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「雪国」
「今日は川端康成。多分タイトル聞いたことある」
「あるよ。雪国でしょ」
「正解。冒頭が有名なやつ」
「国境の長いトンネルを抜けると雪国だった」
「そうそれ」
「雰囲気きれいな小説だよね」
「うん。でも少し寂しい」
「恋の話だしね」
「ねえ」
「なに」
「遠い恋ってどう思う?」
「遠いって?」
「距離とか」
「うん」
「時間とか」
「なるほど」
「続くと思う?」
「難しいな」
「正直に」
「うーん」
「うん」
「続く恋もあると思う」
「理想派だね」
「そっちは?」
「私は」
「うん」
「少し寂しい恋になると思う」
「なんで?」
「触れられない時間が長いから」
「確かに」
「でもさ」
「うん」
「遠い恋って」
「うん」
「景色がきれいになる気がする」
「景色?」
「会えない時間」
「うん」
「想像で埋まる」
「文学っぽいね」
「君の影響」
「責任重大だ」
「ねえ」
「なに」
「もしさ」
「うん」
「この会話が雪国だったら」
「うん」
「トンネルはどこだと思う?」
「難しいな」
「考えて」
「うーん」
「うん」
「最初の月の話」
「月?」
「うん」
「そこ抜けた瞬間」
「……」
「どうしたの」
「ちょっと思った」
「なに?」
「じゃあさ」
「うん」
「今は雪国?」
「どうだろう」
「きれい?」
「うん」
「少し」
「寂しい?」
「それも少し」
「それ雪国だね」
「そうかも」




