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 閑話・7

 「うーみーは広いな、大きいなー♪」


 ビーチチェアに寝転び、晴れ渡る空をあおぎながら僕は口ずさむ。


 ここは白い砂浜、背後には鬱蒼としたジャングル、目の前には青い海と突き抜けるような青い空。見事なリゾート地だ。


 その砂浜で、歌なんか歌っちゃって端から見ても浮かれているだろうが、それもそのはず。僕は今、女性を待っているのだ。


 「キアス様!お待たせいたしました!」


 お、一番はパイモンか。


 「パイモン、よく似合ってるよ」


 「ありがとうございますっ!!」


 パイモンの身を包むのは、胸と腰にある布のみ。




 そう、水着のみである。





 パイモンの肌は文字通りの黒なので、それに合う色ということで真っ赤なビキニだ。


 大きくはないが、慎ましくもない胸を包む真っ赤な布。すらりと長いおみ足の付け根には、両サイドを紐で結ぶ紐ビキニ。そして、彼女のチャームポイントの角。

 元々がモデル体型なパイモンだからこそ似合う、飾り気のない大味なデザイン。我ながら見事。


 「キアス様……くっ、先を越されましたかっ………!」


 お次はレライエか。

 レライエには白い水着と、パレオを渡していた。

 個人的に、下着は確かに黒がエロいと思うが、水着は白が一番エロいと思う。そして、レライエの水着も白を基調としている。


 だが、それだけじゃない。


 ブラに幾枚か桜の花びらを刺繍し、パレオはレライエの夜桜のような薄紫に、満開の桜。夏のイメージには合わないが、そもそも今は秋。照りつける日差しもこの季節には幾分柔らかい。

 何より、レライエのお淑やかさと静かなエロさが表現された、中々の出来だと自負できる水着。


 「綺麗だよ、レライエ」


 「ありがとうございます」


 お辞儀をすると、谷間と、パレオの隙間から覗くボトムと足が、とてもそそるね。実に素晴らしい。


 「キアス、後ろが結べん。手伝ってたもれ?」


 「裸で来るな、風情の無い奴め」

 ボトムだけ着けたオールが、ばよんばよんと胸を揺らして駆けてきた。ゴールドのブラは手に持っているので、必然胸は、おっぱいは丸出しである。


 普段つれない態度をとっているが、オールは言うまでもなく美人である。変身した姿であるのだから、これがオールの真の姿ではないのだが。ていうか、オールの真の姿は80m級の龍だ。美人もなにもない。

 だからこそ目の前に晒されたおっぱいを見て、嬉しくないかと聞かれたら、嬉しいとしか答えることができない。

 揺れる双丘も、その土台となる体のプロポーションも、全てが美しい。


 胸をさらけ出し、腰に手を当ててこっちを見る様は、あまりに決まりすぎていてエロさを超越した絵になる姿だった。


 「どうした、我の分も着けてたもれ?」


 「ああ。わかった」


 オールから受け取ったブラを、背後に回って結ぶ。


 「おい、おっぱいをカップに入れろ。こんなんじゃすぐに脱げるぞ?」


 「おぉ、成る程。この乳帯はそうやって着けるものであったか!

 後ろに手を回す度、こぼれるから難儀しておったぞ!」


 わかれよ、そのくらい。せっかくの水着回なのに、水着よりインパクトデカ過ぎなもんを見せやがって。


 もう一度、オールを頭から爪先まで眺める。


 腰まである風に揺れる金髪、自信に満ちた金の瞳と、スラリとしたプロポーションとグラマラスなバスト。水着も当然ゴールドで、こいつの自信満々な態度も相まって格好良いという言葉がピッタリだ。


 「どうじゃ?惚れ直したかえ?」


 「まぁ、似合ってはいるよ。惚れ直してないし、惚れてもいないけどな」


 そう言って、僕はもう一度2つの世界一柔らかい宝石を見る。やっぱりエロい。


 「ごめんごめん。エレファンの水着を着けるのに手間取ったよ」


 「ん。動きやすい」


 タイルの水着はリボンをあしらったタンキニで、色の基調は白と黒。ブラにはフリルを白黒交互にあしらい、二重になったパンツは黒のローライズと白のハイレグ。当然黒が上な。


 タイルの持つ未成熟な魅力と、黒い羽の妖しさをイメージした水着だった。


 そしてエレファン。

 エレファンの水着は少し悩んだ。


 美人過ぎて、プロポーションも完璧で、矢鱈な水着では逆に安っぽくなってしまう。むしろ、全裸でいたほうが絵になるくらいだと、真剣に考えた。


 そこで、エレファンにはワンピースの水着を着てもらう事にした。


 黒を基調としたワンピース。完璧なプロポーションも、綺麗な髪も、角も、美貌も損なうことなく、飾り気のない水着が、むしろ素材の味を活かした見事な姿だった。


 「おおー、2人ともよく似合ってるぞ。タイルはすごく可愛いし、エレファンは綺麗だぞ」


 「あ、あはは………、ありがと………」


 「ん。キアス、遊びに行く」


 照れるタイルと、マイペースなエレファンが対照的で面白い。


 そうだな。せっかくの南の海だ。遊ばなきゃ損だろ。


 「キアス様、あれはどうしますか?」


 「あれ?」


 レライエが指差した先、島から見える遠くの陸地には、人間の大軍が集まり始めていた。


 「あー………、潜水艦の浮上を見られたんだな。まぁ、放っておいて良いよ。こっちはバケーションだ。わざわざ戦ってやる程暇じゃないんだ。手を出してくるようなら知らんけど」


 「せっかくキアスがくれた水着じゃ。返り血で汚すは無粋ぞ」


 「あははは。お姉さんも、わざわざ殺してあげるほど人間が好きじゃないしね」


 「ん。人間、キライ」


 とりあえず、ここにいる魔王の総意として、あれは放置に決定。攻めてくるなら滅ぼすけどね。


 「じゃあ、遊ぼうぜ!」


 「応!」


 「おー!」


 「あ………」


 「「「あ?」」」


 エレファンの声に、全員の視線が集まる。


 「あれ………」


 エレファンが指差す先には、海を割るように進んでくる一匹の海竜。




 「わぉ、リヴァイサンだ」




 海の災害級の魔物、リヴァイサン。参ったな………。僕側の戦力はかなり不足だ。


 ただ、ここには―――




 「なんじゃ、無粋な魚め」


 「なぁんだ、人間のあの軍はボクらじゃなくリヴァイサンの為にいたんだぁ」


 「遊ぶの、邪魔」




 こっちには三大魔王が勢揃いしている。


 「ちゃっちゃと片付けて、キアスとのアバンチュールの続きじゃ!」


 「折角の休息なのに、ホントに空気読めないよね?」


 「ん。食べる」


 気楽に飛びした3人の所業について、僕が語るべき事はない。


 その日の昼、リヴァイサンは僕らの昼食としてテーブルに並べられたのだった。




 あ、食べきれなかった分は潜水艦の中でダンジョンに吸収したよ。ウマウマ。





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