「1984」
「今日は海外文学。ちょっと重いけど有名なやつ」
「当てていい?」
「どうぞ」
「1984?」
「正解。ジョージ・オーウェル」
「監視社会の話だよね」
「そう。全部見られてる世界」
「怖いな」
「ねえ」
「なに」
「もしさ」
「うん」
「この会話全部見られてたらどうする?」
「急に怖い話」
「文学だから」
「またそれ」
「答えて」
「うーん」
「うん」
「最初はちょっと嫌」
「なんで?」
「全部知られる感じする」
「確かに」
「でもさ」
「うん」
「別に悪いこと話してない」
「それはそう」
「そっちは?」
「私は」
「うん」
「少し恥ずかしい」
「なんで?」
「この会話」
「うん」
「ちょっと特別だから」
「なるほど」
「ねえ」
「なに」
「もし誰かが」
「うん」
「この会話読んだらどう思うかな」
「難しいな」
「うん」
「変な二人って思うかも」
「確かに」
「文学ばっかりだし」
「うん」
「でもさ」
「うん」
「ちょっと羨ましいかも」
「どうして?」
「こういう会話」
「うん」
「できる人って少ない気がする」
「……」
「どうしたの」
「ちょっと嬉しい」
「なんで?」
「だって」
「うん」
「この会話」
「うん」
「二人だけのものって思ってたから」
「なるほど」
「ねえ」
「なに」
「もしさ」
「うん」
「全部見られてても」
「うん」
「この会話続ける?」
「簡単」
「またそれ?」
「うん」
「続ける」
「なんで?」
「だって」
「うん」
「君と話すの」
「うん」
「結構好きだから」




