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 勝者と勝者っ!?

 「スラムが壊滅しかけてますね………」


 トリシャが呆れるように呟き、閑散とした町並みを見やる。


 「犯罪組織なんかがマルコやミュルにちょっかいかけたらしいからね。おまけにスラム街の住民も僕が奪ったし、彼らの収入は激減。元々、犯罪者まで許容しようなんて考えは、僕にはないんだよ」


 ズヴェーリ帝国の首都、ゴーロト・カローナのスラムは、今やもぬけの殻になっている。他にも、トルトカ、ガオシャン、ネージュのスラムも、ほぼ壊滅的なダメージを受けた。まぁ、浮浪者が激減したってだけなんだけどね。犯罪組織の連中なんかは残ってるけど、足を洗わなければいずれは臭い飯を食うことになるだろう。

 それ以外の元のスラムの住人は、就役可能な人材は各地の僕のゴミ処理施設に派遣した。町の規模によって人数が変わるので、結構割り振りに四苦八苦したよ。犯罪組織との繋がりを危惧し、住人を上手くシャッフルしなくちゃならなかったからね。


 監督役に、元奴隷で手の空いていたゴーロト・ラビリーントの住人を駆り出したので、彼らが好き勝手出来るわけではないが、職に就けたことを喜ぶ者がほとんどである。因みに、給料は一月銀貨5枚。この世界の一般的金銭感覚では、結構な高給である。

 というか、給料だけで家庭が持てる。




 さて、そろそろカラクリを説明しよう。


 なぜ僕がゴミ処理産業なんて始めたのか。


 まぁ、するまでもない話であるが、僕がゴミ処理を買って出た最大の理由はゴミに含まれる有機物、それをダンジョンのエネルギーに換算する為である。


 エネルギーだけじゃないぞ。無機物も再利用するのだ。スマホに取り込んでおけば物質ごとに選別してくれるし、微量の貴金属も燃料要らずで一纏めにしてくれる。それだけじゃない。鉄は加工するもよし、そのまま売るもよし。銅、鉛、その他卑金属だって売り物にできる。


 スマホがある僕は、完全なリサイクルが出来るのである。


 現代において、リサイクルとは人類全ての目標であるが、僕はそれを実現させたのだ。まぁ、完全に神様のお陰なので、ちっとも誇るべき事ではないのだが。 CO2も出ない、燃料も要らない、温暖化?何それ美味しいの?状態だ。


 因みに、一月に数振り武器を作れば、彼らの給料が賄える。鉄の量が少なければ、エネルギーをマジックアイテムに変えて売ればお釣りが来る。


 これにより、ダンジョン外部から定期的にノーリスクでのエネルギーの補給が出来るようになったのである。まぁ、上級の魔物なんかで魔大陸では既に実行しているわけであるが。


 残飯、排泄物、木材等、ありとあらゆる有機物がダンジョンのエネルギーになるのだ。微々たるエネルギーも積もれば天空迷宮になる。


 僕は結構な量の余剰エネルギーを得つつ、犯罪の温床であるスラムを平和に壊滅させる事は各国の為にもなる。まぁ、その恩はあくまで商人の僕に対してであり、魔王の僕への恩でないのがミソだ。

 放っておけばまた後ろ暗い連中がたむろするようになるかもしれないが、それはその国の責任だ。もう僕の預かり知る所じゃない。僕が雇った者は、子供を雇用したら集まってきた働きたい連中なので、どうしようもないのはまだスラムに残ったままだしね。


 別に僕は、浮浪者全てを助けたいわけでも、それで犯罪がなくなり綺麗な町になるとも思っていない。ただ、誰にでも出来る簡単な業務を委託するのに丁度良かったから雇用したにすぎない。


 働かざる者食うべからずは、人間社会の原則だ。


 さてさて、なぜ僕がこの忙しい時にわざわざ余剰エネルギーを欲したかであるが、それは勿論ガナッシュの問題を解決する為に他ならない。


 事は奴隷問題。


 自重する必要はない。その為の準備も着々と進めてきたし、備えもある。


 毎日、毎晩、奴隷狩りの被害者を召喚し、召喚できなければ死にそうになっている奴隷を優先して召喚してきた。

 1日100人を目処にしていたのだが、思いの外軽度の者が召喚されてくるようになったのが早く、最近では1日1人、2人しか召喚しない場合もある。

 当然、余った魔力はスキル『魔力の泉』に貯蔵されているし、今回はこれを好きに使えるというわけだ。



 毎日毎日コツコツ貯めてきた僕の魔力は、さて、いったいどれくらいだろうね?





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