「グッド・バイ」
「今日は太宰治。でも今までと少し違う作品」
「太宰多いね。当てていい?」
「どうぞ」
「グッド・バイ?」
「正解。終わりの話」
「タイトルからして最後っぽいね」
「うん。別れの準備をする話」
「恋にもありそう」
「そう思った」
「ねえ」
「なに」
「別れってさ」
「うん」
「準備できるものだと思う?」
「難しい質問だな」
「文学だから」
「最近そればっかりだね」
「答えて」
「うーん」
「うん」
「できないと思う」
「どうして?」
「急に来るから」
「なるほど」
「そっちは?」
「私は少しできると思う」
「意外」
「なんで?」
「だってさ」
「うん」
「終わりそうな空気ってあるでしょ」
「……」
「どうしたの」
「ちょっと今それ感じた」
「ほんと?」
「うん」
「この会話?」
「うん」
「終わりそう?」
「まだじゃない?」
「でも近い気はする」
「寂しいね」
「うん」
「でもさ」
「うん」
「悪い終わりじゃない気がする」
「どうして?」
「最初覚えてる?」
「月の話」
「そう」
「そこからずっと文学」
「変な会話だよね」
「でもさ」
「うん」
「普通の会話より覚えてる」
「確かに」
「ねえ」
「なに」
「もし最後の日が来たら」
「うん」
「何て言う?」
「難しいな」
「考えて」
「うーん」
「うん」
「ありがとう」
「やっぱりそれ?」
「うん」
「なんで?」
「この時間」
「うん」
「結構好きだったから」
「……」
「どうしたの」
「私も同じこと言うと思った」
「ほんと?」
「うん」
「じゃあさ」
「なに」
「最後の質問いい?」
「どうぞ」
「もしこの会話が終わったら」
「うん」
「君は何覚えてると思う?」
「簡単」
「またそれ」
「最初」
「月?」
「うん」
「それだけ?」
「それだけで十分」
「なんで?」
「だってさ」
「うん」
「そこから全部始まった」




