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お買い物に来ましたよ。2

王子はまぁモデルに間違えられても当然だとして(男だった時、しょっちゅうモデルにスカウトされてたらしいし)、俺はないだろ。王国でも「そのファッションセンスはなんですか?少し前まで現役女子高生だったんですよね。お洒落に敏感な年頃のはずのあなたがそのセンスというのはどういうわけです?」とか言われ続けた俺に限ってそんなはずはない。


「……今日の服はあたしが選んであげたのよ。」

「おお。そうだった。」


俺だって顔自体は悪くない、寧ろ結構良いほうだからモデルに間違えられることがあってもおかしくない、のか?


「まぁいいや。これからどうする?」

「良いんやね。」

「もう金ほとんど使っちゃったし、大したことできないよ。」


大分持ってきたんだけど、ゲームとかゲームとか本とか服とかに費やしてしまった。しょうがない。俺が人間から離れていた数年間に色々新作出てんだもん。ゲーム機新しいの出てさえいるんだもん。読んでた小説とか漫画はいつの間にか完結してるしさ。


「その様子だと服とか買ったんでしょ?なら本来の目的はもう達成したんだし何か食べに行かない?」


提案したのは瑞月さんだ。店開店直後から買い物をしていた俺達は朝飯すら食べていない。いまは昼時を過ぎたころだし、なかなかに良いタイミングかもしれない。


「そーね。あたしもお腹減ったし。姫、奢りなさい。」

「もうたっかい服何着か買ったでしょ。あれで服の件はチャラですぅ。」


こいつは俺にどれだけ払わせる気なんだと王子に少し殺意が湧く。しょうがないわねってなんだ。何故俺が駄々こねたみたいな扱いになっているんだ。


「そーいえばあそこの2階に美味しいパスタのお店ができたらしいよ。行ってみない?」


行きたい!パスタとか久しぶりかも。クリスはなんていい子なんだ。

反対意見も特になく、寧ろ賛成意見は多くあったので俺たちはそのパスタのお店に行きました。王子はフランス料理が良かったみたいだけど普通の学生はそんなとこ行けないからね。勿論無視でした。










美味しいというだけあってまぁまぁの味でした。でも俺たち(俺+良太+女子)にとって重要なのはパスタではないんだ。


「お待たせ致しました。デザートをお持ちしました。」


ウエイターの恰好がよく似合う男前ウエイターがケーキを持ってきた。瑞月さん達(瑞月さんが連れてきた女子は全員腐女子的な要素がある人でした)が「あれは受けね。」とか言ってるのなんて俺には聞こえていなかった。

ケーキだよケーキ!パスタなんて前菜だ。俺にとってのメインはケーキなんだから!


「チーズケーキだぁ!ちょーおいしそー。」


ショーケース?見た時から食べたかったんだよ。やったね。

わくわくしながら口に運ぶと、予想以上だった。美味しいよ。


「……幸せそうね。」


そう言う王子はなんだか冷めてる。甘い物嫌いとかでガトーショコラを頼んでいたはずだけど。


「おーじはどーしたの。それ甘かった?」

「そうじゃないわ。さっきからなんか変な視線を感じるのよね。あたしの美しさに見惚れてるって風でもなくて。」

「あー、気づいてたんだねー。」


俺はケーキを再び口に運び始めた。

うーん、幸せだ。もう一つくらい頼んでもいいかもしれない。


「はぁ?気づいてたのかってどういういことよ。」

「安心してよ、俺たちのこと見てるんじゃない。対象者はあそこの女の子だよ。」


少し離れた所で友人と思しき少女たちと話している少女を目立たないよう指さす。彼女は皇陵高校女子部普通科の生徒で、世界屈指の大企業のご令嬢だ。


疑問が解決した王子は自分のケーキを食べだした。俺に説明させといて何それ(いや俺が勝手に説明したわけだけど)。

でもわざわざ説明してあげたんだし、なんかご褒美あってもいいはず。


「もーらいっ。」

「あ。」


王子のガトーショコラを一口分奪い口にほおった。うん、これもちょっと苦くていいかも。


「姫様、行儀悪いんじゃない。」

「行儀って何それ?美味しくないでしょ。」


お上品に食べている王子のケーキがなくなるころには他の人たちは全員食べ終わっていた。

「八王子さんって食べ方まで上品なのねー。」って女の子たち言ってるけど騙されちゃだめだよ。それ女の子とか男の子引っかけるために使ってるのだから。猫かぶってるだけだから。王国じゃあがつがつ食ってんじゃん。(みんな王子のこと理解してたから上品な食べ方になんか引っかからないからね。)


「食べ終わったんならもう行こうぜ?もうここにいる必要ないだろ。」


甘いものをしかめっ面で見ていた一之瀬が言った。甘いもの嫌いって男の子って感じだよね。

女子はその提案が不満らしいよ。まだガールズトークしたいって。それなら長くなりそうだなぁ。

俺は席を立った。女の子の会話に混ざったりしたらなんかボロ出そうな気がするし、


「あれ姫ちゃんどこ行くん?」

「俺ちょっとトイレ。」


一仕事終える時間もありそうだし、ね。

誤字脱字などありましたら連絡お願いします。

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