「月」
「ねえ」
「なに」
「まだ終わりじゃないの?」
「終わりだと思った?」
「さっき最後って言ったから」
「文学は最後だった」
「じゃあ会話は?」
「まだ少し続く」
「安心した」
「そんなに終わってほしくなかった?」
「うん」
「どうして?」
「ここまで来るとさ」
「うん」
「急に終わるの寂しい」
「確かに」
「ねえ」
「なに」
「最初の話覚えてる?」
「もちろん」
「月の話」
「そう」
「なんであの話したの?」
「さっき言ったじゃん」
「君に話しかけたかったから?」
「うん」
「でもさ」
「うん」
「本当はもう一つ理由あった」
「え?」
「聞きたい?」
「もちろん」
「君が気づくかなって思った」
「何に?」
「月の言葉」
「……」
「どうしたの」
「今思った」
「なに?」
「私あの時」
「うん」
「ちゃんと答えてなかった」
「そう?」
「うん」
「だから今言う」
「なにを?」
「答え」
「うん」
「月がきれいですねって言われたら」
「うん」
「普通どう返すか知ってる?」
「有名なのあるよね」
「そう」
「でも私の答えは違う」
「違う?」
「うん」
「なんて言うの?」
「簡単」
「またそれ」
「ずっと思ってたこと」
「うん」
「最初の月のときから」
「うん」
「君と話す時間」
「うん」
「結構好き」
「……」
「沈黙長い」
「ちょっと待って」
「なに」
「それ」
「うん」
「文学よりずっと直接的」
「そうかも」
「ねえ」
「なに」
「じゃあさ」
「うん」
「私もちゃんと言う」
「うん」
「この会話」
「うん」
「終わってほしくない」
「……」
「どうしたの」
「ちょっと嬉しい」
「ほんと?」
「うん」
「じゃあ」
「うん」
「もう少しだけ」
「うん」
「続けよう」




