平穏な学校生活
闘技会の2日後、通常授業が再開した。
無論どこのクラスも全員が出席して
「るわけないよねー。これでも高校卒業してんだし、今更授業とかダルすぎるわぁ」
一人呟いてみる。誰かに聞かれたらヤバいけど、近くに誰の気配もないし大丈夫だろう。
サボると言えばやっぱり屋上。漫画の読みすぎかもしれないが、定番は大事だ。
屋上へ繋がる扉には鍵がかかっていたが少し力を入れたら壊れた。わずかに錆びついて開けにくい扉を力を入れて開ける。
「うわ、眩しっ」
風が通っていて気持ちいいが、光が眩しい。きっとここが俺の定位置になるだろうから、何か対策をした方がいいだろう。
だるいから今はわずかにある影の上に寝転がる。あぁーなんか男子高生な青春してるっ!
一人ホクホクな気分でいざ寝ようとした時、
「姫宮響!転校早々無断欠席とは何事だ」
邪魔されました。誰だよ。
「もぉ誰?俺たった今から寝ようとしてたんだけど。みてわかるでしょ。邪魔しないで?」
首をかしげながら言ってみるが、俺男だ。どこぞのチワワじゃないし、可愛くないな。相手に悪い事した。吐き気がしていないだろうか。
相手を見るとぶるぶると震えている。え、そこまで気持ち悪かった?顔は良い方だから不細工がやるよりは全然良いと思うんだけど、ダメか。
「貴様ぁ……!噂の転校生がどんなものかと来てみればただの軽い男ではないか!試合では態度が紳士的だし、あれだけの能力者だから中身もきっと立派だろうと思っていた!」
震えていたのは怒り故のようだが、なんか喋りが古風で鬱陶しい。五月蝿い。勝手に妄想を押し付けられてる。
「あのさぁ、俺の質問に答えてもらってないんだけど、あんた誰?ぎゃーぎゃー煩いし。氷漬けにするよ?」
にっこりと笑いかえると相手は少し落ち着いたようだ。顔色が悪くなったとか、後ずさったとか、そんなことは無視する。
「……っ、授業や大会以外での能力の使用は基本的に認められていない。俺は風紀委員だ。すぐに授業に戻ってもらおう!」
ちょっと殺気出しただけで怯んでたのに強がってる。若いねぇ。でも授業なんて出る気は欠片もない。
「ここで重要視されるのは学力なんかじゃなく戦闘における制御力。あれだけ制御力を持ってる俺に授業の必要があると思うの?」
この委員は昨日の俺の試合を見ていたようだからわかるだろう。
相手をするのも面倒だしどこか違う所でサボろう。俺はそう決めて校舎内へ向かう。
「さっき俺は能力の使用は基本的に認められないと言ったな」
まだ言いたいことがあるようだ。しつこいけど俺は優しいから立ち止まってあげるよ。
立ち止まって相手の言葉を待つ。
「風紀委員は警告を無視された場合、能力の使用を認められている」
言って俺へ水の弾丸を放つ。が、遅い。一之瀬達、男は速度が云々言ってなかったっけ。準能力者を過大評価しすぎてたのか。。
「俺の事、なめてる?」
言って、一気に委員との距離を詰める。反応も遅い。身体自体があんまり性能良くないみたいだ。首を掴んで持ち上げる。
「能力が使えないことが君と俺との戦いにおいて、俺にとってのマイナス要素にあると思ったのかな」
問いかけるが答えない。見てみると息が苦しくて何も言えないようだ。このまま放すのもなんか癪だしどうしようかと思っていると、屋上の扉が開いた。見ると何人かの生徒がいる。腕章から察するに、風紀委員のようだ(察するにっていうかまんま書いてある)。
「助かったね。今回は見逃すけど、次はないよ?」
委員君の耳元で囁いて、手を放した。彼は地べたで咳き込んで、仲間たちが傍にやってきている。そんなことより今の俺、悪役みたいなこと言ったよね。きゃー!
今ならみんな彼に気を取られているだろうからと扉に向かう。と、やってきた子達の中の一番各上そうな子が邪魔をしてきた。
「転校早々から生徒に暴力ですか」
「……やだなぁ。向こうから吹っかけてきたんですよぉ。正当防衛ですー」
てきとーになんかを返して俺は屋上から立ち去った。うーん、まだ昼には早いけど食堂で寝てようかな。そうしよう。
誤字などありましたら連絡を宜しくお願いします
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