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 湯煙にエルフ。それってもう、最強と言い換えてしまっても良いよねっ!?

 アニーさんが仲間になった。


 これって果たして、僕の利点はあるのだろうか?


 アニーさんは未だにシュタールの仲間であり、つまり勇者側の人間だ。もし僕が、真大陸に対して魔王らしく戦争でも起こせば、すぐさまシュタールを連れてここまで飛んで来るだろう。その時、風前の灯にも等しい儚さで僕の命は危機に晒される。いや、別にそんな予定はないし、そんなつまらない事に血道をあげる程暇でもないけれど。何より、領土的野心の全く無い僕に戦争で得るメリットは、完全にデメリットの方が上回る。


 しかし、これはつまり人間側に僕の首根っこを押さえられてしまった、という事に他ならないのではないか?

 アニーさんが仲間になった事で、僕が得るメリットもまた、デメリットが上回っているのではないか?







 そんなわけがないっ!!!




 僕は今、確信を持って言おう!!そんなわけがないのだっ!!


 「あ、あまりジロジロ見ないでくれないか、キアス殿………」


 頬を染め、その綺麗な体を手で隠すアニーさん。かーわーぅぃいー。


 いや、やっぱり仲間になったらお風呂だよねっ!ウチではそう決まってんのっ!!


 「や、やっぱり私は、風呂は遠慮しようっ!」


 なに言ってんの。もう服脱いで大浴場まで入ってきてんじゃん!!


 「アニトレント殿、そう恥じらっていては逆に不審だぞ?もっと堂々としていたらどうだ?」


 「トリシャ姫、鼻血出ていますよ?」


 「すまん。久しぶりなもので、つい………」


 「アニーとやら、私たちは共にキアス様の配下。裸の付き合いでこそ、その親睦は深まるのだ。と、前にキアス様が言っていた」


 「パイモン殿、しかし………、やはり………」


 「恥じらいは、やはりキアス様の琴線を大きく揺さぶるようですね。貴重なデータをいただきました」


 壮観だ。


 アニーさん、パイモン、レライエ、トリシャ。


 別に、体の一部の大きさで羅列したわけじゃないよ?なんとなく。なんとなくだよ。


 しかし、これだけの美女が僕の目の前でみんな裸!!

 これって、世の男共に命を狙われたって仕方ないよね。本望だけどっ!!


 「マスタ、耳の後ろ、痒い」


 「おう」


 マルコの頭を洗ってやりながら、僕はその絶景に蕩然と見とれていた。


 アニーさん、着痩せするタイプだったんだね。いやー、絶景かな絶景かな。


 エルフってスレンダーなんだと思っていたけど、そんな事はない、良い肉付きをしております。濡れたグリーンの髪と長い耳のコラボレーション!!戸○呂弟と仙○忍がフュージョンしたくらいの破壊力だな!!いや!!僕もなに言ってんのか全然わかんないけどっ!!


 「あ、あまり見るなと言っているだろうっ!?」


 「いや、あまりに綺麗なもので、つい。見なきゃ逆に失礼ってものですよ」


 「そんな理屈が通るかっ!!」


 いやー、惜しいな。ここにコーロンさんがいたら、最高だったのに。いや、今も充分に最高だよ?


 「ました、次、ミュル!」


 「湯冷めしちゃうよ」


 何より、ミュルやフルフルってあんまり洗う意味がないんだよな。あれ、厳密には髪じゃないし。元から綺麗だし。


 「うぅ………。まさか、キアス殿がこのような無体を強いる魔王だったとは………」


 いや、僕なんてまだ優しい方だよ。どこかの変態龍なんて、会ったその日に子作りせがんでくるんだから。


 「キアス様っ、ここっ、ここにいらしてくださいっ!!」


 トリシャに導かれて、僕はトリシャの膝の上で湯船に浸かる。


 「トリシャ、今日だけだからな?」


 「何を言う。ちゃんと騎士団長の引き継ぎを終えたら、私もここに住み込むのだ。お前からこの『お風呂でキアス様をだっこする座』を奪うのは、そう遠い未来の話ではない!」


 パイモンとトリシャは、相変わらずだなー。今回は、アニーさんに敵対的な態度をとるかとも思ったが、意外とすんなり受け入れてくれたし、やっぱり基準がわからん。


 「キアス様、ささご一献」


 「僕はお酒は飲まないぞ?」


 「存じ上げております。これは果実の汁を砂糖水で割ったものにございます」


 「そっか。じゃあもらう」


 なぜか徳利と猪口で、そのジュースを差し出すレライエ。へぇ、徳利と猪口って、こっちにもあるんだ。


 「マスタ、美味し?マルコも飲みたい!」


 「ミュルも、ミュルも!」


 「溢しちゃダメなのよ?お風呂の水が濁るの」


 そんなの、みんなでお風呂に入ってる以上、今さらだと思うけどね。


 今日は僕の膝の上をマルコとミュルが占拠しているので、美少女のままのフルフルが僕の回りをプカプカと浮かびながら苦言を呈してきた。


 後ろにトリシャ、左にパイモン、右にレライエ、膝にマルコとミュル、側にフルフル。


 「………酒池肉林だな」


 恥ずかしそうに体を隠しながら、アニーさんがボソリと呟いた。


 「アニーさんも加わります?」


 「結構だ!!貴殿が魔王なのだと、私は今この時理解した!」


 おいおい、随分言葉を尽くして僕は魔王らしく振る舞ってきただろう?


 うーん。しかしここまでガードが固いとは………。シュタールのアホに操でも立てているのだろうか?くそぅ、羨ましいっ!


 「アニーさんって、シュタールの恋人なんですか?」


 ついでだし、前々から気になっていた事を聞いておこう。


 「いや、恋人ではない。どちらかと言えば家族に近いな。もう数十年は一緒にいるが、アレはアレで男女の情を理解するような男ではないしな。私もそういった間柄は苦手なので、姉弟、友人に近い。少々手は焼けるがな」


 「ほぅ。つまり恋愛感情はないと?」


 「無いな。というか、歴代の勇者たちも生涯独身を貫く者が多いぞ?きっと、妻も子も、自分より先に寿命で死んでしまうからだろうな」


 ふむ。確かにそうだな………。トリシャも、ウェパルも、コーロンさんも、みんな僕より早く死んじゃうかもしれないのか。いや、敵の多い僕が先に殺される、ってのも無いでは無い可能性だよな。だったら、僕なんかは好きな人と出来るだけ今を楽しむ事を選ぶけどな。

 いや、シュタールも既にそんな経験をした後なのかもな。

 何っ!?たったそれだけであのアホが、アホに見えなくなってきただとっ!?


 あれ?でも僕がこれから20年独身でいたら、ウェパルはともかくトリシャとコーロンさんは40代になっちゃうのか?別に彼女達なら40代になっても美人だと思うけど、でもせっかく今美人なのだから若い内にハーレムに加えたい。これは、僕のハーレム形成の予定を早める必要がありそうだな。


 今現在、僕のハーレムメンバーの候補は、パイモンは必須で、フルフルも、まぁ入れてやらんでもない。トリシャは厳しいか?王族だし、それ以前になんか弟のように扱われてる気がするんだよなぁ………。ウェパルは入ってくれるかなぁ………?コーロンさんは絶対入れよう。拉致しても入れよう。あとは………、ミュルも入れるか。オール?無い無い。じゃあレライエは………、どうしよう。


 うぅむ………。いざ作ろうと思うと中々難しいな………。皆、僕に恋愛感情を抱いてくれているかは甚だ疑問だし。最悪、コーロンさん以外、全員にフラれるというそら恐ろしい未来もありうる。ハーレム、侮りがたし!!


 まぁ、アニーさんのハーレム候補加入はたった今決定したけどね。


 「何か良からぬ企みを感じるぞ………?」


 気のせいですよ?





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[気になる点] 「………酒池肉林だな」 使い方が間違っていますよ。
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