友達っていいですね。
瑞月さんは尚、「巨乳ロリ?」とか言ってるが俺にはどうでもいい。俺は全生徒におかしな性癖の持ち主として認識されてしまったんだ。
グズグズと泣く俺を王子は慰めてくれた。優しい。だが、その程度で俺の心の傷は癒せません。
「俺はひたすら平凡な学校生活を送りたかったのにぃっ!うわぁぁん!」
本格的に泣き始めた俺に、瑞月さんも「いや、それは無理だと……。」とか言いながらも申し訳ないとか思ったのか、ばつの悪そうな顔をした。でももう俺への認識は変えられないよ!なんで過去に帰れる能力とか持ってないんだ、俺は。
裕樹は午後から教室来いとか言ってたけど、もういい。俺は初日から登校拒否をします。どんな顔して教室行けばいいっていうの。
本気で自室に戻ろうと俺が席から立とうとした時、天使が現れました。
「あれ、姫宮居たのか?居たなら俺達の方来れば良かったのに。」
爽やかに一之瀬が笑ってる。俺には天使の笑みにしか見えない。
俺は感動のあまり思わず一之瀬に抱きついてしまった。
「いっ、一之瀬ぇ、俺もうお前が大好きだよ!是非俺とお友達になって!」
俺が結構勢いつけて抱きついたのに一之瀬は平然と抱きとめた。こいつ、良い身体してるもんなぁ。俺より背、圧倒的に高いし。185cm近いんじゃないか。悔しい。
俺が抱きつたのを見て瑞月さんがまた興奮し始めているようだが、流石の瑞月さんも何も言わなかった。輝いてる眼が怖いけど。周りからのホモ疑惑も強くなってるけどそんなのいいや。
「友達は別に良いけど、姫宮なんで泣いてるんだ?」
俺は一之瀬の優しさに感動して涙目になりながらもここまでのだいたいの流れを説明してみた。
すると、一之瀬の眼が鋭くなった。え、俺なんか気に障る事言ったか。
俺の思いが伝わったのか、あぁ、姫宮の事じゃないよ。と今度は普通の眼で俺に言う。俺はそんなに顔に思いが出ているのか。
「……口に出してるのよ、姫。」
……。まさか俺がどこぞのありきたりな主人公のするような事をしてしまうなんて。不覚だった。なら裕樹気づいてたんだろうな。言えよあのあほ。
しかし、あの一之瀬の態度はなんだろう?
俺のその謎はすぐに解けた。
「みぃーずぅーきぃー。なにしてんだお前は?」
「……少し妄想が爆発してしまいました。」
「さっき、何想像した?」
「な、何のことか…すいませんごめんなさい男前×不良チャラ男萌えとか考えましたホントにすいません。」
どうやら一之瀬は腹黒キャラのようだ。しかもきっとS。真っ黒なオーラを背後からだして格好いい笑顔で焦ってる瑞月さんで遊んでる。
一之瀬のキャラ変に呆然とする俺に、今まで気づかなかったが一緒に居たらしいクリスが話し掛けてきた。
「あの二人は幼馴染なんだよ。いつもあんなんだからスルーしてあげて。なんで今日教室来なかったの?」
笑顔が天使。見てるだけで癒されていく。
「実は朝寝坊して、ぇ。」
クリスにちゃんと理由を言おうとした俺は後ろから伸びた手に顎をつかまれた。首が痛いだろ。
「これが雄大達の言ってたてんこーせー君かいな。確かに綺麗な顔しとるなぁ。パッと見女かと思うたで。」
顔をガン見された、明らかに染めた金髪のチャラいちょいイケメンの不良に。誰だこのエセ関西人は。俺でもすぐわかるぞ、エセだって。だが俺にとってもっと重要なのは
「誰が女だと?しかも誰だてめぇ。」
確かに昔女だったが、だからこそ女扱いはマジでむかつく。ぶっ飛ばすぞ。
「堪忍なぁ。顔は中性的やし髪も長かったもんで。あ、俺雄大の友達や。泰一って呼んでな。」
チャラ男はどうでもいいが、確かに髪長いな。男子生徒は大半が髪、短い。あっ、長いからチャラく見えるのかもしれないし。
「髪切るか。」
「ちょ、待ってや、そないな綺麗な髪切ることないやろ。」
「だって邪魔。」
「結べばええやん。」
「チャラく見えるだろ、なんか。」
でもとかなんか言ってるが、俺は切ると決めたんだ。どうせ男なら一之瀬みたいな男前になりたい。
(姫、切らない方が良いぞ。)
王子が話し掛けてきた、所謂テレパシーで。何故にテレパシー?
俺もテレパシーで王子に理由を尋ねたところ王子はこう返した。
(切ったらお前の髪気に入ってた城の奴らが煩いだろう。なにより裕樹にどう言うつもりだ?)
髪を切るのは止めておきます。ならしょうがないな。
「おいチャラ男。喜べ、俺に髪を結んで良いぞ。俺センスマイナスだし。」
「何故に上から目線!?しかも泰一って呼んでって言うたやんっ!」
ぶつぶつ文句を言いながらも泰一は俺にうまい髪の結び方を教えてくれた。いい奴だ。
だが、俺の髪を結んでいる間クリスがずっと「姫宮君にもう使われてる!姫宮君人使うのうまいね。それとも泰一が使われるのがうまいのかなぁ。」と爆笑されてたので顔はとても不機嫌でした。泰一はみんなのオモチャのようです。
「姫、そういえばそろそろ昼休みは終わりよ。教室だか職員室行かないと怒られるんじゃない?」
俺は走りました、職員室に。
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