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 グリフォンの隠れ里っ!?

 『マスター、勇者がダンジョンに侵入しました』


 アンドレの台詞に、僕はようやくシュタール達を呼んでいた事を思い出した。


 来て欲しい時に来なくて、忙しくなったら来るなんてどんな嫌がらせだ。


 急いでウェパルに連絡を取り、腕輪を売ってもらった。危ない危ない。別に、他のアイテムショップでも買えるのだが、存在そのものを知らずにダンジョンに入られては宣伝の意味がない。っていうか出てこれない。


 まぁ、信頼の迷宮に入っても、食料40%、おもちゃ50%、マジックアイテム5%、質を落とした短剣などが5%の比率で宝箱が設置されているので、そうそう荒稼ぎはできない。次の困惑の迷宮からは武器とマジックアイテムの比率が増え、おもちゃが無くなり、代わりにミミックが出るようになる。


 冒険者としてはここからが本番なのだ。


 シュタール達は今は隔離トラップをクリアしたところか。


 このトラップ、実は冒険者が嵌まるのと、侵略者が嵌まるのとでは段違いの意味を持つ。


 冒険者はいざとなれば腕輪での脱出も可能だが、侵略者達は僕の造ったアイテムが使えない。


 置き去りにされた者は、仲間が助けてくれなければ哀れな末路を辿ることになる。しかも食料が減り、長城迷宮などで足止めを食ってから、仲間と時間とを天秤にかけさせるのだ。


 まぁ、冒険者の方は仲間を見捨てれば、その仲間が帰還した時の信用はがた落ちだろうな。二度と修復不可能な軋轢を生むだろう。


 信頼の迷宮、何気に恐るべし。


 とはいえ、中身はただの訓練施設みたいなもので、ひよっ子冒険者の訓練になれば、冒険者も集まるかなと考えている。ただ、信頼の迷宮と城壁都市の往復だけだと、腕輪の代金の分を賄えないので今は無理だな。おもちゃは、今はそこそこの値段で売れても、やがては安く買い叩かれるだろうし。


 できれば冒険者組合に出資してもらって、新人教習やブートキャンプみたいなのを企画してもらいたいな。


 『冒険者になるなら、まずはダンジョンへ』


 なんて言われるようになれば最高だ。人員の輸送も、アムハムラの起業が成功すれば問題ないしね。




 と、シュタール達の動向を確認しながら、僕が今何をしているのかといえば、道無き道をグリフォンのバルムさんの背に乗って旅をしている。


 グリフォンの住まう隠れ里へバルムさんの案内のもと、絶賛遠征中である。


 本当は空飛ぶ馬車で一気に行きたかったのだが、空を飛ぶグリフォンにはあの馬車は見つかりやすいらしい。


 下手をすれば空中戦闘をするハメになるんだとか。


 僕の馬車は高性能だけど、さすがに戦闘能力は皆無だ。風を通さないので、必然的に音も通らない。話し合いも不可能である。


 なので途中まではあの馬車で来て、山の麓からは徒歩である。結構険しく、深い山なので大変そうだ。


 皆は。


 僕はバルムさんの背に揺られているだけなので、かなり楽なのだ。え?ズルいって?


 バカ言っちゃいけないよ。山登りの素人の僕と、元旅人のパイモン、野生児のマルコとミュル、この山で生まれたバルムさんに、僕が付いて行けるわけがないじゃん!


 実際超早い。結構な標高の山なのに、たった2日でもう8合目くらいまで登っているのだ。僕が歩いてたら、あれだぞ?3倍は時間がかかるぞ?


 そうそう、この山には結構魔物が出る。小さい猪みたいな魔物、スモールボアや、同じくスモールという名前がついているのに、ヤモリの5倍は大きなトカゲ、スモールリザード等がちょくちょく襲いかかってきた。まぁ、パイモンやマルコ、ミュルにかかったら瞬殺だったけど。


 「しかし、魔王の親衛とはいえ、お三方ともお強いですなぁ」


 感心するバルムさんの視線の先ではパイモンが僕の造った鉄鞭、『神鉄鞭』でロックイーターという体が石でできた魔物を、一撃で粉砕していた。ああ、あんなに粉々にしちゃって………。ロックイーターの体からは不純物の無い、完全なインゴットが採れて便利なのに。まぁ、余計な石とかを除去するのが面倒だから、今は旅程優先なんだけどさ。

 でも鎖袋に入れればいい事なんだから勿体ない。


 「まぁ、3人とも僕の護衛だからね」


 「しかし、それにしても強すぎますよ。普通ロックイーターは魔法で倒すものなのに………」


 「まぁ、パイモンはコションより強いから」


 あの体力バカを倒しきれるかはわからないけど、ステータス的にはコションより強い。


 「なっ!?魔王様より強いのですかっ!?


 しかも彼女は一角ですよ!?」


 あー、そういえば一本角のオーガは弱いって思われてるらしいね。正直、今まで見た魔族でパイモンより強い人なんて皆無なんだよな。その話、絶対ガセだよ。


 「バルム、今の言葉、もう一回言ったら君の事殺すから憶えといて」


 「っ、肝に銘じます………」


 「にしても深い山だねー」


 「隠れ里ですからね。あまり魔族が入り込まない場所を選んで住み着いたのでしょう」


 うーん、ここまで徹底的に排他的だと、やっぱり交渉は困難かもね。まぁ、もし了承されれば儲けもの、くらいの感覚でいよう。


 そういえば、ダンジョンの近くにも山があったなぁ。あれ、全く手を付けてないけど、いずれダンジョンに取り込みたかったんだよね。




 つーか暇だなぁ………。





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