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 新たなる野望っ!?

 タネ明かしをしよう。




 なぜ、魔法の使えないはずの僕が、『非殺傷結界』や、『フロガカタストロフィ』を使って、魔王であるコションを翻弄できたのか。


 秘密はこの部屋である。


 まず、ここは僕が生まれた時に居た、神様と対話したあの部屋である。

 天空迷宮の、ガラスの城塞の最奥に潜む、ボスを倒す事でこの部屋に転移できる。誰かが転移してきた際は、僕もこの部屋へ強制転移される仕様だ。


 さて、タネ明かしだ。


 実はこの部屋、僕特製のトラップが設置されている。

 床に敷き詰められたタイル。その1つ1つに、僕の持つ魔法全てが付与されているのだ。しかも、任意で発動でき、発動できる魔法まで選べる。縦にいろは順、横に数字で分けており、魔法を使う際は、これを基準に発現の範囲を決める。

 つまり、この部屋の中限定で、僕は僕の持つ魔法を全て、いや、それ以上に効率的に使う事ができるのだ。

 本来戦闘に向かない、広範囲術式である『非殺傷結界』も、効果範囲が広すぎて使い勝手の悪い『フロガカタストロフィ』も、範囲展開することが可能なのだ。

 因みに、タイルの1枚1枚が、個別のダンジョンであり、他のダンジョンの影響を全く受けないという、素敵仕様だ。『フロガカタストロフィ』熱そうだったからなぁ。

 ああ、因みに因みに、タイルの1枚1枚が、最大危険度の10であり、この部屋以外には、通行不能と判断され、設置できない。ここはダンジョンの最奥なので通行不能でも問題ない。


 任意で発動できる以上、最早、トラップと言うより兵器である。


 維持コストも、泣きたくなるくらいかかる。


 だが、今回こうして、コションを倒せたのだから、文句はない。




 倒したのがパイモンだということはスルーしよう。お兄さんとの約束だよ?




 さて、なんだかんだと忙しく動いているうちに、時刻は夜である。

 別れたトリシャの方も、夜営の準備を終え、食事の準備を始めるようだ。


 そうだ、余った魚を幾つか分けてやろう。遠征と言っていたし、食糧の備蓄は有るだろうが、どうせなら新鮮なものを食べたいだろう。あとは水か。まぁ水は有り余ってるし、これくらいの支援は、僕という魔王に好感を持ってもらうための布石としては、安いものだろう。


 そして、僕には新たなる野望がある。


 性急な話だが、それは今日、今でなくてはならない。時間を延ばせば、次の機会はいつ訪れるかわからないのだから。


 その為になら、余った魚も、水も、僕は惜しげもなく与えよう。




 そう!!


 トリシャと一緒にお風呂に入るためならばっ!!




 しかしどうなのだろう。

 相手は、曲がりなりにも王女様である。王女様ということは、貞操観念と言うよりは政治的な理由で、男と一緒に入浴など論外なのではないだろうか。


 いや、その昔、地球の王国では、一般庶民に王の寝室の見学を許していたという話もあるし、逆に羞恥心に鈍いという話もある。トリシャのスレンダーで、スレンダーで、スレンダーなあの体。もし、着替えや入浴まで、一般公開されていたのなら、それはもう、一見の必要があるだろう。


 しかし、やはり不安である。


 この後、食糧支援のついでのように、入浴を勧めてみるつもりだが、なるべくさりげなく、かつ、断られても自然体で対応するよう努力せねば。

 本当は、食糧支援の方がついでなのは、言うまでもないよな?




 僕は、オークとゴブリンに頼んで、今日獲れた魚を集めさせた。


 うん。皆沿岸で生活していただけあって、魚の処理も上手い。まぁ、中にはグズグズになってしまっているものもあるらしいが、それ等は自分達で食べるらしい。流石に、魔王に下処理の失敗した魚は出さないようだ。つみれの作り方も教えたので、美味しく食べることだろう。


 やはり、魔族は人間に比べて、不器用だということだろうか。パイモンがそんな事を言っていたのを思い出す。

 その分、身体能力や、魔法に長けているらしいが、以前パイモンが体に巻いていた布が、一般的な衣服なのだとすれば、技術水準は比べるべくもないだろう。地球とならば雲泥の差という言葉すら生易しい。


 そんな事を考えながら、今度は石瓶に水を汲んできてもらう。

 十数個の瓶と、大量の魚を前にして、僕は今一度気合いを入れる。




 僕の野望と謀略。その舞台が、今始まる。





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