!!体の痛みが消えた!」


痛覚遮断の名の通り今までの体の痛みがウソの様に消えた。これは便利だ!

もちろんこれもONにして問題無いだろう。

設定を弄り終わったので今度こそ装備品の確認だ。


『直剣・妖精の剣・LV:EX・経験値二倍・買取不可』

『槍・聖騎士の斧槍・LV:EX・防御貫通・買取不可』

『鎚・聖者の慈悲・LV:EX・回復魔法強化・買取不可』

『短剣・闇烏・LV:EX・影縫い・買取不可』

『弓・魔法弓・LV:EX・属性換装弓・買取不可』

『盾・吸魔の盾・LV:EX・魔法吸収・買取不可』


とりあえず今は槍と鎚は必要ないだろう。

やはり直剣と盾の組み合わせが一番安定した形だろう。が普段から持ち歩くのに直剣はともかく盾は邪魔でしかない。

とりあえず取り出しやすいように盾はサイドバッグに収納しておこう。

とにかくまずは直剣だ。妖精の剣を取出し軽く振ってみる。

思いのほか剣は軽く、力を込める事無く振ることが出来る。

木でも試し切りをしに森へ行ってみようか。

剣をサイドバッグに戻して、森へ行く事をマヌサに伝言しに戻る。


「マヌサさん、ちょっと森まで散歩に行ってきますね。」


「あら、動き回って大丈夫?」


「ええ、ちょっと体を動かしたい気分なので。」


「森は余り深く入りすぎると、魔物が出るから気をつけなさいねぇ。」


「魔物が出るんですか?」


「ええ、そりゃあ森ですものねぇ。魔物の一匹や二匹…。そういえば、ユウシちゃんあなた護身用の武器とか持っていなかったわね。ちょっと待ってなさいな。」


そういってマヌサが家の奥から剣を持って戻って来た。


「これ良かったら持って行きなさいな。安物だけど森の魔物ぐらいなら相手に出来るはずよ。剣帯もあるから腰にでも吊り下げておくといいわ。」


マヌサから剣を受け取り、盗賊の鑑定眼で確認する。

『直剣・ロングソード・LV:1/10・銅貨6枚』

と表示される。特別な効果も特にない普通の剣の様だ。

もっと良い剣を持っているがマヌサからの気遣いだ、ここは有難く借りておこう。


「ありがとう、マヌサさん。夕方には戻りますから。」


マヌサに礼を言い、俺は森の方へと足を向けた。

森の方へ行き、ロングソードから妖精の剣に持ち変え剣帯に差し替える。

剣帯はもう一本腰の後ろに設置できる仕様だ。短剣を着けておけば便利だろう。

妖精の剣を鞘から抜き放ち、近くの草むらを剣で払ってみるとサッと薙ぎ払う事が出来た。


「おお、よく切れる。この枝はどうだろう?」


今度は太目の木の枝を切る。スパッと切り落とせる。すごい切れ味だ。

見た所、刃こぼれ等も無い様だ、良い剣を手に入れてしまった!などと考えていると突然前方の茂みがガサガサっと揺れ動く。慌てて距離を取り様子を見る。

と、ヒョコリと長い耳を持った白いウサギが茂みから顔を出す。


「な、なんだ。ウサギじゃないか。驚かせてくれるなよ。」

少し大きいが白い毛皮がフワフワのウサギだ、目つきは悪いが中々可愛らしいではないか。


「ほうら、おいでおい…で……。」


ウサギが茂みから出てきたが、ウサギは二足歩行で出てきた。

茂みから出てきたウサギは鋭い目つきでこちらを見ている。

余りの眼力に後ずさる。


「じゃ、じゃあ。お、俺行くから…。」


後ろを振り向こうとした時、ウサギは突然こちらに猛スピードで突っ込んで来た。

否、突っ込んで来たと思った時には、もう強靭な足の力を使い宙に舞い上がり蹴りを放ってきた。

つまり、飛び蹴りだ。避けきれずに横っ腹に直撃を食らう。

HPが30も持って行かれた。意外と重い蹴りだ。

痛覚を遮断している為か痛みは無い。

軽く吹っ飛ばされ地面を転がる。

体勢を立て直すと、ウサギはさらに追撃してきた。

最初の飛び蹴りに比べれば威力は低いがどんどんHPが削られて行く。


「ちょ、いい加減にしろ!」


剣を振り攻撃するがウサギの華麗なサイドステップで攻撃が当たらない。

剣をブンブンと振り回すが華麗に避け続ける。

ウサギと戦い続けて約3,4分こちらのHPが残り10になってしまった。


「や、やばい!!死にそう!!」


仮に今ここでHPが0になってしまったらどうなるのだろうか?

ゲームオーバー?自室で目が覚める?それとも…死?

い、幾らなんでもそこまでは無いだろう流石に…。

こうなれば一撃必殺だ!!

剣を上段に構え、力の限りに振り下ろすが、ウサギにカウンター気味に剣を弾き飛ばされ、派手に体勢を崩す。

体勢を崩した拍子に腰に付けていた短剣まで鞘から抜け落ちてしまった。

咄嗟にサイドバックから吸魔の盾を取出し、身構えるが…、追撃が来ない。

吸魔の盾からソッと覗き込むとウサギはジッとこちらを睨んでいた。

なぜ最後の一撃を加えに来ないのだろう?

違った。来たくとも来れない様だ。いや、動けないと言うべきだろう。

地面に、いや!ウサギの影に!!一本の短剣が突き刺さっている。

短剣の名は『闇烏』特殊能力は『影縫い』、つまり影を突き刺し相手の移動、行動を阻害する能力!!偶然落した短剣がさらに偶然、ウサギの影を突き刺したと言うのだ。

何という幸運!!ウサギが行動出来ない内に攻撃しよう!

剣を拾い、ウサギを一振りで切り捨てる…。

と同時に突然、空中にメッセージ画面が表示され『スキル:剣術を取得』と表記されていた。これが『お知らせ機能』か、見つめているとメッセージ画面は自然と消えた。

一々、コントローラーを使って消さなくて良いのは助かる。

しかし、夢中で剣を振ってしまった。

生き物を直に切りつける行為は流石に来る物が在る、肉を切る感触が手に残るのは流石に抵抗があるな。これがこの世界の日常なのだろうか?

事切れたウサギを盗賊の鑑定眼で見てみる。

『魔物・ファイティングラビット・銅貨1枚』

どうやら、魔物だった様だ。

それほど森の奥まで入っていないのだが、はぐれの魔物だろう?

それよりも銅貨1枚って事は、魔物は売れると言う事だろうか?

一応、倒した魔物はサイドバッグに収納しておこう。


「しかし、ウサギ一匹に殺されそうになるとは…。うわ~。残りのHP10しか無い…。」


ここまでの激戦になるとは思わなかった。

しかし、戦っている最中、攻撃される痛みは無かった。

やはり痛覚遮断が効いているのだろう。本当に便利な設定だ。

さて、一度帰ろうか。HPも回復させたいしね。

そこでフッと思い付く。痛覚遮断をOFFにしたらどうなるのだろうか?

興味本位で痛覚遮断をOFFにした。

それが最大の間違いだった、と後悔するハメになるのだった。


UPしました。

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