「老人と海」
「今日は海外文学。ヘミングウェイ知ってる?」
「名前は知ってる。有名な人だよね」
「うん。タイトル当ててみて」
「老人と海?」
「正解。魚と戦い続ける話」
「ずっと海で格闘するやつだ」
「そう。めちゃくちゃシンプルだけど深い」
「孤独の話でもあるよね」
「うん」
「ねえ」
「なに」
「人ってさ」
「うん」
「一人で頑張るものだと思う?」
「難しい質問だな」
「文学だから」
「最近そればっかりだね」
「答えて」
「うーん」
「うん」
「一人でも頑張れるとは思う」
「でも?」
「でも誰かいると少し楽になる」
「なるほど」
「そっちは?」
「私は逆」
「逆?」
「基本は一人」
「うん」
「でもたまに誰か欲しくなる」
「それ分かる」
「老人と海ってさ」
「うん」
「ずっと一人で戦う話だけど」
「うん」
「本当は誰かと話したい感じする」
「確かに」
「だからさ」
「うん」
「この会話」
「うん」
「少し海みたいだなって思った」
「海?」
「広いけど」
「うん」
「二人だけ」
「なるほど」
「ねえ」
「なに」
「もしさ」
「うん」
「この会話が終わったら」
「うん」
「また一人になる?」
「たぶんね」
「寂しい?」
「少し」
「正直だね」
「でもさ」
「うん」
「また海に出る感じ」
「どういう意味?」
「また話す」
「なるほど」
「そっちは?」
「私は」
「うん」
「この海」
「うん」
「結構好き」
「ほんと?」
「うん」
「なんで?」
「静かだから」
「それ文学っぽい」
「君の影響」
「責任重大だ」
「ねえ」
「なに」
「もしさ」
「うん」
「海で迷ったら」
「うん」
「どうする?」
「簡単」
「またそれ?」
「君探す」
「……」
「どうしたの」
「今の」
「うん」
「ちょっとずるい」
「なんで?」
「そんなこと言われたら」
「うん」
「この海」
「うん」
「もう少し漂いたくなる」




