「斜陽」
「今日は太宰治。今までの流れ的にそろそろ来ると思ってたでしょ」
「来たね。タイトル当てていい?」
「どうぞ」
「斜陽」
「正解。だんだん沈んでいく世界の話」
「なんか不穏だな」
「でも恋の話でもある」
「確かに」
「ねえ」
「なに」
「斜陽ってどういう意味か知ってる?」
「沈んでいく太陽でしょ」
「そう。終わりに向かう光」
「ロマンチックだけど寂しいね」
「うん」
「じゃあ今日の質問来る?」
「来る」
「どうぞ」
「恋ってさ、いつか終わると思う?」
「急に重いな」
「文学だから」
「最近その言葉万能すぎるよ」
「でも答えて」
「うーん」
「うん」
「終わる恋もあると思う」
「全部じゃない?」
「全部とは思わない」
「どうして?」
「終わらない恋もある気がする」
「理想主義だね」
「そうかも」
「君は?」
「私?」
「うん」
「終わると思う」
「え」
「でもね」
「うん」
「終わるから意味がある気もする」
「どういうこと?」
「ずっと続くものって、途中で慣れるでしょ」
「まあ」
「でも終わるかもしれないって思うと」
「うん」
「今の時間ちょっと大事になる」
「なるほど」
「斜陽みたいに」
「沈む前の光が一番きれい」
「そう」
「……」
「どうしたの」
「ちょっと考えてた」
「何を?」
「この会話」
「うん」
「いつ終わるのかなって」
「縁起悪いこと言うね」
「でもさ」
「うん」
「もし終わるなら」
「うん」
「どんな終わり方がいい?」
「難しい質問」
「答えて」
「たぶん」
「うん」
「普通に終わる」
「普通?」
「うん」
「またねって言って」
「うん」
「そのまま会わなくなる」
「それ寂しくない?」
「少し」
「じゃあ君は?」
「私はね」
「うん」
「終わるならちゃんと言う」
「何を?」
「ありがとうって」
「前も言ってたね」
「覚えてた?」
「うん」
「嬉しい」
「ねえ」
「なに」
「もしこの会話が斜陽なら」
「うん」
「今どのへんだと思う?」
「難しいな」
「沈みかけ?」
「いや」
「うん?」
「まだ夕方」
「夕方?」
「うん」
「まだ少し光残ってる」
「それ希望ある言い方だね」
「だって」
「うん」
「もう少し話したいから」




