志織 〜修平からの視点〜
朝は俺は部活がない、だから志織が帰って来るのを待つ。その間俺は友達と話している。
「で、どうなの?来島さんとは。まぁ上手くいってるのはわかってるけど」
「じゃあなんで聞くんだよ」
「別にいーだろ?」
「お前の方は?」
「俺?…別れた」
「えっ…あっ、お前それで…なんだよ、それなら最初からそうやって言えよ」
「だって言いにくかったからさ…」
「え、何で?」
最近すぐに文句を色々と言ってきて若干面倒臭くなってきていたらしく、別れを切り出したらしい。
「でもさ、納得してくれたの?」
「いや、またぐちゃぐちゃ言われたから適当に切り上げて帰った」
「それまずいだろ」
「そんなことねーよ」
「まぁ、片付けたほうがいいと思うけど…」
「いつかそうするよ…」
志織が帰ってきた。が、教室の前まで他の男子と話している。
俺はかなり気になった。
しばらくして戻ってきて自分の席へ行こうとする志織を追いかけてそのまま後ろから抱きつく。
わっ、と志織が驚く。
が構わず抱きしめた。俺はかなり独占欲が強いと思う。恥ずかしくないのか、とよく友達に聞かれる。が、俺は恥ずかしくはなく、志織がどうなのかは考えるが俺としては全然問題ないことだ。
志織はどうなんだろう…
三時間目は体育だった。
極度な運動は制限で出来ないが、とび箱ぐらいなら出来なくはない。参加することにした。
とび箱は飛ぶまでの距離を走るため少し負担がかかるかな、と思っていたが、その負担は想像以上だった。
二周目が終わった頃には、もうかなり息が切れてしまい、鼓動が早くなっているのがわかる。仕方なく保健室へ行く。
ベッドに横たわり呼吸を整える。天井を見つめているうちに自然と瞼が落ちてきた。
「修平、…修平、」
自分の名前を呼ぶ声が聞こえる。
俺が目を開けると志織がいた。
「起きた?」
「えっ、今…」
「昼休み」
寝ちゃったんだな…
「…部活は?」
「休んだ」
「…ごめん」
「ううん、大丈夫。」
志織が椅子をベッドに近づける。
「それより無理しちゃダメだよ?」
「うん…」
俺は上体を起こして腕でぐいっ、と志織を引き寄せてキスをしてそのまま抱きしめた。
可愛いな、って思う。全てが可愛い…。黒に近い茶色の長い髪を撫でて首すじにキスをした。
志織は一瞬びくっとしたが俺に抱きついてきた。
携帯がなった。
「志織、ごめん」
そう言って電話に出た。
「もしもし?どうしたの?今学校なんだけど…」
『さっきね病院から電話がかかってきたんだけどね、あのお世話になってる西山先生から。』
「うん、それで?」
『この間の定期健診のことで話したいことがあるって言ってて、修平も一緒に来た方がいいって言ってて…来れる?』
「えっ…今から…?」
『そう。急にはなっちゃうけど早い方がいいから今日お願いしたの』
「…。…わかった、今から行く」
『うん、じゃあ病院で待ってるね』
「わかった」
話ってなんだろう…
「お母さん?」
「そう…。ごめん、帰るね…」
「うん…。お大事に」
「ありがとう」
なんだろう…話って…
俺は志織を教室まで送って、学校を出た。