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 はじめての使い魔っ!?

 マルコシアス。

 ソロモンの72柱の悪魔で序列は35。狼の姿で現れる戦士であり、とても誠実な悪魔。


 ムルムル。

 ソロモンの72柱の悪魔で序列は54。ムルムクス、ミュルミュールとも呼ばれ、冠を被った兵士の姿で現れる。死者の魂を呼び寄せ、質問をする、『音楽の魔神』などとも呼ばれる悪魔だ。




 マルコシアスはともかく、ムルムルのキャラかぶりが酷いな。名前はフルフルに、逸話は僕に似ている。違う名前にしようかとも思ったけど、あまりピンと来なかったんだよな。まぁ、普段はミュルと呼ぶことにする。


 「マルコ、ミュル、こっちがウェパルだ。自己紹介」


 「マルコ、マルコシアス、ウェパル」


 「ミュル、ムルムル、ウェパル」


 うん。自己紹介できて偉いな。ただの名前の羅列だけど。


 「ぇあ、ウェパルです………、えっと………、ご主人様?」


 まぁ、そりゃあ困惑するよね。


 「ウェパル、こいつ等の教育係頼めるかい?」


 あれから、しっかりと仲間用の召喚を使って仲間にした2人を連れ、僕らはリビングまで戻ってきていた。ここ最近色々あったので、ホントゆっくりしたいのだ。出来れば、武器の整理もしたいし。


 しかし、マルコとミュルの意思疏通が難題だった。


 言葉が拙すぎて、何を言っているのか一々斟酌しないとわからないのだ。そこでウェパル先生の誕生である。子供同士、仲良くやってくれることを願う。


 「あ、あの………、ウェパルも、そんなに言葉とかわかりません………。文字も書けないし………」


 あれ?そうだったの?


 そういえば、僕は書けるんだよな。なんとなく。言葉もなぜかなんとなく話せるし、神様のお陰なんだろうけど、僕も教師役には向かなそうだ。


 「とりあえず、遊びながら話してればいいよ。最初はそうやって言葉を覚えるものだし」


 「はぃ………」


 そんな気負わなくていいって。苦笑してウェパルの頭を撫でていると、マルコとミュルが近寄ってきた。


 「マスタ、マルコも」


 「ました、ミュルも」


 いや、頭差し出されても。言葉を覚えたら撫でてやると言ったら、2人ともウェパルに群がっていた。ウェパル、強く生きろ。




 はぁ〜。

 疲れた。最近は本当に忙しすぎた。『奴隷狩り狩り』からこっち、まともに休めた気がしない。僕はもっとスローライフな生き方がしたいよ。


 こういう時はアレだな。趣味だな。


 とりあえず、その他一切合切の雑事をほっぽって、僕は鍛治場へと向かった。もっと実験してからとも思っていたが、とっととオリハルコンで僕用の剣を造ってしまおう。今回みたいな事はもう御免だが、もしそうなった時の備えはしておかなくてはならない。マジックロックは、出来れば使いたくないからな。




 丸一日、趣味に没頭して戻ってみると、ウェパルがぐったりしていた。


 「マスタ、おかえりなさい」


 「ました、おかわりです」


 「違う。『おかえり』。ミュル、『おかえり』」


 「お、かーり?」


 元気だなお前ら。しかし随分と流暢に喋るようになった。まだカタコトっぽいけど、意思疏通には充分だ。


 「ただいま」


 「あ、ご主人様………、おかえりなさい………」


 いつも元気な笑顔で挨拶してくれるウェパルも、今日ばかりは元気がない。労いの意も込めて、優しく頭を撫でてやると、嬉しそうに目を細めていた。

 と、そこへ使い魔2人も駆けてくる。


 「マスタ、マルコ、ちょっとだけ言葉、憶えた」


 「ました、ミュル、マルコより、ちょっと憶えた」


 うん『ちょっと少なく』な。その言い回しだと、『ちょっと多く』に聞こえるぞ。外見があざといまでに可愛らしいせいでかなり腹黒く聞こえるけど、カタコトだからだよな?


 まぁ、約束なので2人の頭も撫でくり回す。キャッキャ騒いで嬉しそうにしてくれるのは、なんだか父性を刺激されるな。

 まぁ、2人は僕より後に生まれたのだから年下で間違いないし、本当に蠱毒で生まれたのなら僕が生みの親と言っても差し支えない。


 あぁ………、癒されるなぁ。


 アムハムラ王の親バカも、ちょっとわかる気がするよ。公務で忙しい時、こんな可愛らしい子供がいたなら、確かに骨抜きにもなろう。トリシャの子供時代って、ちょっと想像つかないけど。


 「マスタ、ご飯?お風呂?」


 おっと、ウェパルの真似かな?

 ウェパルはここで、メイドさんみたいな仕事をしてるからな。でもマルコは男の子だから執事だな。マルコもミュルも、今は学ラン姿だ。地下迷宮じゃ、毛皮を被っていただけだったからな。


 僕に裁縫の才能があれば、メイド服や執事服くらい作るのに。


 「ました、ご飯?お風呂?ミュル?」


 「………………」



 どこで憶えてきたの、そんな台詞?ウェパル!?まさかウェパル!?


 意味とかわかってないよね?なんか末恐ろしいなミュルは。


 まぁ、聞かなかったことにしよう。


 「じゃあご飯にしよっか」


 「ご飯!!」


 「ご飯、ご飯!!」


 さすが捕食者。食欲旺盛だね。




 なんだか早くもマルコとミュルはダンジョンに馴染み始めていた。


 っていうか、平均年齢低いなここ。





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