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「カラマーゾフの兄弟」
「ねえ」
「なに」
「この前さ、ロシアの小説を少し読み直してたんだけど」
「珍しいね」
「なんで」
「君って重い本あんまり読まなそう」
「失礼だな」
「それで?」
「すごく長い小説なんだけどさ」
「うん」
「兄弟の話」
「兄弟?」
「しかも三人」
「うーん」
「ヒントもう一個」
「どうぞ」
「めちゃくちゃ有名」
「ロシア文学?」
「そう」
「……」
「分かった?」
「カラマーゾフの兄弟?」
「正解」
「よかった」
「読んだことある?」
「途中まで」
「やっぱり」
「長いんだよあれ」
「うん」
「しかも哲学っぽい」
「そうそう」
「ねえ」
「なに」
「兄弟って不思議じゃない?」
「どういう意味?」
「同じ家で育つのに」
「うん」
「全然違う人間になる」
「確かに」
「性格も」
「うん」
「考え方も」
「うん」
「全然違う」
「でもさ」
「うん」
「完全には切れない」
「家族だから?」
「多分ね」
「ねえ」
「なに」
「もしさ」
「うん」
「全然違う人と」
「うん」
「ずっと話してたら」
「うん」
「それってどういう関係になるんだろう」
「難しいな」
「友達?」
「それだけじゃない気もする」
「……」
「どうしたの」
「ちょっと思った」
「なに」
「この帰り道」
「うん」
「結構長いよね」
「確かに」
「でもさ」
「うん」
「まだよく分からない」
「なにが?」
「君」
「簡単」
「またそれ?」
「うん」
「まだ途中」




