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ep22:北部転戦/戦時の民生/隠れ家茶屋.

 和多志が元服の儀式を終えた翌日。和多志以下親衛隊は北部前線への支援のため交告城塞から出撃する。


 7日妙嵩急襲戦、敵士気崩壊。

 10日阿賀乃救援戦、救援成功せり指揮官を拿捕。

 12兼続港摘発戦、地元資本家子息を中心とするグループが反乱軍に協力し物資を流していた。仮面道化団と接敵。摘発成功。


 15日永丘遭遇戦、永丘近隣の異界で反乱軍と遭遇。無力化。

 19日十五黒ヶ原会戦、北部前線軍2万にて反乱軍4〜5万に勝利。決め手は克彦殿下による司令部突撃。

 同19日十五黒ヶ原追討戦、親衛隊も追撃に加わり参謀、指揮官、技官ら多数捕縛。


 20日裏奥珠補給基地攻撃夜戦、我ら奇襲に成功せり、周囲反乱軍の補給能力は壊滅。

 同20日裏奥珠砲撃台地朝駆け攻撃戦、先の作戦の勢い

 21日反乱軍北部司令部への威力偵察を実施、臨機応変に対応した結果潰した。


 29日追撃部隊を誘導しての邀撃戦。撤退する北部前線軍への反乱軍追撃部隊に対して壊走に捕虜多数。


以上、神の月10戦闘概略。

皆勝損害軽微親衛隊死者0

備考:仮面道化団を2度破るが指揮官は2度取り逃す。

記録:津良悠


 おおよそ1カ月。北部前線を暴れ回り和多志達は交告城塞に帰還する所だ。

 山々を埋め尽くすほどの軍勢。主成分が北方人民連邦の反乱軍。


「そうだ、せっかく和多志達の城に帰ってきたんだ。堂々と正面から入ろう」


  我が親衛隊から何言っているコイツという視線が向けられる。少し傷ついた。

 第一に確信があった。肌に伝わってくる反乱軍の感情から和多志への恐怖を正面から行けば攻撃してこない。


 第二に和多志はこの戦争が始まってから意識している。より鮮烈な勝利を演出すると、戦争は政治の一形態であり百の言葉は政治である。鮮烈な勝利は百の言葉を産む。


 第三に和多志個人がやりたい。少しだけ世界を驚かせてやりたい。


「望む者だけでいい続け」


 和多志は1人歩みを進める。

「へへ、アイツ昔は怖がりでね」

 1人、六門君が続いた。


「平民だけにいい格好させたら、面子もなにもありませんから」

 次いで造彦君が続き、1人また1人と最終的に親衛隊全員が敵中をゆっくりと歩む。そして、ゆうゆうと城塞の正門前に到達し歓声のなか入場した。


「大円帝国万歳、皇帝陛下万歳、克彦殿下万歳」

「克彦様が帰ってきたもう大丈夫だ」

「へん。反乱軍のヤツら克彦様にビビって弾の1発も撃てやしねぇや」

 

 古代ソリドゥス帝国の凱旋将軍の如く城塞都市のメインストリートを行軍する。

「1カ月近くも、案山子キャンプとはご苦労な事だ」

「後世では壮大な一大戦闘として脚色されそうな気がします。丁度南の方には壮絶な拠点戦の資料がありますし……」

 後ろで隊員達が反乱軍への皮肉を交わしていた。


 和多志は何故ここにいる? 6年前まで下町の洋食屋の倅だった和多志が神話の如く光景を創り上げ、歴史を動かしている。いつの間にか此処にいた。



 蛇眼陽暦106年霜の月。霜が降り始める月と言うのは昔の話。寒冷化により何ヶ月か前から度々霜を見ている。

 ようやく、反乱軍が撤退を始めた。あの数を大きな混乱もなく撤収できるのはなんだかんだで優れた軍隊なのだ、北方人民連邦軍は。軽めの追撃を行い、将官1ダース佐官3ダース程捉えて深追いを避けた。


 さて、前線が落ち着き始めた矢先に帝都から召喚命令が届く。


 近羽伯爵からの情報によると「武勲を多く立てた将軍への名声税みたいな物だから適当に旧都観光でもしててくれ」との事だ。


 土産物の輸送の為のリソースを割いても各前線への補給が問題ない事を確認し、少数の随員を連れて旧都へ向かう。


 蛇眼陽暦106年霜の月、21日旧都。

 以前に来た時よりも人が多い。避難民や海外からの支援従事者、義勇兵、傭兵と元の人口よりも増えているのが肌でわかる。


 諸々の設備、インフラも渋滞気味ながらも何とか回っていた。新聞やラジオでは和多志達の勝利が盛って報じられている。


 なんでも、交告城塞に迫った100万の大軍を和多志が単身突破して援軍を連れて来て激闘の末殲滅したとか…………。


 所感であるが、活気は2歩半進んで生活は半歩下がる。知識や理論でしか知らないが戦時の民生として見れば上手くやっているようだ。その生活が半歩下がり崖から落ちた者達も今の所は多く救えている。


「お待ちしておりました。文弘厩克彦殿下」

 現宰相、徳大羅(とくだいら)久々(ひさびさ)公爵。旧都翔円帝政権の政治首班がお出迎えしてくれた。軍と政府の親密性をアピールしたい意図が5割、功労者を報いる気持ちが2割、公爵自身の名誉欲承認欲求が2割、若者が戦う事への葛藤が1割くらいだろうか。


「宰相閣下自らお出迎えとは痛み入ります」

 握手や当たり障りのない会話を新聞記者達の前で行うと後は明日陛下と拝謁するまでは自由時間である。


 特に行きたい所も無かったので神社仏閣や土産物屋でも巡ろうか。もう少しだけ随員を連れて来ても良かったけど方面司令官としてはコレがベスト。それはそれとして手持ち無沙汰。


 午前中未履修の有名どころを回ったが人が多くて草臥れた。なので通りを外れてそこにあった茶屋で一服。円族には稀な特徴を持つ異界人や臣民権持ちの妖なども多い隠れ家的な茶屋である。


 少し薄暗く、怪しげな舶来物が飾られている。それほど似てはいないが以前訪れた暗渠街を思い出す。


 トラブルを起こすのは本意ではないので高貴オーラとかカリスマなどを消して一般客に紛れ込む。お茶と一口団子を注文。


 客の会話や店の雑音に耳を傾ける。

「震災だか戦争だか知らんが人が増えて、住みづらくなったものだ」

「どーだ次の戦闘反乱軍が勝つ方に賭ける奴はいないのか。大穴だぞ」

「知り合いの知り合いの息子が怪我して戦場から帰ってきたんだとよ」

「へへへ、旦那ぁご不敬な話ですが〇〇様似の子がいる店があるんですぜ」


 平和なようだ。8個の団子、それぞれ2個ずつの餡子、タレ、焼き、草をたこ焼きのように楊枝で摘んで食べるスタイル。


 お茶は色薄目だが香りが強めな葉を使いその薄めの色を活かす為の湯呑みに注がれている。もうしばらくこの茶屋でゆっくりと休もう。ふと、不穏な気配がした。


 いつもご覧いただきありがとうございます。お陰様で昨日もPV記録を更新しました。


 宰相かよ!! 作中の久々公は徳川慶喜の息子をモデルにし、銀魂の将軍家の命名法を意識して名前をつけたキャラです。


 今後もちょくちょくあとがきを書いていこうと思います。触れて欲しい所などがあればお気軽にコメントください。

 (2026.1.25)

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