装備一新っ!?
さて、再び遠出することになったからには、それなりの準備をしなくてはならない。
まずつれていく人員だが、今回はパイモンを連れていこうと思う。なんだか今まで結構留守番させちゃってたし、それを密かに残念そうにしていたのも知っていたしね。
だが、今回赴くのは魔大陸!!パイモンだって大手を振って連れ歩けるってもんだ。
他にはマルコとミュル。フルフルは留守番だ。もうあんなマジックアイテムの無駄遣いは出来ないからな。
ウェパルは城壁都市で少し仕事を任せている。ただ、しばらく僕らの住む場所と城壁都市の行き来はできなくなるので、ウェパルとフルフルは別行動になる。城壁都市にも、僕の造った銭湯のような大衆浴場はあるのだが、フルフルは神殿の風呂がお気に入りだからな。
とまぁ、連れていくメンバーが決まった所で装備の話に入ろう。
パイモンの今までの六角棍は、場所をとるので勇者パーティーにも渡したレッグホルダーの中へ。そして携帯用に新しい武器を装備してもらう。
鉄鞭だ。
鞭という言葉とは裏腹に、これはただの棍棒に近い。剣のような柄と、あまり太くない円柱状の武器で、外見はかなり剣に近い。剣を受けようが、斧を受けようが壊れない強靭さと、鎧の上からでも十分な威力を発揮する代物である。
これをオリハルコンで造ったのだから、最早言う事はないだろう。
2本を腰の両側に提げ、緊急時でも咄嗟に使えるようにする。
さらに、予備として学ランの内ポケットには寸鉄。胸ポケットに鉄扇。ズボンのポケットにはなえしが入れてある。打撃武器の一人博覧会状態だ。
パイモン曰く、何があってもいいように、らしい。
もし戦闘中にレッグホルダーが外れ、武器を破損するか取り落とすかして使えなくなった時に必要なんだとか。まぁ、確かに。
そして防具であるが、こちらは簡素な物だ。薄い胸当て、籠手、脚甲を着けただけであり、胸当ては制服の下だ。素材はオリハルコンなので防御面で心配はしていないのだが、見た目がフル装備としてはややいつも通り過ぎる気がする。
次にマルコとミュルだ。
どちらもまだ防具は出来ていない。ミュルの防具は要らなそうだが。
まずマルコが圏。そう、レイラが買わなかった圏である。格闘スキルが高いのと、素早さがあるのでこれでいいだろう。棘の付いた金剛圏なので威力も凶悪である。
ミュルは中距離用の武器が多い。だが、普段はフルフルと同じく体内に隠し持つので、外から見える武装はナイフだけだ。
プッシュダガー。
握り込むタイプのナイフだが、ジャマダハルより小さく、投擲も可能な小さなナイフだ。まぁ、ミュルが腕を伸ばせば、こんな小さなナイフも立派な中距離武器になる。
どちらも手元にあった物を与えただけで、戦闘スタイルに合わせて専用の武器は、これから造っていこうと思う。
さて、最後に僕の武装だ。
僕もまた、パイモンと同じように薄い鎧を制服の下に着けている。だが、これはパイモンみたいに動きやすくするために薄くしているわけじゃない。
………あんまりゴツいのだと、重すぎて動けないからだ………。
まぁ、防具はどうでもいい。いや、このまえみたいな事があるので良くはないのだが、今はこれでいい。
次に剣である。
今まで使っていたショテルも腰に提げてはいるが、こちらは目立たないためのダミー。本命は。
ハルペー。
そう、ギリシャの伝説の剣だ。
え?知らない?
形はショテルとよく似た鎌の様な刀身が三日月状に湾曲している。
ギリシャ神話でペルセウスがメドゥーサの首を切り落とした、由緒正しき首切り包丁である。
伝説通り、引っ掻けて斬る事に長け、ショテルと同じように盾の裏から突くために、切っ先から半分は峰の方にも刃がある。
いやー、いい出来だ。
シュタールに売ったメル・パッター・ベモーもいい出来だったが、これは確実にあれを越える出来だ。
他にも、ペルセウスにあやかって造ったのが盾だ。
大きな丸盾の中央には、世にも奇妙な細工が施されている。メドゥーサの首のレリーフである。そう、これは、
イージスの盾
のレプリカである。別に本物のメドゥーサの首を使っても良かったんだけど、気持ち悪いし。それに魔物のメドゥーサって、別に女の人の姿ってわけでもないんだよね。なんかは虫類と猿を足して、そこに悪意を掛け算したみたいな結構な姿なんだ。
だけど、オリハルコンで造ったから強度は折り紙つき。しかもレリーフは、自分で造っておいてなんだが、見とれるくらい美しいメドゥーサが彫られているのだ。
ハルペーとイージスの盾を装備した僕。さながら気分はペルセウス!
うん、英雄ごっこに興じる子供みたいだ。
装備はこんなものでいいか。後は、食料や水なんかは鎖袋に入れて、準備は完了だ。
でも、なんか忘れてる気がするな………。
なんだろ?