表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/7

第3話

 それから。


 七夕の三日前と迫った ある日。学校の教室で友達と休み時間に しゃべっていると、全然知らない女子に呼び出された。


「高田守生くん。ちょっと」


 教室の入り口から、長いストレートヘアでヘアバンドをした、線の細そうな女子が僕を呼びかけ手で招く。僕は一緒に居た友達に少し冷やかされながら、女子の方へ行った。「ここじゃ、何だから。屋上まで来て」

 僕はドキドキしながら、先行く女子の後を追った。


「私、天川祥子。B組よ。よろしく、高田くん」

 僕はE組だった。別棟で教室が遠いし、お互い目立つタイプでもないから知らなくて当然だろう。

「実はね。高田くん」

 僕は、天川さんの目を見た。真剣で、透き通った瞳。

「私……」

 ドキドキ。……告白される? ドキドキ。

「実は……」

 もったいぶらないでくれ。ドキドキ。

「ミルキーウェイ星人なの」

 ドキドキド……「えぇっ?」


 そこに愛は無かった。ただ、己の身の告白のみ。


「一体、ど・お・い・う事なんでしょうか? ……」

 僕は、なぜだか こみ上げてきそうな怒りを おさえて聞いた。別に天川さんが悪い訳ではないんだけど。七夕の日まで「ミルキー」という言葉に どうやら敏感になりそうだ。

「私も あなたと同じ、ミルキー星人だという事よ。そしてそれは、今この地球上にいるミルキー星人たちの間ではトップニュース」

「何だってぇっ!?」

 僕は つい大声を出してしまった。一体、どれだけのミルキー星人が地球にいるってんだ!?

「あなたが生き別れた ご両親と再会するって。有名よ?知らないの?」

 ……知るかよ……。

「まぁいいわ。とにかく、お願いが あるんだけど」

「お願い?」

「私を、ミルキー星に帰してほしいの。こんな星、どうなったっていいわ。ゴミは多いし、空気は汚いし。人間も うざったい。故郷へ帰りたいの。そう、頼んでくれないかしら」


 ……この目の前の美女は、なかなかの毒を吐く。



《第4話へ続く》



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ