表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
141/488

 前門の虎っ!?

 「ならば選りすぐりの部下と我が貴様の元へ行き、土地の管理をしつつ貴様に武器を造ってもらうのはどうか?」


 「却下」


 「むぅ………。

 ならば精鋭数名を彼の地に送り、貴様はここで武器を造りつつ、子も作るのがいいな」


 「却下だ!つーか、いい加減諦めろ」


 「嫌じゃ。

 ならばやはり、我が貴様の居城に住み込むしかないではないか!?」


 「お前要らないから、部下だけ寄越せ!」


 「ええぃ我が儘ばかり言うでないわ!」


 「ワガママはお前だ!何で僕がお前なんか養わなきゃなんないんだっ!?」


 こいつ、マジで話になんない………。何てワガママな奴だ。


 え?僕がどうしたって?聞こえなーい。


 「だから、人が必要だと言うなら我が骨を折ってやろう。その代わり、我を貴様の側へ置けと言っておる!!」


 「い、や、だ!

 お前みたいのを側に置いたら、僕は来年には父親だ!」


 「良いではないか!!

 子は宝ぞ!父になれば威厳も増そう。貫禄も出よう。

 貴様と我の子ぞ。ゆくゆくは魔大陸に名を轟かす大魔王も夢ではないわ!!」


 「あと20年は、独身を堪能したいよ………」


 「我はつくす嫁ぞ?軍が攻めてくれば滅ぼし、魔王が攻めてくれば滅ぼし、勇者が攻めてくれば滅ぼし、貴様に苦労はかけんぞ?

 浮気にも寛容だ。幾幾人でも女を囲え、子を作れ。我が皆育ててやろう」


 「過激な良妻賢母だなっ!?


 っていうか、また子作りの話になってんぞ!!」


 いい加減この話も冗長だ。頼むから、もう諦めてほしい。


 顔に『私はド変態です』と書いたままのオールと、先々の計画について話す僕。だが、これが中々進まない。オリハルコンの加工ができるのは、真大陸、魔大陸合わせても僕だけなのだろうから、こちらに歩み寄るかと思えば、オールは自分の都合ばかり押し付けてくる。是が非でも僕を囲い込むつもりらしい。


 「僕はこれでも忙しいんだ。ここに留まることなんてできない」


 「ならば我を連れ、事に臨めば良かろう。尽くす我、ちょっとよろめくであろう?」


 「全然」


 「むぅ………、貴様、つれないにも程があるぞ。我は、それほど魅力がないか?」


 いや、今の姿は絶世の美女だし、さっきの幼女姿も美少女だったよ。はだけた着物の襟や裾にも、自然と視線が吸い込まれるし。


 でもなぁ………。


 行為ありきで誘われるのはどうも………。こんな美女に誘われてる現状に、全くときめかないのは、僕の性分のせいか、はたまたさっきの強姦紛いのオールの迫り方のせいか。


 「とにかく、僕は今子供を作るつもりもなければ、オールと関係を持つつもりもない。あ、関係ってのは男女関係って意味な」


 雌雄同体のコイツと僕との関係が、男女関係に当たるか否かは意見の割れるところだろうが。


 「だから、今僕の側にいても仕方がないんだよ。僕の管理地に来た人から、順に専用の武器を造って、順次入れ替え。そっちのオリハルコンの在庫が尽きるか、僕の判断で打ち切り。


 大体100人分くらいを目処にしてるから、そっちもそのつもりで人員を寄越してくれ。1つの武器の製作に1ヶ月、必要な人員は5人。半年交代にすれば10年間、僕とオールは良好な交流ができる。勿論その間、僕側で人材の確保ができても、この契約は続行だ。僕はそこで、それまでの恩を無下にするような不義理な男ではない」


 「む?

 えっと………、5人が1年で2組………、その10年分で、100人!!なんと!貴様、存外賢いな!

 ますます子が欲しくなった!!」


 やべー。コイツホントやべー。話通じねー。いや、通じてるのに通じねー。


 「お前は本当にそればっかな?」


 「当然よ。数百年、毎日毎日命を狙われ続ければ、子くらい残しておきたくなるのだ。でなくば、万一命を落とした時、我の生きた証はどこに残る?生きることとは、死ぬための準備ぞ。いつ何時みまかられようと、臨終の間際に笑えるのは、この世に確かな証を残した者だけじゃ。


 だから我は、今この時落命しようとも、笑いながら往生して見せようぞ」


 「………」


 ふん。

 別にカッコいいなんて思ってないし!僕だって20年くらいすれば、子沢山のハーレム作る予定だしっ!!


 「お?なんぞ、貴様の好感度が上がった気がするの」


 「気のせいだ」


 「どうかの。

 のぅ、キアス?」


 「何だよオール?」


 「貴様『親しい者以外を、呼び捨てで呼ぶつもりはない』、だったかの?」


 「なッ!?」


 いつの間にっ!?


 い、いや、アレだ。きっとシュタールと同じで、蔑む相手も呼び捨てで呼ぶんだ、僕は。シュタールはバカだし、コイツは変態だ。呼び捨てが丁度いいと、僕の精神が勝手に判断したんだ。


 「のぅ〜、もう一度呼んでたもれ?我をオールと、呼んでたもれ?」


 「えぇい!しなだれかかってくるな!」


 「つれない男ぞ。ひどい男じゃ。

 だがなぜかの?貴様につれなくされる度、我が胸にメラメラと、形容できない気持ちが燃え上がっておる。


 はッ!!もしやこれが恋っ!?」


 「ただの欲求不満だっ!!」




 本当に話にならん。このままじゃまた押し倒されそうだ。

 白馬に乗ったパイモンはまだかっ!?





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ