表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/30

みんな優しいですね。

荷物が少ないので、片付けはすぐに終わってしまった。≪王国≫では仕事三昧で暇なんてなかったが、いざ暇になるとやることがない。寮内を散歩するのも面倒だし、食堂があるらしいがまだ16時だ。

何かないだろうかとベッドに寝転がっているうちに俺は眠りに落ちてしまった。


チャイムの音が聞こえる。仕事が追加されたのだろうか。何故中に入ってこないのだろう。入ってきたらきたで苛つくが、チャイム一回鳴らすというのも苛立つ。一体誰だ、くそっ。


「あ゛ぁ?誰だ、俺の眠りを邪魔すんのは。」


半ばキレながら玄関を開けると美少女のような金髪緑眼の美少年(で合ってるよな?)とノリの良さそうな茶髪の男前がいました。


「……どちら様?」


こんな人達城にいただろうか。新人?


「担任から転校生が来たって聞いてよー、寮内を案内してやれってな。」


聞いてたイメージと随分違うけどなーあはは。

男前は爽やかに笑っているが美少年は明らかに怯えてる。

漸く俺はここが≪王国≫の≪城≫ではないことを思い出した。

(しまった、俺転校してきたんだった。)

気性の激しい連中が城には多かったから昔は穏やかだった俺の口調は荒い。このままでは俺は本当に不良として生徒に認識されてしまう。どうにか誤解を解かないと。


「ごめんね?俺寝起き機嫌悪いんだー。」


俺はあははーと笑いながらなるべく優しい口調で話してみた。すると美少年がぼそっと、「チャラい?」


し、しまったああぁぁっ。王様(≪王国≫のNo.1)から口調柔らかくしたらきっと女の頃の感じが出てチャラ男認定されるぞーやーいとかいわれてたのに!ぜってぇされねぇとか言い返したのに!不良認定も嫌だけどチャラ男認定もいやぁぁぁぁー!俺のあほっ!


俺が一人であわあわしてると、目の前の二人が吹きだした。

男前が俺に手を差し出して言った。


「なんかお前キャラがわかんねーな。俺、一之瀬雄大。」

「俺はクリスです。クリスっていうのは愛称だけど本名長いからそう呼んでね。」


美少年ことクリス君も一人でぱにくる俺に恐怖心が薄れたのか自己紹介をしてくれた。いい人達。俺は若干涙目になっているだろう。一之瀬の手を握り返しながら俺は言った。


「俺、転校生の姫宮響。もぉなんかありがとう。でも寮の案内って?」


粗方寮内の案内図は見たのでだいたいのものはわかってるから別にいいよ、と俺が言うと一之瀬はそうかぁと少し残念そうだ。


「あぁ、でも飯まだだろう?もう晩飯時だし一緒に食堂行かないか?」


そうだね、一緒に行こうよ。とクリスも言った。時計を見るといつの間にか19時。

やっぱりなんていい人達なんだろう。俺はすぐに頷いた。



食堂は俺が思っていたより全然広かった。確か生徒は200人ちょいぐらいのはずだが裕に300人は入るだろう。

しかしあたりを見回して理由はすぐに分かった。女子がいるのだ。

(幸せ…)

そんなに分かりやすくしたつもりはないがクリスは嬉しそうだね、とあきれ気味。心を読まなくてもまだ俺の事をチャラいと思っているのが丸わかりだ。どうしたら誤解を解けるだろう。


「ここで食券を買って注文だ。金はカードなんだけど姫宮、カードは?」


カード?俺が首を傾げると、ほら、部屋の鍵と一緒に渡されただろう?と逆に首を傾げられた。

そういえば俺は鍵すら渡されていませんが。

なら今日は俺奢るよ、とクリスが微笑む。本当に申し訳ないです。いつかその分俺が奢るということで、俺はクリスに食券を買ってもらった。

誤字などありましたら是非ご連絡ください。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ