突然変異とアムドゥスキアスっ!?
ワーリキッド 《レベル6》
まじん ほしょくしゃ きょうしゃ
たいりょく 925/925
まりょく 7894/7894
けいけんち 1/4500
ちから 22
まもり 6980
はやさ 12
まほう 252
わざ
ぶつりむこう
どく
ほしょく
そうび
成る程成る程。
つまり強くなりすぎた魔物が、進化だか突然変異だか、まぁ何かが起こって魔人になったと。元々地下迷宮にいたから、今も地下迷宮をさ迷っていたと。
いやっ!全くわからん!!
何が成る程?つか、そんな事が本当に起こるなら、魔人なんて世界中で現れるだろうが。何で誰も知らないんだよ?
いや、そもそもこいつ等は本当に元魔物なのか?
見境なく生物に襲いかかるわけでもないようだし、何より拙いながらも言葉を話す。知性がある以上、魔物とは呼べないだろう。
じゃあやっぱり外部からの侵入か?いやいや。いくらステータスが高くても、それだけで突破できるようなやわな造りじゃない。それならまだ、突然変異説の方が有力だ。
全くわけがわからん。
「キアス様、どうしますか?」
「どうって言われてもな………」
そんなの僕の方が聞きたい。まぁ、いつまでも捕まえておくのも忍びないし、子供に暴力を振るうつもりもない。
「フルフル、離してやりな」
「わかったの」
フルフルは返事をするとすぐさま2人を離し、2人は地に足をつけるや否やこちらに飛び込んできた。
今度はパイモンに捕まった。
「大丈夫だよパイモン。どうやら敵意はなさそうだ」
「し、しかし………」
まぁ、正体不明のミノタウルスを軽くほふる子供を、僕に無警戒に近付けるわけにはいかないだろう。
パイモンに離してもらった2人は、やっぱりこちらに駆けてくる。
「マスタ、マスタ」
「ました、ました」
やたらスリスリされてるよ。
「お手」
なんとなく、犬っぽかったので言ってみたら、2人が僕の手の上に手を重ねた。モヒカンの方が早い。
「おかわり」
もう一度。やっぱりモヒカンの方が早い。
「ぅなーーーっ!!」
と思ったらピンクの方がモヒカンに掴みかかった。負けて悔しかったのかな?
そいつイヌ科らしいからしょうがないよ。
これでこいつ等が敵じゃないことはわかった。でもやっぱり謎は謎だ。
「あ」
そうか。
確認する術なら無いでもない。
「アンドレ、レベルが突出してたレッドキャップがいただろ?あいつ今どこ?」
『………不明です』
まぁ、倒されちゃった可能性もあるが、あそこまで強くなった個体を倒すには、相当強力な個体がいなければならないだろう。今のところそんな個体は確認されていない。
地下迷宮の魔物のレベルは、だいたい70くらいで頭打ちな傾向にある。レベル70から先は、必要な経験値が跳ね上がるのかもな。しかし、そのレッドキャップはなぜか順調にレベルを上げていき、気付けばレベル80を越えていたのだ。スライムにもレベル78の個体がいたが、こちらも今現在ダンジョン内に存在しないらしい。
「決まりだと思うか?」
『確証、とまではいきませんが、あの個体が簡単に死ぬとは思えません。現実味は出てきたと考えるべきでしょうね』
そういえば。
僕の知識の中の、今までは要らないと思っていたものを、記憶の中から引っ張り出す。
蠱毒。
蠱術、蠱道と呼ばれる呪術の1つで、器の中に毒虫を集め、互いに喰い合わせて最後に残った1匹を用いて呪いを行うもの、だったかな。
でも、蠱術とは本来犬や猫などを使い魔として使役する術だったはずだ。
蠱毒も、最後に残った虫を使い魔にする、と考えれば合点がいく。
そして、この蠱毒を造ったのは僕であり、さらにこいつ等のなつき振り、命令に従う従順さ、使い魔が生まれたと仮定すれば納得できなくもない。
『連れて帰りますか?』
「仕方ないだろ、この状態じゃな」
少なくとも魔族や魔王ではないし、この雰囲気から察するに、安全だけは保証できるだろ。
僕が生み出してしまった場合、ここで捨て置いて死なれてしまっては寝覚めも悪い。それに、やや特化しすぎてるとはいえ、ステータス的にはかなりの物なのだ。見過ごす手もないだろう。
『一応、召喚陣を通してからにしてくださいね』
「わかってる。名前も付けなくちゃだよなぁ。
あ」
名前で思い出した。
アムドゥスキアス。ソロモンの72柱の悪魔の1柱。67番目の悪魔であり、音楽に関する逸話の多い悪魔だが、もう1つの特性として、優れた使い魔を授ける。