第6話
天川さんは、天川さんの行きたいところへ。
僕は……ここに。
それでいいんだ。
少し、僕は目を閉じた。そして、もう一度。円盤の方へ目を向けた。
返答は……。
『……人数 多すぎ。 無 理 !!』
…………。
……。
……そのまま星のように消えていった。キラーーン。
いつの間にか雲のすき間から、天の川が見え出していた。
次の日。朝、目が覚めてベッドから机の上を見ると、なんと来週に発売予定のはずのゲーム、『ドラ○エ21』が ちょこんと置いてあった。
何故。
その後、朝食を食卓で とっていると、血相を変えた母がバタバタと玄関から やって来た。
「こ、こここここ……!!」
にわとり?
「こここれがっっ、これが郵便受けにっっ」
母が抱えていたのはA4の茶封筒。中身が、ふっくらと厚みがあって、重い?
開けてみると、福沢○吉 先生の お顔が たくさん……札だっ!!
総額、250万円。
何故っ!!
次の日……。
学校に登校すると、廊下で天川さんが待っていた。
「お金持ちに なったんですってね。おめでとう」
「……やっぱり、僕の願い事を叶えてくれたのかなぁ……。何か、無茶苦茶だったけど……」
僕は あと、短冊に〔健康第一〕と書いたが……たぶん叶えられて、例え体の どこかにガンが あったとしても完治されているんだろう。
「実はさ。私。ミルキー星に行く気、なくしてたんだ」
「えっ?」
天川さんが突然、恥ずかしそうに言った。
「……高田くんがさ、本名ホップルポップルカヌマカスーン=デ=ジョジョルナだって聞いた時。もし私の本名が ショショトッタラチーノ=ド=リスカトーリアンヌルージュですって言われたら。それは嫌だなって、考えたの」
……そこですか? 行く気無くした理由。
すごいですね……よくもまぁ、そんな長いカタカナを一度で……。尊敬。
「……嘘。
『 僕 の 故 郷 は こ こ だ け 』
…………そう聞いたから」
天川さんは微笑んだ。
ドキン。
「確かに そうだなって、思い直したの。もし私が居なくなったら、おばあちゃんは何て思うだろうって。私が育ったのは ここ、地球で。おばあちゃんが親。私は……地球人で、いいんだわ」
窓から、天川さんは外の どこか遠くを見ていた。
彼女を たっぷりと日射攻撃する光。肌荒れしたら、どうしようか?
そして、そよそよと吹く風。彼女は、気持ちよさげだった。
「……それだけ。またね。高田くん」
天川さんは そう言って、今まで見た事のない極上の笑顔を見せて 長く続く廊下を走って行った。
……うわぁ……。
僕は、どえらいものを見てしまった。
ポリポリと前髪あたりを かきながら赤面して、激しく後悔する。
何故、短冊に『恋が絶対 確実に実りますように』と書かなかったのか、と……。
《第7話へ続く?》