「杜子春」
「今日は芥川龍之介。でもちょっと変わった作品」
「また芥川?タイトル当てていい?」
「どうぞ」
「うーん……杜子春?」
「正解。金持ちになったり貧乏になったりする話」
「最後は仙人になりかけるやつだよね」
「そう。でも結局やめる」
「人間でいる方を選ぶ」
「うん」
「ねえ」
「なに」
「恋ってさ」
「うん」
「人を変えると思う?」
「思う」
「どう変わる?」
「優しくなる」
「それいい変化だね」
「でも弱くもなる」
「それは分かる」
「じゃあ今日の質問」
「来た」
「もしさ」
「うん」
「君がすごい成功する未来があって」
「うん」
「でもその代わり私と会えなくなるとしたら?」
「急に重いな」
「杜子春だから」
「その理由便利すぎる」
「答えて」
「うーん」
「うん」
「昔なら成功選んだと思う」
「昔?」
「うん」
「今は?」
「分からない」
「どうして?」
「成功ってさ」
「うん」
「結局一人だと意味ない気がする」
「なるほど」
「そっちは?」
「私?」
「うん」
「私は逆かも」
「逆?」
「君が成功するなら」
「うん」
「会えなくなっても応援する」
「それ優しすぎない?」
「そうかな」
「寂しくない?」
「寂しいよ」
「じゃあなんで」
「だってさ」
「うん」
「好きな人が幸せになるなら」
「うん」
「それも悪くない」
「……」
「どうしたの」
「ちょっと考えてた」
「なにを?」
「杜子春の最後」
「うん」
「結局人間でいる方選ぶでしょ」
「そう」
「なんでだと思う?」
「うーん」
「うん」
「人と繋がっていたかったからじゃない?」
「正解に近いと思う」
「じゃあさ」
「うん」
「もし君が仙人になったら」
「うん」
「私どうすると思う?」
「分からない」
「簡単」
「またそれ」
「引き戻す」
「どうやって?」
「こうやって」
「なにそれ」
「話しかける」
「それだけ?」
「うん」
「なんで?」
「だってさ」
「うん」
「君は結局」
「うん」
「人間でいたい人だから」




