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仲間外れ

~第九十九章~仲間外れ


お風呂の準備も整い、皆を待っていると、先程のドワーフ達が様子を見にやって来た。


「おーい!兄ちゃん!どうだ?準備は?気に成って戻って来ちまった。」


「おおっ!?なんだ!?もう準備が出来てやがる!?」


ドワーフ達は湯船に張られたお湯に驚愕している。


「おいおい…。樽を小屋に運んでからまだ30分も経ってねぇのに、何でこんな事が?」


ドワーフ達に俺の魔法を見せると納得してくれた。


「なーるほどっ!魔法にもそんな使い方が有ったんだなぁ…。」


ドワーフの一人が湯船に手を浸ける…。


「オウッ?意外と熱いな!?しかし、わざわざ此処まで手間を掛けなくても水浴びで十分じゃ無いのか?」


それに俺は異を唱える!


「いやいやっ!お風呂と水浴びを一緒にしちゃ駄目ですよ!風呂は命の洗濯と言われる程の物ですからね!…そう言えば、此処の人達は、お風呂に入る機会とか無いんですか?」


思い出して観れば、この世界に来てから、風呂を見かける事は無かったんだよなぁ…、と思い出す。

俺の疑問にドワーフの一人が答えてくれた。


「風呂に入ろうにもお湯を沸かすのに大量の水と薪が必要に成るからな…。風呂に入れる奴なんて、金持ちか貴族位だぞ。庶民は精々、水浴び…或いは鍋で沸かしたお湯で身を清める位さ。」


なるほど、確かに俺も宿で金を払ってお湯を貰った事が有る。

あの時は桶一杯で確か…、青銅貨3枚程だったか?

桶一杯でそれなのだから、風呂桶一杯なんて幾らに成るか解らない…。

そりゃあ、風呂が庶民に浸透しない訳だ。


「何なら…、一度入ってみます?」


「えっ!?良いのかよ?」


一度、入ってみれば風呂の良さは解る筈だ…、が。


「しかし!!」


期待に満ちた表情を浮かべるドワーフ達に俺は告げる!


「この風呂は駄目です!」


生憎と用意した風呂は、彼女達と入る為の物だ!

オッサンの為の物では断じてない!


「なので…。」


俺とドワーフ達は先程半分に切断した大樽を用いて浴槽をもう一つ作成する事にした。

此方の樽浴槽は、置ける小屋が無いので、野晒しだ…。

まあ、露天と考えれば…、良いんじゃね?

と言う事で其方の浴槽にも俺はお湯を作ってあげた。

因みに、俺がお湯を作っている間に、ドワーフ達は、浴槽回りに衝立を拵えていた。

これで外から見られる心配は無く成った様だ。

さすがドワーフ!!仕事が早い!!


などとやっていると、ペロ、エリナ、マルルが荷物を持って戻って来た。


「お待たせしました。御主人様。」


「すみません、準備に手間取っちゃいました。」


「もう、準備出来ているんですぅ?」


三人に小屋の中の湯船を披露する事にした。


「準備は万端さっ!どうだ!?」


三人の瞳が輝く!


「わぁ…、凄い…。」


「こんなに沢山のお湯、ペロ初めて見ました!」


「凄いですぅ!」


喜ぶ姿を見ると、苦労した甲斐が有ったと言う物だ。


「じゃあ!早速、一緒に入ろうか?」


「ユウシさんは駄目ですよ!」


エリナから拒否られた!?

ショックで、呆然とする…。


「な、何故だ!?Why?」


「私達ならともかく、此処にはマルルさんも居るんですから、ユウシさんは駄目です!」


「くっ!?そう言えばそうだった…。」


俺はガックリと肩を落とす。

ま、まあ良い…、今回は諦めるが、次は絶対に一緒に風呂に入ってやる!

俺は決意を新たにすると、しょうがないので、ドワーフの人達と共に男湯(仮)に入浴する事にした。


…いや~。

やっぱり風呂は良いな!

体の疲れがお湯に溶け出すね!

これで一緒に入っているのがペロとエリナなら言う事は無かったのに…。

あれ?可笑しいな?目から汗が…。


「兄ちゃん…。」


ポンポンッと肩を叩かれ、元気出せよと慰められた…。

良い人達だよ、この人達…。


「いや~しかし、この風呂って言うのは良い物だな?」


「ああっ…、お湯に浸かるっていうのが此処まで気持ち良いとは思わなかった。」


「風呂上りに冷たい酒をグィと行くと旨そうだな!」


「「オマエ、天才じゃねぇ!?」」


ドワーフ達は、思いの外、風呂を楽しんでくれていた。


「しかし、こんなに良い物も、普段から入れないって言うのは勿体無いな?」


「まあ、家庭で風呂何て、用意する程の余裕は無いわなぁ…。」


家庭では無理…。


「なら、街の人達が皆で利用出来る風呂を作れば良いんじゃないですか?」


そんな俺の一言にドワーフ達は目を見開いて喰い付いて来た!?


「皆で利用できる風呂だと!?兄ちゃん其処の所詳しく説明してくれ!」


俺は所謂、銭湯についてドワーフ達に説明する。


「なるほどな…。でかい風呂を用意して皆で一緒に入るのか…。」


「確かにそれなら、少ない水量で皆が風呂に入れるが…。」


「いや、しかしやはりお湯を作る為の薪の確保がなぁ…。」


薪か…、確かに問題だ。

俺みたいに魔法で熱を産み出せれば良いのだが…。

そこで、マルルの一言を思い出す。


「確かこの街には、製鉄所が有るんですよね?」


「んっ?応!立派なのが有るぞ?」


「製鉄の時の熱を使ってお湯を作れば良いのでは?」


ドワーフ達はハッと顔を見合わせて…。


「そうだよ!製鉄所で作ったお湯をそのまま湯船に流せる様にすれば…。こうしちゃ居られねぇ!早速、製鉄所まで行って可能か如何か確認に行くぞ!!」


「「応っ!」」


そう言ってドワーフ達は風呂から上がると、急いで服を着る。


「兄ちゃん!このお礼は又、何時かするからな!風呂、ありがとよ!後片付けは俺達がやっとくから、そのままで良いぞ!」


俺は一人風呂の中で手を振りドワーフ達を見送った。


因みに、数ヶ月後には製鉄所の横に立派な銭湯が建ったとか何とか…。


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