嗜好と至高っ!?
おっぱい。
それは全ての男の憧れであり、崇拝の対象であり、求めてやまないものである。
生命の誕生と同時に求め、命を育んでもらい、とても柔らかく僕らを包む、聖母の忘れ形見である。
アンダインを連れて、風呂場まで来た。
勿論僕専用の、神殿の中にある方だ。
「あ、キアス様、お先に失礼しています」
パイモンは緩んだ顔で湯船に浸かりながら言った。
うん。相変わらずいい。
パイモンを仲間にした、あの時の僕、エラい。
「よく温まれよー」
「はぁーい」
「ここはなんなのよ?」
僕に抱かれたまま、アンダインがぷるぷると問う。
「ここはお風呂っていって、清潔な水で体を洗う場所だよ」
「なんと、なのよ!コレは凄いのよ!とっても水が綺麗なのよっ!」
まぁ、蒸留した完全な真水を流してるからな。
「魔王、早く私をアレに入れるのよっ!!」
アンダインはやたらと興奮して、ぷるぷる震えている。
「僕の名前はアムドゥスキアスだ。キアスって呼んだら入れてやるよ」
「キアス!キアスなのよっ!!」
素直で大変よろしい。
僕はゆっくりと、アンダインを湯船に入れた。
これって、全部入れて大丈夫なのか?まさか、水の精霊が溺れたりしないよな?
僕が、そんな役体もないことを考えたとき、
変化は起きた。
「復活なのよー!!」
そんな間の抜けた台詞と共に、ソレが湯船から飛び出した。
おっぱい。
ばるんばるんと揺れる、双丘。いや、これは丘なんて生易しいものではない。
山だ。
2つの巨大な山脈。
肌色に、薄く朱を差しながら、しかし、未だ柔らかな肌の上を水滴が伝い、零れる。
そう、零れそうなまでのおっぱいが、水を溢して、ばるんばるん。
………おっと。いつの間にか頭がフリーズしていたようだ。
いかんいかん。
えっと、何を考えてたんだっけ?
ああそうだ、これから闇の弟子集団、Y〇MIと闘わなくちゃならないんだった。
普通の柔道しか習っていない僕は、グラサンを守りきれるんだろうか。
って違う違うっ!!
かなりヤバイ方向に、トリップしていた気がする。
やっぱりおっぱいのせいだろうか?
「オーガ、なんだかキアスが凄いことになってるのよ?」
「私の名前はパイモンです。キアス様の言動は、所詮我々の理解の及ぶところではないのですよ」
「キアスの顔、面白いのよ」
なんだか、不名誉な事を言われた気がする。それもパイモンに。しかもパイモンにっ!
「キアス、ここ凄く良いの。私、ここを住み処にするのっ!」
にこにこと笑うアンダイン。
そう、アンダインが笑っているのである。つまり、今のアンダインには顔がある。
水の精霊の名に相応しく、美しく、精緻な細工のような顔。透き通った水色の髪は、ウェーブを描いて湯船の中に広がっている。
160cm少々の身長に、華奢な体つき。しかし一部が、あり得ないほどデカイ。
この胸囲は、身長の半分を越える数字を叩き出しているだろう。
なんという神秘。
僕は今、理解した。
こいつは精霊だ。間違いない。
「って、え?なんだって?」
「だから、私はここを住み処とすることに決めたのよ。水は綺麗だし、温かいし、清潔だし。文句無しなのよっ!」
「いや、ここ風呂場だぞ?」
「問題無しなのよっ!水のある所が私の住み処なのよ!」
「いや、使わない時は水抜くし」
「えーーーーーーーー」
不満そうだ。ただ、これは譲れない。
「水を抜かないと黴るだろうが。この清潔な風呂も、きちんと掃除しなければあっちゅう間に黴だらけだぞ?」
「私っ、私が清潔に保つのよっ!毎日お掃除するしっ!」
うーん。まぁ、良いっちゃ良いんだけど、でもなぁ。
「条件がある」
「なになに?何でも聞くのよ?」
いや、お前高位の水の精霊だろうが。へりくだり過ぎだ。
「正式に、僕の仲間になってほしい」
こうして、僕の仲間にお風呂の精霊が加わった。