「三四郎」
「さっきさ」
「うん」
「大学の前通ったとき思い出したんだけど」
「なに」
「学生の小説」
「ヒントある?」
「もちろん」
「熊本」
「うん」
「東京」
「うん」
「しかも」
「うん」
「夏目漱石」
「……」
「分かった?」
「三四郎?」
「正解」
「やっぱり」
「読んだことある?」
「少し」
「田舎から東京に出てくる話だよね」
「そう」
「ねえ」
「なに」
「初めての場所ってさ」
「うん」
「緊張しない?」
「する」
「なんで?」
「全部知らない」
「確かに」
「でも」
「うん」
「少し面白い」
「なるほど」
「三四郎も」
「うん」
「最初は戸惑う」
「そうだね」
「でも」
「うん」
「だんだん慣れる」
「ねえ」
「なに」
「慣れるってさ」
「うん」
「いいこと?」
「どうだろう」
「うーん」
「うん」
「楽にはなる」
「でも?」
「でも」
「うん」
「少し」
「うん」
「新鮮さなくなる」
「それ分かる」
「そっちは?」
「私は」
「うん」
「少し好き」
「なにが?」
「慣れる」
「なんで?」
「落ち着く」
「なるほど」
「ねえ」
「なに」
「この帰り道」
「うん」
「最初より」
「うん」
「慣れた?」
「……」
「沈黙長い」
「考えてる」
「うん」
「少し」
「どこが?」
「歩く速さ」
「それはある」
「あと」
「うん」
「話すタイミング」
「……」
「それ」
「うん」
「三四郎っぽい」
「なんで」
「最初より」
「うん」
「少し」
「うん」
「分かる」




