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 広告塔、出動っ!?

 「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」


 怖い怖い。


 いきなり地べたに正座して俯き、レイラが呟くように謝り倒し始めた。


 「………こんにちは………」


 いや、ミレもアニーさんに隠れながら挨拶って、僕が何かした?なんでこんな扱い受けてんの?


 「キアス様ぁぁぁあああ!!」


 かと思えば、アルトリアさんが飛び付かんばかりに駆け寄ってきて、レイラの隣に膝をつく。って言うか何で様付け?


 「お久しぶりでございます!その、レイラちゃんに向けた、愛らしくも冷酷な笑顔を、どうか私めにも!!」


 え………?なにこの人?


 なんかしばらく見ない間に、勇者パーティのキャラが崩壊しまくってるんだけど。


 「ああ、引かれてるっ!!私、今蔑まれてるっ!!」


 怖っ!!


 「おいコラ、キアス!

 せっかく訪ねたってのに、お前この前留守だったろ!」


 「うっせ。僕は忙しいんだよ。あっちこっちフラフラできるお前と同じ時間で動いていられるか」


 シュタールは、なんだかんだと文句を言いつつも、笑顔でこちらに笑いかけていた。クソ、イケメンめ。


 しかしカッコいいな。長大なメル・パッター・ベモーを腰に提げ、その腰にはウルミーが巻き付き、反対側にはマン・ゴーシュ。


 カッコいいなぁ。


 「久しぶり、と言うほどでもないな。キアス殿、お陰で大分儲けさせてもらったよ」


 「アニーさん、お元気そうで何よりです。ダンジョンはお気に召しましたか?」


 「ああ、勿論。

 天帝金貨の補充は無理だったが、それでも貴殿に払ったお金は大分補填できた」


 「それは重畳ですね。僕も安心して、また品物を売れそうです」


 「ああそれと、このレッグホルダーは、なかなか良好な使い心地だぞ。いい物を譲ってもらった」


 「そうですか。ではこれからは、ちゃんとした商品として売ることにしましょう」


 いや、なんでミレとレイラはビクッとしたの?


 2人とも背が低いから、小動物チックでかわいいけどさ。


 「ああ、それとキアス殿、これを貴殿に買い取ってはもらえぬか?」


 そう言ってメイスを取り出すアニーさん。これは、ただのミスリルのメイスだな。正直、打撃武器にミスリルって、かなりミスマッチだから失敗作の部類なんだよな。何より、僕の造ったものを僕が買うって、かなり意味ないし。


 「あの、出来ればそれ、他の場所で売ってもらえません?例えばアドルヴェルドとかで」


 「む。やはり値段か?」


 「ああ、いえ。代金は大丈夫なのですが、そのメイスを僕が捌くより、アニーさん達が売ってくれた方が宣伝になるんですよ。

 その宣伝に釣られて冒険者が集まれば、僕が今ここでメイスを買い取るより、遥かに大きな利益を出せます」


 「そ、そうか………」


 アニーさんの顔がひきつっている。僕、何か変な事言った?


 「しかし、我々はしばらくこの街に留まり、資金調達に力を入れたいのだが………」


 いやいや、それは困る。だからとっとと追い出そう。


 「ああ、伝え忘れていました。アドルヴェルドからシュタールが呼び出されているそうです。アムハムラに2つも要請が来ているそうですよ?」


 「2つもか?何かあったのだろうか?」


 「さぁ………?

 ただ、枢機卿の1人が暗殺されたそうですよ」


 「暗殺!?」


 これについては僕は知らんよ。マジで。


 「あとはアムハムラ王襲撃事件の聴取だとか」


 「あ、ああ、それもあったか。しかし、暗殺とは穏やかではないな」


 「ええ、物騒な話です」


 ため息と共に首を振るアニーさん。


 「仕方ないな。そういう事情ならば戻らないわけにはいくまい」


 「えー、もっかい地下迷宮行ってからにしよーぜ?」


 「馬鹿者。事態は一刻を争うやも知れんのだぞ?」


 「枢機卿が死ぬのなんて、別に珍しくもねーだろうが。あいつ等、何が楽しいのか、いっつも権力闘争だ、陰謀だ、謀略だ、繰り広げてんじゃん」


 「確かにな………」


 うわぁ………。絶対関わり合いになりたくないな、アヴィ教内部。


 「とにかく、まずは戻らねばなるまい。少なくとも、事情くらいは聞いておかねばな」


 「へいへい」


 「というわけだキアス殿。バタバタして挨拶も儘ならなかったが、我々はこれで」


 「はい、今度こそ是非ゆっくりしていってくださいね」


 「ああ、では失礼する」



 アニーさんが他のメンバーを連れて、何も無い空間に消えていった。転移か。


 行ってこい、我が広告塔よ!!





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