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危ないです。

俺達の勝利に観客は漫画みたいに口をあんぐりと開けて呆然としている。転校生たちがいきなりS戦で勝ったからだろう。

一之瀬達を見つけて俺は手を振るが無反応だ。無反応というか驚きすぎて気づいてない感じ?そんなに変なことやっただろうか。

とりあえず一之瀬達の元に向かう。


「王子、試合中何か変なことやった?」


「やるわけないでしょ失礼ね。でもこの驚き方は少しおかしいわ。転校生がいきなり勝ったとはいえ。」


やっぱちょっとおかしいよね。まぁ本人たちに聞けばいいか。今はそれよりも気になることあるし。

誰かが俺達睨んでるんだよねぇ、ほかの人たちとは明らかに違う感じで。俺なのか王子なのか、それともどっちもなのかは分からないけど。なんだろう。

気づいているだろうに王子も視線の事には何も触れず、俺達は一之瀬達のもとにすんなり行けた。絡まれたりするかとも思ったけど、逆にみなさん道を作ってくれました。謎だ。


「ねぇ姫宮君八王子さん、あなた達何者なの。」


いや何者って言われても、ただの超能力者ですが。

まぁそう答えるわけにはいかないので俺達は瑞月さんの問いにすぐに返答できなかった。


「何者ってただの準能力者な転校生だよ?」


とりあえずへらっと笑って返してみたが、怪しまれてるのが丸分かりだよ!そんな変な事したっけ記憶はないのに!


「なんでそんな事聞くのかしら、瑞月さん?」


頼りになるよね王子は。見た目超絶美少女なのに中身が男前すぎるよ。何怪しまれるような事してんだてめぇみたいなオーラが出てるけど総無視だよっ。


「なんでって、お前らの能力がおかしかったからだろう。」


瑞月さんの代わりに一之瀬が答えた。おかしかったってどの辺りが?能力だって1つしか使ってないのに。


「おかしいってどこが?」


俺が聞くとみんながあり得ないという顔をした。えぇなんで。

泰一がはぁ、とため息をつく。ムカつくな。


「あんなぁ姫ちゃん達、男は速度、女は硬度って知っとる?」


何それ。


「普通準能力者は硬度に優れる女は防御が得意で、速度に優れる男は攻撃が得意なんや。まぁ咄嗟の防御とか一撃必殺とかやったらまた話は変わるんやけど。」


「へぇ。」


「……知らんかったんか。」


知らないよ、そりゃあ。準能力者って奥が深いね。きちんと知っとかないと墓穴掘りそうだなぁ。後で裕樹に色々説明させよ。


「で、どうして俺達はおかしかったの?」


「男同士で戦う時はお互い攻撃の潰し合いになるし、女同士の時はどうやって攻撃を当てるかの戦いになるのが普通だよ。圧倒的な力の差が無ければね。でも姫宮君は赤獅子の攻撃をしばらく防げるような強い高度の防壁を一瞬で創ってたし、八王子さんはセイレンの攻撃を事前に潰してたでしょ。」


そういえばそんな事した気もする。


「しかも赤獅子は力だけだったら上位5人には入るし、セイレンも女子の中じゃかなり早い方だよ。」


まじかよ。まさかこんな事で目立ってしまうなんて。予想外だ。どうしよう。


「特殊だから私達。しょうがないわ少し常識から外れてても。」


まぁそうだけどさ。もう少しなんかなかったかな王子。俺は頭悪いから思いつかないけど。


「……俺はなんて言えばいいかな。」


正直に言ったらみんなにため息をつかれました。しょうがないじゃん!だってわからないんだから。















彼は思わず呟いた。


「そんな筈はない。」


彼はワイワイと騒いでいる姫宮達の方を見る。

確かにあの転校生達の力はおかしかった。けれども、


(≪あの方≫の筈がない。あの方はもっと落ち着いていた。もっと高貴だった。もっと哀しげにお美しかった。もっと……。)


自分の中で美化されているだろうことは分かっている。もう何年前の事になるだろう。しかし第一、≪あの方≫は黒髪だし、もっと歳をとっている筈だ。アレがなんてあり得ない。

分かっているのに何故胸がざわついたままなのだろう。

まぁいい。アレはわずかしか違わなかっただろう自分の視線に気づいていた。ただの準能力者ではないのは確かだ。準能力者かも怪しい。探ってみるのも悪くない。

彼はそう考えると踵をかえした。


(お前の正体を暴いてやろう。覚悟しろ、姫宮響。)


必ずいつか貴方に辿り着いてみせますよ 我が≪姫≫君













結局闘技会は半分も終わらず、明日に持越しとなった。

俺は今王子達と別れて独り部屋にいる。

ふと窓の外に目をやる。今日は新月なのか。


(嗚呼、世界が変わり始める。)


もう今までのようにはいかなくなる。色んな人がなんらかの影響を受けるだろう。分かってるんだ。

俺だってもう居られなくなる。


でも、俺は







(そういえばさっきの視線はどこか懐かしかった。)

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