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「夢十夜」
「今日は最後の文学」
「最後って言い方すると急に寂しいね」
「でも一番最初に出た人」
「夏目漱石?」
「うん」
「じゃあタイトル分かる」
「どうぞ」
「夢十夜?」
「正解。夢の話」
「短い夢が十個続くやつだよね」
「そう」
「不思議な話ばっかり」
「うん」
「ねえ」
「なに」
「この会話さ」
「うん」
「夢だったらどう思う?」
「夢?」
「うん」
「目が覚めたら終わる」
「それ寂しいな」
「でも夢ってさ」
「うん」
「短くても強く残る」
「確かに」
「じゃあ今日の質問」
「最後の質問?」
「たぶん」
「どうぞ」
「もし明日」
「うん」
「この会話を全部忘れたら」
「うん」
「どうする?」
「難しいな」
「うん」
「でもたぶん」
「うん」
「また話す」
「なんで?」
「同じこと起きる気がする」
「同じこと?」
「月を見て」
「うん」
「誰かに言いたくなる」
「……」
「どうしたの」
「ちょっと思った」
「なに?」
「それ」
「うん」
「最初と同じ」
「そうだね」
「ねえ」
「なに」
「今月見える?」
「うん」
「きれい?」
「うん」
「すごく」
「じゃあさ」
「うん」
「最後に一つだけ」
「なに?」
「月がきれいですね」
「……」
「沈黙長い」
「答え分かるでしょ」
「うん」
「なんて言うの?」
「簡単」
「またそれ」
「うん」
「私もそう思う」




