「アルジャーノンに花束を」
「今日は海外文学。ちょっと有名なやつ」
「当てていい?」
「どうぞ」
「アルジャーノンに花束を?」
「正解。知ってる?」
「少しだけ。頭が良くなる話だよね」
「そう。知能が上がっていく」
「でも最後は戻るんだよね」
「うん」
「切ない話」
「ねえ」
「なに」
「もしさ」
「うん」
「君が急にすごく変わったらどうする?」
「また変身系?」
「似てるけど違う」
「どう違うの?」
「良い方向に変わる」
「なるほど」
「例えば?」
「すごく賢くなるとか」
「うん」
「遠くに行くとか」
「それは寂しいな」
「正直だね」
「でもさ」
「うん」
「嬉しくもあると思う」
「どうして?」
「君が幸せそうなら」
「優しいね」
「そっちは?」
「私?」
「うん」
「もし君が変わっても」
「うん」
「たぶん話しかける」
「なんで?」
「簡単」
「またそれ?」
「君だから」
「……」
「どうしたの」
「今の」
「うん」
「結構強い言葉だね」
「そう?」
「うん」
「ねえ」
「なに」
「アルジャーノンってさ」
「うん」
「最後どうなるか知ってる?」
「知ってる」
「戻るんだよね」
「うん」
「でもさ」
「うん」
「全部消えるわけじゃない」
「どういう意味?」
「覚えてるものもある」
「なるほど」
「だからさ」
「うん」
「もしこの会話」
「うん」
「いつか終わっても」
「うん」
「少しは残ると思う」
「……」
「どうしたの」
「ちょっと安心した」
「なんで?」
「全部消えるのは嫌だから」
「それ分かる」
「ねえ」
「なに」
「もしさ」
「うん」
「全部忘れても」
「うん」
「また話す?」
「簡単」
「またそれ?」
「うん」
「また話す」
「どうして?」
「だって」
「うん」
「君と話すの」
「うん」
「結構好きだから」




