「舞姫」
「ねえ」
「なに」
「今日は文学先に言うね」
「珍しい」
「森鴎外」
「お、来た」
「タイトル分かる?」
「舞姫」
「正解」
「有名すぎる」
「恋の話だよね」
「うん」
「でも幸せな話じゃない」
「むしろ逆」
「恋より現実を選ぶ話」
「重いね」
「文学だから」
「便利な言葉だなそれ」
「じゃあ聞く」
「また質問?」
「うん」
「何」
「もしさ」
「うん」
「恋と将来どっちか選べって言われたらどうする?」
「急にリアル」
「舞姫だから」
「うーん」
「悩む?」
「少し」
「そんなに即答できない?」
「だってさ」
「うん」
「恋だけで生きるの難しいじゃん」
「現実派だね」
「そっちは?」
「私?」
「うん」
「恋」
「早い」
「悩むまでもない」
「どうして」
「将来ってさ」
「うん」
「好きな人いなかったら意味なくない?」
「それ危ない考え方」
「そうかな」
「舞姫はそれで悲劇になるんだよ」
「知ってる」
「じゃあなんで」
「簡単」
「またそれ」
「私は舞姫の主人公になりたくないから」
「どういう意味」
「後悔する恋の方」
「……」
「君は?」
「何」
「もしさ」
「うん」
「私と離れた方がいい未来があるって言われたら」
「……」
「どうする?」
「難しい質問するなあ」
「文学だから」
「それ万能すぎる」
「答えないの?」
「答えるよ」
「うん」
「離れない」
「え」
「たぶん」
「どうして」
「未来ってさ」
「うん」
「後からしか分からないじゃん」
「確かに」
「だから今選ぶなら」
「うん」
「後悔しそうな方は選ばない」
「それって」
「うん」
「つまり」
「うん」
「君を選ぶ」
「……」
「沈黙長い」
「ちょっと待って」
「なに」
「それ」
「うん」
「文学よりずっと直接的」




