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 大魔王様はお怒りですかっ!?

 「にしても、なんだってサージュさんは、またこの街に………。観光?」


 僕としては、これ以上勇者にこの街をウロウロされるのは勘弁してほしいんだけどな………。

 枕を高くして寝られないよ。


 僕は一度神殿へと戻り、万が一に備えて護衛を連れていくことにした。

 当然、ウェパルはお留守番だ。


 「護衛はパイモンとマルコ、ミュルでいいかな?フルフルも暇そうなら連れてこうか。あ、いや、あいつすぐオンディーヌだってバレるからな。連れてかない方がいいか」


 マルコとミュルならサージュさんとも面識あるし、丁度良いだろ。ホントはフルフルとも会ってるんだけど、あいつ、あの時は中年のオッサンに化けてたしな。

 「偽勇者の事もあるし、離脱の準備だけはちゃんとしておかなきゃな!

 また、アンドレに怒られちゃうし」


 いやぁ、あんなに必死で止めてくれたアンドレには、感謝してもし足りないよ。それを無下にしてしまったのは、本当に申し訳なかった。


 「転移の指輪は、全員分配っておくか。イヤリングも最初から付けておこう。緊急時にいつでも助けが呼べるように」


 ごちゃごちゃと鎖袋からマジックアイテムを取りだし、整理してゆく。これはパイモン、これはマルコ、これはミュルで、これはアンドレ。


 「って、アンドレの分は要らねーじゃん!!」


 ………………………。


 なーんて、つまらない1人ツッコミを入れつつ、何の気なしに僕は聞いた。


 「そう言えば、勇者が来てるなら教えてくれよ、アンドレ。偽勇者の事もあるし、これからはそういう報告はちゃんとしてくれよ?」


 『………………』


 「あのぉ………、………アンドレさん………?」




 『………………』




 やっぱりまだ怒ってらっしゃる!!怒ってらっしゃいますよ、大魔王様!!


 理由は前述の通り。僕があの時アンドレの忠告に、全く耳を貸さなかったからだ。


 あれから、話しかけても全く反応がない。スマホが相手では、表情も読めないし、ちゃんと僕の謝罪を聞いてるかすら謎だ。

 どーすりゃいいの!?



 「ア、アンドレ?

 もう何回も言ったけどさ、本当にごめんなさい!

 お前があんなに必死に止めたのに、それを無視して結局あんな事になっちゃって、反省してます!ごめんなさい、もう二度としないから!!」


 謝罪をするならまず土下座。アンドレ先生の言葉通り、僕は土下座で平謝りだ。


 「ねっ?ごめんて。もう許してよ、アンドレ様?」


 『………………』


 駄目か………。

 あの手この手でアンドレに喋ってもらおうとしているのだが、一向に成果がない。もういっそ、いつものように罵倒してほしいくらいだ。


 「たのむよぉ。無視とか一番やめてくれよ………」


 何だかんだで一番付き合いの長い、常に一緒のアンドレに無視をされ続けるというのは、かなり心に来る。つーか、泣きたくなる。

 鼻がツンってしてきた。


 『………どうせ………』


 「え?」


 喋った!?今アンドレ、喋った!?


 『………………どうせ、また同じ事が起これば、また私の言葉なんか聞かないくせに………』


 「………」


 『………やっぱり』


 「いや!!聞くよ!聞く聞く!!」


 『………本当ですか?』


 「う、うん。勿論!」


 『………吃りましたね?』


 「これは、別の理由でどもっただけ。大丈夫、もうしないし、もうあんな事はさせないから!!」


 『………別の理由?』


 「あ、うん」


 『………別の理由とは何です?』


 言えるわけねぇー!


 「そ、それより、ほら、勇者が街に入ってるしさ、その対策も立てなきゃ!」


 『………………』


 ギャー、アンドレが再び『眠り姫』ならぬ『黙り姫』に!!


 「言う!言うから!」


 『………どうぞ』


 「拗ねてるアンドレ、可愛い」


 再び『黙り姫』を始めたアンドレを喋らせるのは、本当に大変だった。







 『パイモン、マルコシアス、ミュルミュル。マスターは本当に弱いので、あなた達がしっかり守りなさい。いいですね?』


 「「「はい」」」


 『どれくらい弱いかと言うと、草原でレベル1のスライムと戦って勝てるかどうかは、フィフティーフィフティーです。わかってますか?』


 「「「はい」」」


 いや、これでも僕、レベル90超えてんだけど………。そして3人とも素直に返事すんなよ!普通にヘコむぞ!?


 『さぁ、いきましょうか』


 「あ、あの、アンドレさん?僕もう体起こしていいんだよね?だって動けないもんね?」


 僕は未だ、絶賛土下座中だった。だって、アンドレが中々許してくれないんだもん。


 『は?不許可に決まってるでしょう?そのまま移動しなさい』


 「無茶言うな!」


 土下座のまま這って移動とか!それもソドムの街をだぞ!?僕にだって世間体というものが………。


 『そうですか。では仕方ありませんね。その代わり、マスターはこれから語尾に『えへっ☆』と付けて喋ってください』


 「ウザッ!」


 『では『☆★☆』と』


 「それもそれでうるさいな☆★☆」


 『やっぱりいいです、ウザいです』


 「要求を遵守した僕に、何て言いぐさだよ!!

 ………えへっ☆」


 『ぶっ殺しますよ?』


 「これもお前の要求なんだけどっ!?」


 『あ、そういえば、パイモンに対しての行動について、私からも説教があるのですが』


 「今言うこと!?」


 『あなたは―――』


 「やめてぇーーー!!せめて後でマンツーマンで説教して!本人目の前にいるから!」


 『いっそキスでもしちゃいなさい』


 「無神経にも程があるぞ!!」


 もうホント、黙っても喋っても、僕の精神力はガリガリ削られっぱなしだよ………。胃が痛い………。




 『あ、勇者の件ですが、今現在ダンジョン内に、3人居ますよ』


 「だからなんでそんな重大な事を、この場面でサラッと言う!?」





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