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 武器は男心と中二病っ!?

 「これは………っ!」


 「すごいですっ!ここに今日から住めるのですか?」


 「凄い!魔王!凄い!」




 新しく造った、11戸の家を見て、オーク達が声をあげて喜んでいた。

 ベッドが無いことは説明したけど、それでもこれだけ喜んでくれるのだから、造り甲斐もある。


 家族も居るらしいので、11戸全てが埋まるわけではないが、空き家は新しい住人が増えたときにでも使おうと思っている。

 風呂は、悪いが別に公衆浴場を新しく造った。昨日造ったのは僕たち専用だ。


 オーク達の仕事は、言わば雑用だ。

 浄水場にある、柵に引っ掛かった不純物を、回収しつつ掃除する仕事。

 これは、食材の確保も兼ねている。




 次に、出来上がった塩の回収作業。

 1日に4度は部屋を空にしないと、塩に残った水分が抜けきらないのだ。

 回収した塩は、陶器の壷に入れられ、専用の倉庫に運ばれる。

 専用の倉庫、というのはつまり、専用の倉庫である。ぶっちゃけ、説明が面倒臭いし。




 さて、時刻はそろそろ夕方に差し掛かる。

 今日やるべき事は、あと2つも残っている。




 まぁ、1つはすぐ終わる。なのですぐ終わらせる。


 アンドレと相談しながら、ダンジョンをちょちょいと操作するだけの、簡単なお仕事だ。


 「こんなもんか?」


 『はい。コストを削減しつつ、ダンジョンの難易度を上げる、素晴らしいアイデアです』


 「よせやい」


 アンドレも上機嫌だ。

 コイツはダンジョン関係で、僕がアイデアを出すと機嫌が良くなる気がする。



 次の2つ目は時間がかかる。

 というか、ぶっちゃけ今日中には絶対終わらない。

 僕は鎚を握り、鍛治場に入る。


 まずは、簡単な物からにする。とすると、そんなに大きくないナイフだろうか。

 窯に火を入れ、加工用の鉄を取り出す。




 この鉄は、スマホの力で出したのだが、加工できる。


 水すら固まらないくせに、なぜ加工用の鉄が出せたのかといえば、僕が空間を上書きしてダンジョンを作る際、その空間にあった物質は、ちゃんとストックされるらしい。




 その中から砂鉄を取り出し、溶かして玉鋼にまで加工する。


 そういえば、近く、はないけど120kmくらい離れた場所に山もあったはずだ。 長城迷宮の先なので、ダンジョンの外ではあるが、後で取り込むのもアリかもしれない。鉱石的に。




 ナイフは滞りなく出来上がった。




 オーク達にもらった革で鞘を作ると、もう立派なナイフだ。


 次は剣を用意する。


 剣を使った戦闘ができるとはとても思えないが、とてもじゃないが思えないが、剣はどちらかと言えば予備だ。


 出来た剣を携える。スラックスのベルトにぶら下げる鞘に、湾曲した刀身を帯びる様は、さながら侍だろうか。


 さて、まだまだ素材は有る。次はパイモンの武器を作ろう。

 こん棒のスキルを持っているのだから、棍がいいだろう。

 パイモンの身長に合わせ、2mくらいで。


 単純な六角棍。片方が僅かに細く、片方が僅かに太いので、全力で振ると鉄製でも結構しなる。


 「どうだ?」


 「凄い。凄いですキアス様っ!!

 凄く使いやすいです。重さは今まで使っていた物より重いのに、今まで使っていた物より取り回しがしやすいです!!」


 うん。予想通り、パイモンは喜んでくれた。


 「キアス様は剣ですか?随分と反った剣ですね?」



 「ああ、これね」


 僕は帯びていた革鞘から、剣を抜き放つ。


 「不思議な剣です。こういった形の物は見たことがありません」


 パイモンは興味深そうに剣を見ている。


 僕の持つ剣は、刀身が大きく反っている。


 峰の方にではなく、刃の方に。大きく。


 形は、鎌に近い。


 「ショテルと呼ばれる、エチオピア原産の曲剣だ。使い方としては、盾の裏に隠れながら、敵の視界の外から攻撃する、元の世界でも稀に見る奇剣だ」


 僕の無駄な蘊蓄に、パイモンが頭を捻っている。まぁ、エチオピアとか言ってもわからないか。


 この剣は、盾を持って戦う事に優れ、盾を持つ相手と戦う事にも優れる。


 非常に合理的な剣なのだ。





 「ところでキアス様?」


 「なんだ?」


 「もう真夜中ですけど、一体何時になったら一緒にお風呂に入れますか?」




 鍛治場から出ると、空が白み始めていた。





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