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ep27:列強の思惑/青空御前会議/国は違えども.

ーーー文弘厩克彦 観 蛇眼陽暦107年睦の月より芽の月ーーー


 蛇眼陽暦107年陸の月。帝国軍による帝都奪還が果たされた。レジスタンスにより帝都地下で保護されていた先帝盤条帝陛下は帝国軍と合流。


 レジスタンスを通じて占領地の臣民へ自身の健在と帝都にいる事を伝え続けていた。早速、翔円帝陛下の帝都帰還、盤条帝の復位、帝都の再建などのプロジェクトが同時進行的に動き出す。


 現、円国指導部の方針を聞くに盤条帝の復位で恩赦。翔円帝の再即位で恩赦と流血を減らし早期の社会状態回復を目指している。


 退位したり即位したりでややこしいと思うかも知れないが、正統に即位した父が復位し、それを継承する形で異母兄が再即位する事が大事らしい。


 盤条帝復位の儀式が厳かに行われた後、慰撫する目的で先の帝都奪還戦に参加した者達には交代で1人3日の有給休暇が与えられた。和多志も親衛隊に混ざって野球をしたり、六門君が鹵獲品の馬で文弘厩記念と命名された野良レースで優勝したりと羽目を外した日々を過ごす。


 そんな中、過城季節さんとそれに同調する鉄冑蓮が降伏を申し出た北方人民連邦の党幹部や連邦を引き入れに関わった円国人の政治家官僚財界人らを殺害。


「恩赦によって有耶無耶にされる事が許せなかった」と関わった将校らと出頭した。

彼女、季節さんの姉である贈礼さんと以前語り合った時のことを思い出す。


「私の妹などは故郷や同胞を蝕み危険に晒し危害を加えた者が報われるのは納得しないでしょう」


 そんな中、東北諸郡の東部戦線での戦いや交渉で連邦ともパイプがある橋科殿は逃げ込んできた親連邦円国人や連邦関係者を保護し引渡しを拒否。


 柾彦卿が説得に向かうも交渉は拗れ武力衝突が起きてしまう。


 一方で帝国軍は残りの国土を奪還する為に動き出すがあまり捗らなかった。遠智谷少将を東北諸郡の入り口である白河城塞に入れて帝都を守りつつ、東北諸郡奪還に軍を進めたが現地住民や国土への被害。なまじ、現地の反乱軍や連邦軍と交流が形成された為に事情が複雑化し迂闊に手出しができない。


「下手に力攻めして犠牲を増やすよりはいい」「雌雄が決した1人でも無事に故郷に帰してやらなければならない」と軍としては緩やかに攻めていき、「出来れば早く取り戻したいけど最終的に和平交渉で取り戻せばいい」との結論に達した。


 そんな折、外交で活躍してくれていたモイタリア姫が急遽帰国。衝撃的な発言を耳にすることになる。

「和平で国土は戻ってきません。ポンド・ドールらは円国への楔として占領地を北方人民連邦に渡すつもりです」


 耳を疑う。西洋諸国の外交は複雑怪奇。


 蛇眼陽暦107年如の月。


 列強諸国は発展著しい北方人民連邦を抑える為に大円帝国を支援する。一方で大円帝国が勝って伸びそうになると占領地を割譲する条件で和平を結ばせて大円帝国への楔とするつもりだ。友好や他の理由もあるが主はコレである。


 未だ各種機能が回復していない帝都の宮廷にに和多志を含めた重臣達が集まる。


 吹き飛んで天井の無い会議室、かき集めて来たバラバラの椅子や机、風吹き荒び寒いので灯油缶ストーブ。それに紐を引いたら下の薬品部分が発熱し上の飲料部分を温めてくれる寒冷地用糧食の缶コーヒー。コレが和多志の実家、コレが御前会議。


 円国領最北端の占領地を奪還し、国内の一部地域に残留残当が居座っている占領地は奪還済みでありもはや内政問題であると強弁する。


 青空午前会議で検討加速に加速を重ねて出した結論であった。


「勅 文弘厩克彦汝円国最北端の国土の奪還を命じる。


勅 文弘厩克彦の最北端到達奪還を帝国を上げて輔よ」

 そしてその役割が和多志と和多志の部隊に任される。


 笄を刺して、大フードのミリタリーポンチョを羽織り、紅を塗る。最悪の場合、円国を異界へ飛ばしても構わないと御前会議で意思統一した。


 多少荒れていたのを応急処置した裏純田の離宮からでると儀仗兵がリムジンを停めて出迎えてくれた。


「殿下此方へ。我らが白河城塞までお送りします」

「和多志の兵士や愛馬もか?」

「もちろんでございます」


 リムジンに乗り運ばれた先には陸上戦艦が控えていた。リムジンから降りずにリムジンごと陸上戦艦に乗り込む。


「可能な限り我らで歩数を稼ぎます殿下と麾下の皆様はごゆるりと」


 戦艦の中でリムジンから降りて、デッキに登る。戦艦の周囲に一隊、また一隊と守るように陣形を形成して部隊が合流していく。


 壮観であった。大地が動いて行くような光景。しばらく眺めていた後、船内の親衛隊と合流する。

皆も外の光景に興奮している様子だったが気持ちいつもよりも静か、多分皆も気づいているこの征旅がこの戦争で最後の戦いであり冒険であると。


 摂政神社。

 かつて狐の妖でありながら美貌と術によって皇后まで上り詰めた魂前皇后を祀っている神社である。御神体は彼女が転生したとされる石とのこと。

 必勝祈願の為の参拝はここにしようと決める。


 陸上戦艦から降りて神社に足を踏み入れる。一度挨拶に訪れたいと思っていた。皇族になってから予定ばかりでついぞ今になってしまった。


 和多志に続き親衛隊の隊士達も境内に足を踏み入れ、2礼2拍手1礼。

 今は亡き魂前皇后陛下。アナタの生前は功罪が多くありました。ですが奇しくもその因果が和多志には良く働き、アナタの子孫も多く和多志に尽くしてくれます。そして大円帝国を取り戻す助けになってくれていました。


 和多志の神霊として稲妻に通じますが豊穣神としての神格もあり、稲荷神の御使である狐とも通じる所もあるとか。風がないが葉が擦れる音は響いている我らはそれを背に北へ向かった。


 蛇眼陽暦107年如の月、白河城塞。守りの名将、遠智谷少将が守る東北の玄関口にして要害。

 

「遠智谷少将も途中まで同行してくれるそうだ」

 小休止中、六門君から報告を聞いている時のことである。海外からの義勇軍が和多志に用があるようで近づいて来た。


 側にいた六門君、造彦君が和多志と彼らの間にさっと立つ。

「いい。何か和多志と話したい事があるようだ」

「プリンス、アナタと戦えて良かった本国の意向でもう少ししか協力できないがアナタの勝利を祈っている」


 先頭の1人に右手を差し出す。彼も握り返して握手の形になった。


 少し休んでまた進軍する。雪に覆われているのと戦闘による残存外理力(ざんぞんふぃふす)の影響、異界の管理が不十分なのもあって東北は所々に面影がある別世界になっている。


 半ば異界に侵食された凸泉(とついずみ)の地への道は雪に覆われた真っ白な地平線が続く。景色も所々歪んでいる。おおよそこの島国では見る事が稀な光景だろう。


 現在東北の詳細を知る者はおそらく誰もいない。この地で抵抗活動をしていた帝国兵なり、レジスタンスなり、地元住民なりを案内に行くしかない。

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