オンディーヌと湖の精霊っ!?
フルフル 《レベル100》
アンダイン みずうみのせいれい
たいりょく 88888/88888
まりょく 8888/8888
けいけんち --/--
ちから 11
まもり 33
はやさ 77
まほう 22222
わざ
ぶつりむこう
みずむこう
ひたいせい ▼
そうび
なんか、フルフルのステータス見るとやる気無くすんだよなぁ。なんか適当っていうか、なげやりっていうか。
なぜわざわざゾロ目で揃えた!?
ってツッコミたくなるんだよなぁ。魔法特化なステータスにも嫉妬してしまう。いいなぁ、1でいいから『まほう』が増えれば、僕も魔法使えるのに。
精霊。
火、水、風、土という、エレメントを司るとされる存在。僕としては、4属性より、木火土金水の陰陽五行を想像してしまうのだが、この世界ではこの4つが基本らしい。
魔力で肉体を構成しているので、きちんとした生物と定義することはできないが、高位の精霊は知性を持ち、他の生物とコミュニケーションを取ることもある。
その精霊の最高位にあるのが、火のサラマンダー。風のシルフ。土のノーム。そして水のオンディーヌだ。
本当かどうかは知らないが、エルフがシルフの眷族、ドワーフがノームの眷族だと伝えられているらしい。じゃあ、スライムはオンディーヌの眷族だな。
最高位の精霊ともなれば、人間にとっては神に準ずるほど高貴な存在として、崇め敬われているそうで、一生に1度でも目にすれば、周囲からは多くの羨望が集まるんだとか。僕なんて毎日見ているのに、ご利益なんて1欠片もないぞ。
魔族にとっては、そこまで大仰な認識ではないようだ。魔大陸の大きな湖や、森に行けば、時たま見られるらしい。
「ふーん」
夕食の席に着きながら、僕は曖昧に頷いた。
コーロンさんから話しを聞きながら、僕らは今日のディナーをいただいている。
『カーバンクルの何かのソテー』と、『野菜たっぷり駱駝肉のスープ』、それに白飯といった、実に充実した晩餐だ。
野菜と調味料を手に入れたおかげで、我がダンジョンの食環境の水準は一気に跳ね上がった。
しかし、こっちに来てから珍しい食べ物ばかりに出会うな。食用の駱駝やコウモリなんてものは、僕の地球の知識には持ち合わせがないぞ。
カエルはあるけど………。
「しかし………」
僕の隣で、やたら美味しそうにスプーンを動かし、スープを食しているフルフルに視線を向け、一言呟く。
「………生意気だな」
「なんでなの!!」
耳聡く聞き付け、フルフルが不機嫌そうに抗議してきた。まぁ、隣だし聞こえるか。
いや、だってなぁ………。
オンディーヌの逸話は僕の知識にもいくつかあるけど、やたらドロドロした恋愛エピソードがほとんどだし、おまけにその姿は美女だって話なのに………。いや、フルフルだって美少女だよ?巨乳だし。でもさぁ………。トイレの水がきれいだからって頭から突っ込もうとしたり、馬車で白目剥いたり、スプーンの握りはグーだったり。『人魚姫』の元ネタがこいつだって言われてもなぁ………。
いや、世界が違うから、別にこいつが元ネタってわけでもないんだけど………。うーん………。
「いや、マジでお前はおかしい!」
力説するコーロンさん。いや、だって、ねぇ………?
「なんで魔王の仲間にオンディーヌがいるんだよ? 言っとくけど、真大陸にはアヴィ教の神を崇めてなくても、オンディーヌを崇めてる奴はごまんと居るんだぞ?
有名所では、天帝国の初代天帝が、折れた剣を労って湖に沈めたらオンディーヌが現れて、世界を平定するように言って伝説の剣を授けた話や、湖に剣を落としてしまった英雄に、オリハルコンとミスリルの剣を見せてどちらが自分の持ち物か聞き、正直にただの鉄の剣だと答えた英雄にその2本の剣を授け、英雄はその後貰った2本の剣で魔王を倒した、なんて逸話もある。
真大陸の人間にしたら、スゲー存在なんだぞ?」
アーサー王の湖の貴婦人と、童話の『金の斧銀の斧』にそっくりだな。世界は変わっても、伝説や伝承って、そう変わんないんだなぁ。
「フルフル、今の話ホント?」
「知らないの。他のアンダインだと思うの」
だよなぁ。こいつがそんな殊勝な事をするわけがない。精々、
『湖を汚しちゃダメなの!』
って、元の剣を投げ返すのがオチだ。
「はぁぁぁーーー………」
盛大にため息を吐くコーロンさん。なんだかちょっと物悲しいオーラが漂ってる気がする。
「アタシも昔は憧れてたんだよなぁ………。いつか、オンディーヌから剣を託されてみたいって………。
まぁ、アタシに武器を授けたのは、オンディーヌじゃなくて魔王だったんだけど」
え、えっと………。なんかすいません、僕が渡しちゃって。
なんなら今から、フルフルに手渡させよっか?それっぽい剣とか。
「ああ、いや!キアスから貰ったあの槍は気に入ってんだぜ!あたしが持つには勿体ねぇほど上等なもんだし、マジ感謝してんだって!ただの憧れだ!憧れ!」
慌ててフォローに回ってくれるコーロンさん。うん、優しいね………。なんでかその優しさに涙が出てくるよ。
晩餐を終え、コーロンさんはズヴェーリへと帰り、僕たちもそれぞれの寝室で床に着くことになった。
僕はスマホを操作して、この機会にステータスの確認を行おうとしていた。
よく考えれば、コションやその部下達を迷宮で殺害し、さらには今でも迷宮内では、魔物達が弱肉強食の中で生きている。勝手にトラップにかかって、何体も死んでるし。もし、迷宮内で生き物を殺して経験値を得るなら、とっくにレベルアップしてるはずだ。もしかしたら、気付かない内に魔法が使えるようになってるかもしれない。
僕はワクワクしながら、『ステータス』の項目をタッチした。
アムドゥスキアス 《レベル12》
うそつきまおう ダンジョンマスター さぎし しょうにん
たいりょく 100120/100120
まりょく 0/10024
けいけんち 621/120000
ちから 4
まもり 2
はやさ 30
まほう 0
わざ
まりょくのいずみ
かみのかご
かんてい ▼
そうび
がくラン
スニーカー
スマホ
ショテル
「なんで素早さ極振りなんだよぉ!?」