表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/49

「ごんぎつね」

「今日はちょっと昔の日本の話にしようと思うんだけど、たぶん君も一度は聞いたことあると思うんだよね。学校の教科書とかにも載ってたやつ」


「教科書?それならだいたい読んでる気がするけど、どのへんの時代の話?」


「そんなに古くはないけど、日本の児童文学の中ではかなり有名なやつ。たぶんタイトル言ったらすぐ分かると思う」


「じゃあ当てていい?」


「どうぞ」


「ごんぎつね?」


「正解。やっぱり知ってるよね」


「うん、覚えてるよ。子供の頃読んだとき結構衝撃だったやつ。いたずらしてたキツネが最後に…撃たれる話だよね」


「そう。それそれ」


「なんかさ、子供の頃はただ悲しい話だなって思ってたけど、大人になってから考えるともっと複雑な話に見えるんだよね」


「どういうところ?」


「ごんってさ、最初は普通に悪いことしてるじゃん。兵十のうなぎ盗んだり、ちょっといたずらしすぎな感じ」


「うん」


「でも途中からさ、兵十のお母さんが亡くなったって知って、急に態度変わるじゃん」


「そうだね。毎日こっそり栗とか魚とか置いていく」


「そう。あれってさ、償いなんだと思うんだよね」


「うん」


「でも問題は」


「うん」


「それが全然伝わらないこと」


「確かに」


「兵十はずっと誰かがいたずらしてると思ってるし、むしろ怒ってる」


「だから最後の場面が余計につらいんだよね」


「そう。やっと気づいた瞬間に終わる」


「ねえ」


「なに」


「この話ってさ」


「うん」


「誤解の話だと思わない?」


「誤解?」


「うん。誰かが何かしても、それがちゃんと伝わるとは限らないっていう」


「なるほど」


「だからちょっと怖い話でもあると思う」


「なんか分かる気がする」


「じゃあ聞く」


「なに?」


「君ってさ、誤解されたことある?」


「あるよ、結構」


「どんな?」


「冷たい人だと思われてたこと」


「え、ほんと?」


「うん。昔からあんまり自分から話すタイプじゃなかったからさ、近寄りがたいって思われてたらしい」


「意外だな」


「なんで?」


「こうやって話してると普通に優しいから」


「それは…」


「うん?」


「君だからじゃない?」


「……」


「どうしたの」


「ちょっと嬉しかった」


「そんなに?」


「うん。だってさ」


「うん」


「そういうふうに言われたこと、あんまりないから」


「でも本当だと思うよ」


「なんでそう思うの?」


「簡単」


「またそれ?」


「君、ちゃんと考えて話してるから」


「それは普通じゃない?」


「意外と普通じゃない」


「そう?」


「うん。適当に返す人の方が多い」


「なるほどね」


「ねえ」


「なに」


「もしさ」


「うん」


「私がごんだったらどうする?」


「どういう意味?」


「誰にも気づかれないところで、こっそり何かしてたら」


「うーん」


「うん」


「たぶん気づくと思う」


「ほんと?」


「うん」


「なんで?」


「君がやることなら」


「うん」


「悪い意味じゃない気がするから」


「……」


「どうしたの」


「それさ」


「うん」


「結構すごいこと言ってる」


「そう?」


「うん。だって」


「うん」


「信じてるってことじゃん」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ