はじめまして。
俺が風紀と起こした問題っていうのは屋上での喧嘩?らしい。あれは俺は悪くないと思うんだけど。むしろ被害者だろう。
「喧嘩は風紀の方から吹っかけてきたとしても、屋上でサボってた時点でどっちにしろ違反者でしょ。風紀委員長に目をつけられてないと良いんだけど。」
「お、お母さん……っ!」
違うやろ、と泰一(忘れてるかもしれないけど似非関西の名前だ。実をいうと俺もさっき一之瀬が呼んでいるのを聞くまで忘れてた)に突っ込まれるが、しょうがないだろう。クリスが俺には最早お母さん又はお姉ちゃんにしか見えない。
しかし話を聞く限り風紀委員長はどうやらかなりの力を持っているようだ。俺達がつくったようなものなのにこの学校の仕組みが全く分からないぞ。何故に?(この学校は≪王国≫の上位能力者が提案・協力してつくった。その上位にはもちろん俺も入ってる。)
「ふふーん、姫様はこの学校での常識が分かっていないようだね。しょうがない、俺が教えてあげ」
「だが断る。」
得意げな顔して(今時はコレをどや顔っていうんだっけ)で良太が話に入ってきた。イラッとするわー。
「うぅ、ひどい!俺が親切にも教えてあげようとしてるのに!」
「別に風紀委員に関わらないようにすればいいし、教えてもらわなくて結構ですぅ。」
ふんっ、と良太をあしらう。ぎゃーぎゃーうるさいなぁ。
「いやぁ、それは無理だと思うけどなぁ。」
一之瀬さん、爽やかな素敵笑顔で怖いこと言わないでください。
「俺の実力しってるでしょ。平気だもん。頑張って逃げてみせるもん。」
「もんとか……!萌えええぇぇぇぇ!」
「無理だと思うぜ。今そこに居るのにどうやって逃げるんだよ、姫宮。」
あはー、笑えない冗談はやめて欲しいなぁ。そんなにタイミング良く風紀委員長が来るとかどこの小説だよ。
「あ、ホントだー。相変わらずのイケメンっぷり。ほら姫様、あの背の高い黒髪が委員長だよ。」
クリスがのほほんと言う。
うぅぅぅ、まさかの現実で!?そんな恐ろしい(らしい)風紀委員長なんて今すぐ逃げ出したい!でももう遅いだろうし何よりイケメンっていうのが気になる!
勇気を振り絞って振り返って俺は絶望した。
「くそっ、イケメンで背高いとか滅びれば良いのに!てゆーか、黒髪なのになんで碧眼!?」
「ああ、委員長はロシアとのクォーターらしいで。」
「ざけんなあぁぁぁあ、俺は黒髪黒目が好きなんだ!」
分かってないよ、委員長は!黒髪ときたら黒目、黒目ときたら黒髪でしょ。なんで黒髪碧眼だ。金髪にして来い。きっと似合うだろうし。せっかくの萌えキャラなのにあともう一歩を!
「ほら、委員長さん。アレが噂の人じゃないのかい?」
「……俺がわざと視界に入れないようにしていたことを知っての嫌がらせか?相変わらず性格の悪い。」
じゃあ向こう行ってクダサイ!と叫ぶわけにもいかず、かといって目の前にいるから逃げるわけにもいかず、せめてもの抵抗に下を向いて委員長の存在を俺のなかから消した。今更遅いってわかってるけど。さっき目ぇ合ったし。
徐々に近づいてくる足音が怖ぃぃぃ。
「この金髪が転入生だろう。顔をあげろ。」
「近くで見ても美形、か……。美形爆発しろ。」
「いや、姫宮。お前だって美形だろ。自分も爆発させるのか?」
「良いんだよ俺はかっこいいっていうより綺麗系の美形なんだから。一之瀬だって委員長だってかっこいいじゃん男前じゃん。くそ俺だってそんな風になりたかったのに。」
裕樹もそうだがなんで俺の周りには長身のイケメンが多いんだ。神様からの嫌がらせかそうなのか。くそっ、今度文句言いつけてやる(しかも聞いてよ!女になる前の王子は身長185㎝以上のフェロモンムンムンなイケメンだよ!今だって俺より何㎝か低いだけだし。俺が日本人だからってこの身長差は何?他の初代の日本人でも背ぇ高い奴いるのに)。
「長身美形滅びろ。」
一之瀬に面と向かって言ってやったが、苦笑して爽やかに流された。そんなところもイケメンだ。心までイケメンとか、惚れてまうやろ(もう古いか)。
「良いじゃん姫だって175くらいあって美形なんだから。俺なんて……ううぅぅぅ。」
良太が呻いている。そんな良太をからかったり(主に俺)慰めたり(主にクリス)していた俺達は気づけなかった。このやり取りを眺めるのに飽きた委員長が俺達に苛立っていたことを。
委員長はおもむろに手のひらを俺達に向けると能力を放った。
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